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16 新たな人生

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(sideイヴリン)


 
「……イヴちゃん、本当に行ってしまうの? ドッキリでした~って言わないの?」
 
 屋敷のエントランスホールまで自ら私を見送りに来てくださったオスマンサス辺境伯夫人は、私の手を握り、整った眉をハの字にして、寂しそうにそう口にした。
 
 50代にさしかかるであろうにも関わらず、奇跡のように美しい夫人と、優しさがあふれるチビデブハゲ(この屋敷ではもはや合い言葉)の私の推し、辺境伯様。
 
 明るくて楽しい七人兄弟と六人の個性豊かなその夫人達。
 
 たった半年しかいなかったにもかかわらず、私の門出を見送りに、全員が集まってくれている。
 
 
 私は世襲制の頭の悪い貴族は嫌いだけど、オスマンサス辺境伯様はきちんとした領地経営をなさっているし、領民からも信頼熱く、とても好かれている。
 人柄も含めて大好きだ。
 後継でいらっしゃるルドルフ様もその夫人も、とてもしっかりしていらっしゃるから、オスマンサスはこの先も繁栄していくことだろう。
 
 最後の最後に関わった貴族が、この家門で良かった。
 
 大嫌いな貴族。でも大好きなオスマンサス辺境伯家。
 この矛盾した考えこそが、私の自由の第一歩だ。
 
 
 
「それでは皆様……半年間、大変お世話になりました。今日から私は平民として生きて行きます。皆様とこんな風にお話できるのも最後かと思いますので、とにかく心より感謝の言葉をお伝えしたいです。どうぞ皆様、お身体に気をつけてこれからもお元気で。」
 
 
 私はここへ来た時と同じ、たった一人、たった一つのトランスケースを手に、新しい人生の一歩を踏み出した。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「さて、まずは一週間くらい滞在できる割安な宿を取らないといけないわね。エレミ族の事を調べるには街の図書館に通わないといけないから。」
 
 とりあえず、気合いを入れる為にも独り言のように声に出してみる。

 オスマンサス辺境伯夫人は、私のお給金を相場の倍以上上乗せしてくださっていた。
 他の侍女の方々に悪いのでお断りしたこともあったが、アギット様のパートナーなど、他の侍女には頼めない、負担の大きいことを頼んでいるからその特別手当よ、といって聞き入れてはくださらなかったので、ありがたく頂戴することにしたのである。
 
 そのおかげで、私の懐は潤沢だ。
 
 大金を持ち歩くのは怖いので、三つの都市の銀行に分割して預入してある。退職金だと言われて頂いた給与の三か月分はオスマンサスの銀行に専用口座を作り投資に当てたので、ほっといても増えてくれると信じたい。
 
 
 
 
 

 さて……私の平民としての最初の目標は、お母様のルーツであるエレミ族を辿る旅をすると決めていた。
 
 お母様の両親、つまり私の祖父母は二人ともエレミ族だったそうだ。特に祖母が大変優秀で、女性ながらに国の上級司法職に就いていた事から、一代限りの法服貴族として男爵位を叙されたという。
 
 しかし、お母様がチュベローズ伯爵家に嫁いだその翌年、祖父母は二人揃って馬車の事故で亡くなってしまったと聞いている。
 
 だから、私は祖父母の顔を全く知らない。
 
 お母様から聞き知った事といえば、祖父も祖母も私やお母様と同じモスグリーンの髪に金色の瞳をしていたという事だけだ。
 
 
 オスマンサス辺境伯の屋敷を出てこの数日間、オスマンサスの図書館内の転移門から無料で行ける、ヘキシルカノール王国とこの国、デシルテトラ王国の首都の国立図書館へ行き来し調べたが、エレミ族の住んでいた森の正確な位置までは知ることができなかった。
 ただ、各国の西だとか東だとか……曖昧な記載ばかり。
 
 エレミ族が“森の民”と言われていたからには、森の奥深くに住んでいたに違いないのだが、その森が何処なのかがわからない。これまでに読み漁った書物からは、知ることが出来なかった。
 
 とはいえ、私は新たに得た情報であるエレミ族の精霊信仰と宝珠の詳細から、いくつかに候補地を絞った。
 
 それは、“天にもっとも近い森”と呼ばれている森で、デシルテトラ王国オスマンサス辺境伯領とヘキシルカノールの辺境、そしてラウリルア公国の森の中間に位置する場所だ。
 
 “天”とは、この場合、“死”を意味する。
 
 それほどに危険な森だと言う事なのだが、私は常々少し疑問に思っていた事がある。
 
 
 その森は、立ち入ったら誰一人として戻っては来れない死の森とされているのだが、誰も戻ってこないのになぜどんな森かわかるのだろうか。
 もしかしたら、何人なんびとたりとも森に入って欲しくない理由のある何者かが、意図的にそんな情報を流しているのではないかと思ったのだ。
 些か冒険小説の読みすぎかもしれないが、フィクションをノンフィクションにしてしまう者だって出て来るはずだ。
 
 私はその、“森に入って欲しくない理由がある何者か”が、エレミ族だったらいいな、と考え、勝手な妄想を膨らませていた。
 
 
 
 
 数日間調べ続けても手がかりは見つからず、さすがに図書館で調べる事にも限界を感じた私は、そろそろ行動に移すことにした。
 
 オスマンサスを発つ前に、役所へ行って、夫人が私の廃貴届を出してくれたか確認するも、未だ出されていないことは少し不安ではあるが、夫人は約束したことを違えたりしない方だと信じている。 
 
「この際、とりあえず戸籍なんて別にどうでもいいか。」
 
 
 そう思い、私は荷物のトランクケース一つを持ち、早々に街を出た。
 
 
 
 
 オスマンサスに来たばかりの頃、街中に香るオスマンサスの甘い香りが気に入ったことを思い出す。
 今は時期ではないのか、香ってはいないが、またいつかあの香りを感じたいな、と思いながら、私は乗り合いの馬車に揺られていた。
 
 
「若い女の子が一人でどこに行くんだい?」
 
 隣に座っていたおじいさんが話しかけてきたので、当たり障りない会話をしていると、急に馬車が停まり、外の御者から“絶対に外に出るな”と言われる。
 
 
「……何事だろうね?」
 
「そうですね? 何かあったのでしょうか。」
 
 ここはまだオスマンサス領内のはずだから、盗賊やなんかはでないと思うのだが……。
 
 でもそういえば、なんだか以前にも似たようなことがあったな、と私は思い返す。
 
 あの時は青い美しいドラゴンの群れが空を楽し気に飛んでいた。もしかしたら、今回もそうかもしれない。
 
 
 またしても気になった私は、こっそりと窓を開け、外の様子を覗き見る……と……やはりそうだった。
 
 今回は青と赤の二色のドラゴンの群れが上空で戯れて……んん?
 
 よく見れば、二色のドラコン達は戯れているという表現が似つかわしくないほどに、上空で激しくドンパチしあっていた。
 
 赤いドラゴンの群が炎を吹き、青いドラゴンの群が氷のようなものを盾にしている。
 
「ドラゴン達が喧嘩しているのかしら?」
 
「なんだって?! ドラゴンだと?!」
 
 私の呟きに、隣にいたおじいさんが反応し、慌てだした。どうやら、領民にとってもドラゴンは恐怖の対象らしい。
 
 
 
「空の上ですし、大丈夫だと思いますよ。慌てず待ちましょう。」
 
「お嬢ちゃん、肝が据わってるんだねぇ。でもね、ドラゴン達は危険なんだよ? 安易に考えず、近寄らないのが一番だ……はぁ、領主さんところの息子さんたちが来てくれるまで待つしかないね。」
 
 
 ん? 辺境伯様のところの息子ということは、あの七人のことだろうか?
 そういえば、半年間も一緒に生活していたのに、自分のことで精一杯で、あの七人が普段なにをしているのか聞いたこともなかった。
 
 
「おじいさん、領主様の所の息子さん達は何をしてくれるんですか?」
 
「おや、お嬢さんは彼らの事を知らないのかい? 彼らはね、いつ……」
 
 
 
 
「う、うわぁぁぁぁ! た、助けてくれぇぇ!」
 
 
「「っ?!」」
 
 
 おじいさんから彼らの話を聞こうとしていたその時だった。
 外にいた馬車の御者の突然の大きな叫び声に、何事かと思い、私たちは話を途中で止め、慌てて窓の外を確認する。
 
 
 
 するとそこには、見覚えのある真っ黒な小さなドラゴンがいた。
 
 御者の男性とドラゴンは向かい合い、騒ぎ立て必死に助けを求める男性を、その小さなドラゴンは首をかしげながら眺めている。
 特に襲い掛かろうとしているようには見えないが、対峙している御者からすれば、目の前にドラゴンがいると言うだけで生きた心地がしないのだろう。
 
 
「まずい! どうしてこんなところに黒いドラゴンがいるんだ! 大変だ、黒はまずいぞっ!」
 
 
 私の隣で一緒に窓の外を覗いていたおじいさんも、再び慌てだした。その身体は恐怖からか震えており、顔色もすごく悪い。
 
 確かあの時、アギット様も黒のドラゴンは最も危険だと言っていた気がするが、そんなに危険なのだろうか?
 
 
「黒のシュヴァルツ……でしたか? 私はおそらく以前にもあの子に会ったことがありますわ。」
 
「なんだって?! よく生きて逃げられたね!」
 
「……生きて? ……ああ、その時は領主様のご子息が助けに来てくださいました。」
 
 
 すると、そのシュヴァルツの幼体は、目の前で腰を抜かす御者から私達の乗っている馬車へと視線を移し、じっとこちらを見ている。
 
「あぁぁっ気付かれた! もうおしまいだ、わしらはここで死ぬんだ!」
 
 おじいさんもこちらを見ているシュヴァルツの幼体に気付き、発狂し始めてしまう。
 対峙している御者がまだ生きているのに、なぜそう思うのだろうか。思い込みとは不思議なものだ。
 
 
 じっとこちらを見ながら、時折首をかしげているシュヴァルツの幼体のそのしぐさに、私は何かを……誰かを探しているような気がした。
 
「私少し用事を思い出しましたわ。こちらで失礼いたしますね。」
 
「おっお嬢ちゃん?! 今出ていくのは不味いよ! おいっ、ちょっと!」
 
 言い方は悪いが、私はおじいさんの制止を無視し、自分の荷物を持って馬車を降りた。
 
 







「……久しぶりね、私の事を覚えている?」
 
 シュヴァルツの幼体は、馬車から降りた私を確認すると、いつぞやの夜のように、テッテケテと足早に私に駆け寄ってきた。

 その動きは、可愛い以外の言葉が当てはまらない……。
 
 私達人間からしたら、幼体とはいえ巨大な身体に、小さな脚……そして大きな羽を携えている。普通は恐ろしいと思うだろう。

 しかし、私にはあまり恐ろしいとは思えない。


 そして、シュヴァルツの幼体は、あの夜とまったく同じように、スンスンと私の匂いを嗅ぎ、その後はベロンベロンと顔を舐めてきた。
 
 
「ふふっまたなの? っやめてってばっ! ふふふっ!」
 
 
 やはりこの子はそんなに危険ではない気がする。
 
 ふと、地面を見れば、先ほどまで叫んでいた御者は、いつの間にか気を失っている。
 
 
 
「あなたはここで何しているの? 今日はご両親は一緒じゃないの? またどこかから見ているのかしら?」
 
 
 言葉として答えが返ってくるはずは無いことはわかってはいるが、どうもこの子は私の言葉を理解している気がするので、ついつい話しかけてしまう。
 
 そんなことはお構いなしだとばかりに、シュヴァルツの幼体は私の顔を舐め続けているが、いい加減、べとべとだからやめて欲しい……。
 
「あなたがここにいると、みんなが怖がってしまうの、いい子だからご両親の所へ帰りなさい。」
 
 すると、シュヴァルツの幼体は私を舐めることをやめ、再びコテン、と首をかしげた後、突如ギャォォっと咆哮を上げた。
 
 そのあまりの声量に、思わず耳をふさぐも、次の瞬間、さらにマズイ事になったと後悔する。
 なぜならその子は、あの夜と同じ二体のシュヴァルツの成体を呼んだのだ。

 空から舞い降り現れた二体の成体は、明るい所で見ると幼体とは比べ物にならないほどに大きく、逞しかった。

 二体の成体の登場に、馬車の中にいた乗客達は中から飛び出し、四方八方へと逃げ去って行く。

 気を失っていた御者も、いつの間にやら姿が見えない、


 
 ……あら? 私、逆に置いて行かれたのかしら。

 
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