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しおりを挟む「お仕事、船乗りって言われてましたけど、例えば昨日とかはどんな感じで勤務されてたんですか?」
ざっくり船乗りって言われましてもね。全然イメージが出来ないまま今日を迎えている。婚活パーティーのあの日から毎日LINEをしているというのに、私はこの人の仕事を今いち理解できないでいる。
「僕、海上保安官でね。昨日は陸にいたからデスクワークしてたよ。陸に上がれるときにしか書類仕事ってなかなかできなくてね」
海上保安官。その昔、海上保安官との恋をテーマにしてた映画があったっけ。海上保安官の人って筋肉ムキムキのイメージだけど。
目の前の佐々木さんは陽に焼けてはいるけど、決してマッチョな印象は無い。所謂脱いだらすごい、ってやつなのだろうか。
「ずっと海の上だと、陸の上と感覚って変わるものなんですか?」
単純な興味だ。船酔いしやすい私は、ずっと海の上で仕事をするという発想自体がそもそも無い。
「どうだろな。陽射しは直に喰らうけど、陸だと建物とかでガードされてるってところかな」
「結構焼けてますよね」
白いポロシャツの袖から覗く筋肉質な腕も、佐々木さんの顔も、日焼けサロンで焼いた人のようにこんがりと焼けていた。
「陽に焼けるのは嫌いじゃないからね。一色さんは?仕事は製薬会社だっけ?」
「はい。営業やってます」
「そんな感じするね。事務とか秘書とか大人しいやつはしなさそう」
気のせいかな。私、ほぼ初対面のこの人にディスられてる気がとってもするんだけど。
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