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対面 6
しおりを挟むお母さまの賛成は貰えた。でも賛成の理由がちょっと引っかかる。「家ではなく、悠さん自身を好きになった」は当たり前で。「和佳子さんの息が掛かっていない」というのは、私にはまだよく見えていない、黒瀬家の闇が垣間見えた。
この家で、悠さんの存在は肯定されてるけど、お母さまと和佳子さんとお父さまの間には消えないわだかまりは確かにある。愛する夫に愛人作られて子どもまで産まれたらそれは仕方の無いことだろう。そしてその子どもを育てたのは、お母さまであるわけで。
欲深くなってはいけない。私自身を認めさせようだなんて、そんな難問は黒瀬家にもっと慣れてからじゃないと無理だ。終始、笑顔の黒瀬家の方々だけど、和佳子さんの影はやはり隠せない。それでも、笑顔でもてなそうとしてくれていることは感じられた。
お父さまとお兄さまは賛成も反対も言われないけど、このお母さまが賛成と言われれば賛成なのだろう。そんな空気を感じた。今日はひとまず反対されず、受け入れて貰えればそれでいい。受け入れて貰える理由は何だって良い。
「もうそろそろ帰るよ。結構遠くから来て、美咲も疲れてるだろうし」
「ああ。またゆっくり来るといい」
悠さんが立ち上がると、それに続いて私も立った。
「今度は是非ご両親にもご挨拶したいわ。お食事でもしましょう」
「はい。両親に伝えます。今日は、ありがとうございました」
軽く礼をして、玄関のドアを開ける彼に続いた。
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