27歳女子が婚活してみたけど何か質問ある？

4.

ソファに座ったまま、怜は私に向かい合った。

「あのな唯。念の為言うけど、この家に入った女の子は唯だけだよ？」
「えっ……そうなの？」
てっきり、取っ替え引っ替えかと……。口に出したらだいぶ失礼な言葉を喉の奥に戻すのに、少し苦労した。

「じゃあベッドで一緒に寝るってことで」
「え、あのっ……」
「いいでしょ。俺達付き合ってるんだから。でも風邪伝染うつしたくないから、ベッドの中での色んなことはお預けな？」

ベッドの中の色んなことって……！27にもなってカマトトぶるつもりはないけど。でも。でもさ。そんなはっきり言われると何も言えないって言うか。

「唯、顔赤いよ？」
口角を上げたまま私の顔を覗き込む。この仕草何回目よ？

羞恥のあまり顔を背けた。また頬に怜を感じた。

「ね、怜……？」
何度も唇を柔らかく当てられる。両側の頬に、額に、耳に、耳たぶに。唇を避けてシャワーのように、リップ音を立てて何度も口づけをくれる怜の目をそっと見つめた。

それが合図だったのか。視界がゆっくりと反転した。

口づけの勢いが増したと思ったその時。不意に起き上がった怜は目を逸らして溜息をついた。

「怜……？」
「明日の朝って言ったけど……。今じゃ駄目？」

い、今、するってこと、ですか⁈

「でも、怜、熱下がったばかりだし」
「我慢出来ない」
「でも明日、仕事だよ」

再び大きく長いため息をついた怜は、私の身を起こさせた。

「そう、仕事なんだよな。風邪引いて彼女に看病してもらって性欲に負けて風邪ぶり返しました、ではな」
「怜、我慢できる？」
不満気にむくれた怜。やっと少し余裕が復活した私は、仕返しとばかりに顔を覗き込んだ。