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十一章

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 朝比奈はゼア・イズでのバイトを終えると、夜行バスを利用して東京へ向かった。車中で睡眠を取った後、ファミレスでトーストとホットコーヒーで朝食を済ませると、以前名古屋でお世話になった極真空手と合気道の師範が東京に居るので、それぞれ連絡を取って挨拶を済ませることにした。そして、東京に来た一番の目的である人物に会う為に、昼食を兼ねて朝比奈には不似合いの高級和風料亭の個室でその人物を待つことになった。相手が個室を指定したのは、朝比奈の電話での内容から他の人間に聞かれない様にとの配慮であった。
「よう、久しぶりだな。まさか、お前から会いたいなんて驚いたよ。それも、どうしても聞いて欲しい話があるなんてな」
 お連れの方がいらっしゃいましたとの女性の案内に続いて、最高検察庁の次長検事である父親が姿を現した。
「こんな高級な料亭を指定するから、待っている間落ち着かなかったよ。そうだ、この鰻の調理法だけど、関東風と関西風があるけど知ってた?」
 テーブルに置かれたうな重を手に取り尋ねた。
「鰻を焼く際には、鰻の身を開いて調理するんだが、関東風は背中に包丁を入れる『背開き』で、関西風はお腹側から包丁を入れる『腹開き』が一般的だな。東西で開き方が違うのには諸説があるが、武士が多かった江戸では切腹を連想される腹開きは縁起が悪いとされたようだな」
 父親もうな重を手に取った。
「流石父さんだね。付け加えれば、関西は商人文化が栄え『腹を割って』話したり商売するのが良いとされていた為、鰻を腹開きで調理されたと言われています。また、鰻を焼く時に使う串も関東と関西では違っていて、関東風は竹串で関西風は金串と材質が異なります。さらに、鰻の仕上げ方にも東西では違い、関東では白焼きにしてから蒸しの工程に入り、最後の仕上げでタレを付けて焼きます。これはせっかちな江戸っ子を待たせることなくおいしく調理する為の工夫だったのでしょうね。素焼きの後に蒸すことで鰻の身は箸で切れる程柔らかく仕上がりますからね。勿論この店も関東風なのですが、関東と関西の中央であり、鰻料理が名物である浜松はどっちなのでしょう」
 匂いを楽しんでから鰻とご飯を口へと運んだ。
「どうだろう、やはり関東風なのかな」
 戸惑いながら応えた。
「まず、浜名湖鰻がどうして日本で最も有名なブランドになったかというと、日本で鰻の養殖が初めて行われたのは明治時代の東京です。鰻の養殖を研究していた服部倉次郎が、体長15cm程のクロコウナギと呼ばれる稚魚から養殖に成功しました。1897年に倉次郎が鰻の養殖に関する調査で愛知県に行く途中、静岡を通った際に浜名湖を見て『鰻の養殖に適しているのでは』とひらめきました。早速調査が始まり、1900年に約8ヘクタールの鰻の養殖池を浜名湖に作ったのです。年間平均気温が15度前後と温暖で、ミネラル分豊富な地下水が天竜川から流れ込んでくる浜名湖は鰻の養殖に最適だった。餌となる小魚が豊富に住み、浜名湖や天竜川河口で鰻の幼魚が大量に採れたのも、浜名湖で鰻の養殖が拡大した理由の一つとなっています。そして、東京や大阪といった商圏に近く道路や鉄道が整備されていたのも、鰻の大量生産を後押ししたのでしょう。それで先程の答えなのですが、2010年に浜松商工会議所が発刊した『2010年版鰻本』によると、鰻専門店118件あるうち、関東風が90件、関西風が26件、その両方を提供する店が2件あるとされています。因みに、僕が勤めるゼア・イズでもどちらでも提供できますよ」
 朝比奈は左の顳かみを叩いて答えた。
「おいおい、うんちくはいいから本題に入ってくれないか」
 いつもののこととは言え、呆れ顔で言い返した。
「はるばる東京まで父さんに会いに来たのは、随分前のことになるけれど、名古屋市の港区で大規模な麻薬の取引を検挙した事件を知っていますか」
 うな重をテーブルに置いて話を変えて尋ねた。
「ああっ、大量の覚せい剤や大麻が押収された事件だったな。確か、逮捕者も多く、銃撃戦になり負傷者も数名出たと報告され、マスコミにも取り上げられていたからお前も知っていたんだな」
 どうしてそんなことを尋ねてくるのか警戒心を持って答えた。
「その負傷者の中に警察官がいたのですが、その原因についても報告を受けていますか」
 少し緊張した表情になって質問を続けた。
「いや、応援に駆け付けた所轄の警察官が負傷したことは知っているが、相手の拳銃による応戦に因るものだと思っていたのだが違っていたのか」
 意味ありげな質問に一層表情が険しくなっていた。
「勿論、マスコミの報道でも警察官が負傷したことも告げられていなかったけれど、実際は警察官が持っていた拳銃の暴発によるものだったんだ」
 父親の耳に入っていないのは意外であった。
「えっ、警察官というと、暴発したのはリボルバー式の拳銃なのか」
 赤みがかっていた顔が朝比奈の話で次第に血の気を引いていった。
「昨年購入され、各都道府県の県警に配布されたとされるМ360SAKURAです。まぁ、本物の拳銃でも大問題なのですが、暴発したのは本物に酷似したモデルガンだったのですよ。父さんの耳に入らなかったのは、愛知県警が隠したのか・・・・僕の想像ですが、これほどの隠蔽工作であれば、もっと上の力が働いたと考えられます。ですから、父さんに調べて欲しいのですよ」
 朝比奈は、東京に親父を訪ねた理由を語った。
「なっ、なんと、それは本当の事なのか。応援に呼ばれた警察官の拳銃がモデルガンで発泡の際の衝撃に耐えられなく暴発して負傷した。そして、その事実をすっかりと抹消した」
 流石に朝比奈の言葉が信じられなかった。
「ご丁寧に、暴発したとされる拳銃は本物にすり替えられていました。そのことも重大ではありますが、暴発した拳銃だけがモデルガンに摩り替えられていたのではなく、昨年納期されていた殆どのМ360SAKURAが偽物のモデルガンの可能性が高いのです。それについても調査して欲しいのですが、もう1つの問題として、数日前に名古屋市内で起きたFBIの捜査官が死亡した事件を知っていますか」
 父親のこれからの仕事に同情しながらも質問を投げ掛けた。
「ああっ、その事件は気になっていた事案だ。一度は病死と判断されたが事件性が出てきたということで、そのFBIの捜査官が誰を何の目的で来日していたのか、政府を通して問い合せたのだが、返答は得られていないとのことだ。捜査官が殺害されたとなれば一大事であり、警視庁からも応援を出して一刻も早い事件解決に力を入れるとのことなんだが、新聞などのマスコミは身元などを発表していないのに、どうしてお前が知っているんだ。まさか、大神君から情報を得ているんじゃないだろうな」
 疑わしい目で朝比奈を見た。
「まぁ、確かに大神が教えてくれたのだけれど、捜査員が亡くなったのはゼア・イズで一時は僕が犯人ではないかと疑われたので、無実を証明する為にも仕方なく首を突っ込むことになったって訳なんだ。その亡くなった捜査官は、どうも拳銃の不正取引に関して捜査していたのかもしれません。警視庁にМ360SAKURAを納入したのは、外資系の商社である『ニューランドリー』で、捜査官が亡くなったゼア・イズにはその社員である北川龍一という人物が居て、その人物が捜査員をテトロドトキシンを使って殺害したのではないかと疑って、その身柄を探していますが現在はその行方は分かっていません」
 改めてうな重を手に取った。
「その『ニューランドリー』の社員である北川という人物が、拳銃の不正取引が暴かれるのを恐れて捜査官を殺害したということか・・・・・しかし、本物の銃とモデルガンの区別がつかないものなのだろうか」
 父親は朝比奈の言葉に疑問を持っていた。
「それ程巧妙に作られていたのでしょう。余程拳銃に詳しい人物でなければ気付かない程の出来で、実際に使用しなければ違いが分からない程です。アメリカと違い日本では一般人には拳銃の所持は認められず、治安もよく凶悪な犯罪の発生も殆んど無いので、警察官が発砲する事件は滅多に起きません。それに、犯罪の多発している東京や、射撃訓練場には正規の拳銃を収めていれば、バレることはないと考えていたのでしょう」
 高級なうな重を口に頬張って自分の想像を含めて答えた。
「不正取引に隠蔽工作とは、これは大変なことになったな。しかし、今までの話は、拳銃のモデルガンへの入れ替えに関しては実証できるとして、後の話についてはお前の想像する部分が殆どで、実際に証拠はないんだよな」
 朝比奈の話を分析して尋ね返した。
 「それに関しては、フリーライターの大野という人物が警察の報告に疑いを持って調べていたようなのです。暴発した拳銃がモデルガンであったのではないかということや、その搬入に関して『ニューランドリー』と政府の癒着のことも調べていたと思います。ある程度の資料を手に入れて発表されては不味い人物が、大野さんをさらって問い詰めようとしたのでしょうが、口を割らなかったので殺害し遺体を燃やした。それでも証拠を残していないか不安になり、事務所を荒らしてパソコンやそれらしい資料を持ち去ったのです」
 うな重を置き、お吸い物を手にした。
「その大野さんも、FBIの捜査官を殺害したと思われる北川の犯行だとお前は考えているんだな。だが、それにしてはお前の話を聞く限り、外資系とは言え一社員の犯行だとは考えにくいな」
 朝比奈とは逆に、話を聞くたびに食欲がなくなっていた。
「どこから大野さんが拳銃の不正取引を調べているのかを知ったのか。来日したばかりの北川が知り得た可能性は低いと思います。ここからは僕の勝手な推測ですが、北川は黒田法務大臣と親しかったのは分かっています。拳銃の不正取引も『ニューランドリー』と黒田大臣で行われていて、それがマスコミによって公表されてしまうと不味いと、黒田大臣が関与している可能性が高いと思います。情報も簡単に手に入りますからね」
 うな重を次々に口へと運んで満足気な表情を見せた。
「ちょっと、ちょっと待ってくれ。黒田大臣が銃の不正に関与し、それが明らかになるのを恐れて、北川と共謀してFBIの捜査官とフリーライターの大野さんを殺害したということなのか。お前のその想像を立件する手掛かりを、愛知県警は既に捜査を終えているんだよな」
 箸を持つ右手がブルブルと震えだした。
「残念ながら愛知県警はその件に対して捜査はしているが、決定的な証拠も北川の所在も掴んではいないようです。いずれにしても、黒田大臣が絡んでいることは間違いないと思います。確か、黒田大臣もパーティー券のノルマを越した金額のキックバックを派閥からもらっていた。つまり、裏金を作っていたと疑われていた人物だったよね。只、金額が少ないこと、担当者の記載漏れを訂正したことで、誰も処分されていませんでした。特捜部は各地から大勢の人員を掻き集めての捜査ということで、国民も期待していたけれども見事に裏切られ、世間では三権分立が確立していて、以前のロッキード事件のように各大臣や民自党の権力者に総理大臣まで、特捜部の捜査が伸びるのではないかと、固唾を飲んでいたのに見事に肩透かしを喰らいましたから、検察の威厳も地に落ちた状態ですので、ここで一発逆転満塁ホームランをかっ飛ばして欲しいものですね」
 この時とばかりと朝比奈は饒舌となり、その言葉に父親は返す言葉を考えていたが、その時ポケットに入っていた朝比奈のスマホが受信により震えた。
『何か事件に進展があったのか・・・・えっ、自家用車の中で遺体で発見された・・・・・睡眠薬を服用しての練炭による一酸化炭素中毒でスマホに遺書がね・・・・・・よくあるパターンだけど・・・・・所轄は勿論自殺と判断しそうだけど、相手も相当焦っているっていうことかな・・・・・まぁ、仕方ない、先に手を打たれたってことだな・・・・・・今は東京だから、遺書の文面など詳しく知りたいからすぐに戻るよ』
 大神からの電話を切ると父親の顔を見た。
「まさか、今回の事件関係者が亡くなったのか」
 朝比奈の落ち込んだ表情にゆっくりと問い掛けた。
「ああっ、僕がもう少し気を使えば助かっていた命かもしれません。父さん会ったばかりで申し訳ないですが、すぐに名古屋へ戻るよ。今日はありがとう」
 朝比奈は頭を下げるとゆっくりと立ち上がった。
「急いで帰らなくてはいけないんだろ。余り深入りして大神君に迷惑をかけんでくれよ」
 父親は財布を取り出して一万円札を数枚手に取り朝比奈に差し出した。
「いつも悪いね。遠慮なく頂いていくよ。その代わりと言っては何だけど、父さんに預けておくね」
 朝比奈はお金を受け取ると、ポケットの中から小袋を取り出して父親に渡した。そして、不思議そうな父親の顔を残して店を出ると、地下鉄とJR東海を使って名古屋へと戻り、すぐに愛知県警へと向かった。
「朝比奈、お前から頼まれていたのだが、居場所を突き止める前に死なれてしまったよ」
 姿を現した朝比奈に大神が声を掛けた。
「気が付くのが遅かったのだから仕方ないよ。一応状況を説明してくれないか」
 朝比奈は大神の肩を叩くと、ホワイトボードの前まで椅子を持ってきて腰を下ろした。
「亡くなったのは黒田法務大臣の秘書だった井上和也。お前から事情聴取を理由に身柄を保護して欲しいと頼まれていたが、居所を確認する前に瀬戸市の定光寺公園の駐車場で、本人所有の自動車の中から練炭を利用して、睡眠薬を服用しての一酸化炭素中毒により死亡していた。所轄の瀬戸署では、『申し訳ありません、罪の重さに耐えられなくなりました』という文面がスマホに残されていたので自殺と判断したようだ。まぁ、今は与党の議員の裏金事件が発覚して、いつもの様に連座制が適応されず秘書に罪を被せる事になるんだよな。その伏線もあり、瀬戸署が自殺と判断したことは妥当だと、県警本部も多分支持するんだろうな。しかし、お前は勿論他殺だと考えているんだろう。一応俺達も疑って調べたのだが、現場の定光寺は俺とお前の地元の瀬戸市でもあり、近くにゴルフ場はあるけれど死亡推定時刻は早朝であった様で殆んど人気は無かっただろうし、周りにも監視カメラは設置されていなかったので、現場の状況を確認する手段は無かった。まぁ、他殺であるとすれば、犯人はそれが目的であり、彼の車にドライブレコーダーが付いていないのも、勿論承知の上の犯行だったのだろうな」
 ホワイトボードに貼られた資料を示しながら大神が説明した。
「スマホに残された文面も、ただ罪の重さに耐えられなかったと本当に都合の良い表現だな。この文面であれば、ある事ない事全て秘書に負わせることが出来るからな。おそらく、拳銃の不正取引や大野さんの殺害についても、北川と秘書が勝手に仕組んだことにするつもりなんだろうな。このままでは、上層部は被疑者死亡で幕引きって事にするんじゃないのかな」
 ホワイトボードを見ながら意見を述べた。
「グレーどころか真っ黒状態でも、残念ながら今のままではこれっと言った証拠が無いので、罪に問うことはできないからな」
 大神はそう言い返すと残念そうに椅子に腰を下ろした。
「FBIの捜査官の殺害については北川に間違いないと思うが、大野さんと黒田大臣の秘書の井上さんの殺害は北川の犯行なんだろうか。もし、そうだったとしても、黒田大臣の意思があってのことだと思う」
 ホワイトボードに貼られた黒田の写真を指差した。
「そうは言っても相手は腐っても法務大臣だから、下手に動きを感づかれたらこっちが潰されかねないからな」
 大神は悔しそうに腕を組んだ。
「北川の居所を突き止める事が手っ取り早いけれど、ひょっとすると井上秘書のように消される可能性もあるからな」
 険しい表情で大神を見た。
「東京へ向かった可能性もあると警視庁にも依頼して、あらゆる方法を講じて捜索をしてはいるが、今のところは何の情報も入っていない」
 頭を左右に降って大神が答えた時、朝比奈のスマホが着信音を発して震えた。
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