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15 幸せな朝 R18

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 まだ日が昇っていない薄暗い早朝に、私は微睡みの中、うっすらと目を開けた。
 
 肌触りの良い寝具と素肌が触れ合い、さらなる眠りを誘う。

 軽く寝返りをうてば、隣りには寝顔さえも整ったイケメンが私をしっかりと抱き締めたまま眠っていた。

 寝顔は少し幼く見える。


「……ふふっ……可愛い……」

 何故か突然、隣りで眠るその人への愛しさがこみ上げてきたので、ちゅっと軽く彼のまぶたにキスをする。

 すると、彼のまぶたが小さく震え、ゆっくりと目が開かれた。

「……」
 
「……天使?」
 
 寝ぼけているのか、はたまた、からかっているのか……私と目が合うなり、彼は呟いた。
 
「……おはよう亜久里さん、昨夜貴方の彼女になりました、恵那です(ニコリ)」
「……俺の彼女は……天使……いや、女神か?」

 そのままぎゅっと抱き締められ、亜久里さんの筋肉質な素肌に頬が触れる。

「……よかった、夢じゃなかった……聖夜の幻想かもしれないと考えたら、昨夜は怖くて眠れなかったんだ」
「……嘘ばっかり、その割に二回もしたくせに!」

「……でも、恵那も気持ち良さそうだった……」

 悔しいがそのとおりだ。
 童貞だと思って油断していたら、とんでもない手練れだった……。

 私はこれまでに一人しか経験がないけど、昔していたセックスはもはやセックスではなく、ただ繋がるだけの交尾だったのではないかと思うほど、亜久里さんとの行為は幸せで気持ちよく、セックスの概念が覆ってしまった。

 セックスとは、愛し合う行為だった。

 昨夜の行為を思い出すと、身体が火照ってしまう。

 どうやらそれは亜久里さんも同じだったようで、密着する下半身部分に何かやたらと存在感を示すモノがある。

「……ごめん、思い出したらつい……朝だし……」

 亜久里さんのその言葉に、思わずキュンとしてしまい、私はぎゅっと彼にしがみつき、太ももでソレを転がした。

「っ! ……恵那っ! ……え~っと、恵那さん?」
「……」

 無言で自分にしがみつき、大きくなったソレをイジる私に、亜久里さんは何かを察してくれたのか、スッと手を伸ばして、確認するように私の秘部に触れた。

「……まだ柔らかいね……ちょっと湿ってる……いいの?」

 耳元でそう囁かれ、それだけでイキそうになる。

 私はもぞもぞと下にもぐり込み、亜久里さんのそれに手を添え、少し舐めて口に含んだ。

 表情は見えなかったが、なんとなく驚いた様子の亜久里さんだったが、少しすると、無言で私にゴムを渡してきた。

 つけてくれ、という意味だろうが、実は私は双子の出産後から、二度と繰り返すまいと思い、ピルを服用しているのだ。

 そんな事を知らない亜久里さんは、昨夜はきちんとゴムで避妊をしてくれた。

 もうそれだけで信用に値するので、今朝はこっそりそのまま受け入れてあげることにする……童貞だと言うことは性病なんかも持ってはいないだろう。


 私は亜久里さんの上に乗り、自分の唾液で滑りの良くなった彼のソレの上にゆっくりと腰を落とす。


「んっ……っはぁ……」

 ピタリと肌と肌が触れ合う時には、私の中は奥まで彼のモノでいっぱいになっていた。

 0.01㎜の膜が無いだけで、温もりや滑りが全然違う。

「……え、なんか……ちょっと待った……恵那、ゴム破れてない?」
「……破れてないよ、着いてないの」

 私はそう言って、先ほど手渡された未開封のゴムを亜久里の目の前にチラつかせた。

「……俺との子供、産んでくれるの?」
「残念だけど、ピル飲んでるから子供は出来ないの」
「……ああ、そういう事か」

 普通に考えたら、付き合った翌日に生でやろうとする女なんて、男性からしたらドン引きだろうが、亜久里さんは違った。
 むしろ嬉しいとばかりに目を輝かせて、子供を期待したようだ。


 何か吹っ切れた様子の亜久里さんは、そのままガシッと私の腰を掴み、下から一気に突き上げ始めた。

「やばいな、あんな薄いゴムが無いだけでこんなに違うのかっ……保たない……」

 激しく突き上げられ、私も良くなって感じていると、彼は腹筋にチカラを入れ、上体を起こし私の身体をベッドに沈めた。
 形勢逆転である。

 深く貪るような口付けと共に、愛を囁やきながら、亜久里さんは私の身体を上下に揺らす。

「ふぁっ……んっぁぁあっ……んっ……っつ! ぁあっっ!」

 あまりにも気持ち良く、イキそうになると、亜久里さんはボソッと私の耳元で“一緒に……”と呟いた。

「……っ!」

 動きが速さを増し、私達は一緒に達したのだった。



 ○○●●


 その後、亜久里さんの胸に頭を預け、寄り添いながらゆったりとした時間を過ごした後、ベッドの横のデジタル時計をチラ見する。

「5時半か……そろそろ子供達も目を覚ますから帰らないと……」

 論も鈴も、昨夜は早めに寝たはずなので、きっと、今朝は早めに起きるだろう。起きて私がいないと、不安になるかもしれない。

「……そうだね、支度しようか……送るよ」
「ん……ありがとう」

 私も亜久里さんも、まだ一緒にいたいという気持ちを押し殺し、ゆったりとキスをしてシャワーを浴び、帰り支度を整え始める。

 いつの間に用意したのか、メイクルームに私のサイズの新しい下着と着替えが用意されており、それを着て彼の前にでたら、亜久里さんはとても嬉しそうに微笑んだ。

「良く似合ってる」
「ありがとうございます、可愛いデザインで気に入りました」

「コンシェルジュはいい仕事をしたな」
「流石、柳グループのホテルですね」

「ありがとう」
「こちらこそ」



 チェックアウトは何故か顔パスで、昨夜江藤さんのお店の近くに置いてきたはずの車がホテルの前に停まっていた。

 さすが金持ち……。

 でも、不思議と以前のような嫌悪感はない。

 昨夜、食事をしながら、仕事の話も含めて、色んな話をしたことで、私はもう、亜久里さんがちゃんと自分で仕事をして稼いでいると知っている。

 彼はもう、ただの“金持ちの息子”ではない。


 ○○●●


 カフェに寄り、軽く朝食を済ませると、亜久里さんはそのまま私の家に向い、あっという間に到着してしまった。

 お礼を言って、私が車を降りようとすると、手を取り呼び止められる。

「恵那っ、昨日渡しそびれたんだけど……これ、クリスマスプレゼント……受け取って」

 何やら後部座席に手を伸ばした亜久里さんから、小さなショッパーを手渡された。

「わぁ、ありがとうございます、このブランド好きなんです」

 自分の好きなブランドのクリスマス限定のリボンのついた小さなショッパーの中には、小さなジュエリーケースが入っており、中身はシンプルなダイヤのピアスだった。

「わぁ、可愛い! ありがとうございます!」

「よかった、喜んでくれて……次のデートの時つけてくれると嬉しいな」
「はい、そうしますっ」

 その後も、亜久里は離れがたいとでも言いたげに、愛しそうに私を見つめている。



「……5年前、私の12月25日は最低な日になりましたけど、今日、塗り替わりました、12月25日は私にとって、最高に幸せな日です」

 心からのとびきりの笑顔と共に、私は亜久里にそう伝えた。

「よかった……」


 亜久里は一言そう言って車を降りると、助手席のドアを開けてくれ、そのまま私の手を取り、家の前まで送ってくれる。

「また、すぐ連絡する……三回目のデートに行かないと」
「……はい、私も連絡します、じゃぁ、また……」

「ご両親と双子ちゃん達によろしく」
「はい、付き合い始めた事を報告します……ね」
「是非、そうして! 近々きちんとご挨拶に来ると伝えてね」
「はい……もう、行ってください、車が出るのを見届けてから中に入りますから」

「……いいよ、寒いから、早く中に入って」
「そう思うなら、早く行ってください!」

 なんだこのむず痒いやり取りは!

「ははっ、わかったわかった、じゃ、またね」
「また……」


 亜久里さんはぎゅっと私を抱き締め、ちゅっと軽いキスをして、手を振りながら帰っていったのだった。

 
 
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