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25.ガキの頃の探検を思い出す
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だが引き返したその家の中に、若葉の姿はなかった。
「変だなあ」
勝手知ったる家の中を、松崎はあちこち見回る。あたし達も、おじゃまします、と一応口にしてから、土間の上に上がらせてもらう。
それにしても、いい感じの家だった。良い木材を使って作られただけではない。もう建てられてからずいぶんなるはずだ。天井の梁の色がそれを物語っている。
鎖国した頃? それ以上だろうか。そのあたりは専門でもないあたしには判らない。
ただ、その家を住んでいる人が愛しているだろうことは、よく判る。
確かにここ数日、人の出入りがなかっただけあって、少しばかりほこりは積もっているが、きちんと掃除され、整頓され、今は枯れてしまっているが、床の間にも食堂にも、台所にも花が生けてあった。
ただ、洗濯ものだけが、急いで取り込んだように、居間のちゃぶ台の上に放り出してあった。きっと若葉が軒下か何かに干してあったものを慌てて取り入れたのだろう。
いい家庭だったのだろうな、とぼんやり思う。
あたしの家庭、はどんな所だったのだろう。
「おいちょっとこっち来てみろよ」
高橋がどなる。ぼうっとしていた頭が急に現実に引き戻される。
「何よいったい」
ほれ、と高橋は集まったあたし達に、縁側の側にある村長の私室を指さす。
十二畳の部屋だった。真ん中に置かれた大きな木の机の上は、荒らされていた。
ただ、それは一枚の紙で隠されていた。若葉が出したのだろう、地図が広げられていたのだ。
「地図が―――」
あたしは思わず口にする。
「そうだ、地図がここにある。だけど若葉がいない」
ということは、と皆で顔を見合わせる。
通ってきた畳の部屋ではなく、縁側に目をやる。判らない、とばかりに高橋は縁側ぞいの畳にばっと顔を寄せる。あった、と声が響いた。
「足跡があるぜ」
ばっと見では判らない。だが確かにそこには、白茶けた足跡がついていた。
「じゃあ若葉は」
「連れ去られた、という可能性があるぜ。何かごそごそと村中がしているから、様子見に来た奴に連れ去られた」
どん、とその時背後で大きな音がした。
「松崎」
「俺は馬鹿だ!」
どんどん、と彼は何度も、机の上に両手を叩き付ける。あかんて、と振り上げたその手を森田は掴んだ。
「あかん。そんな暇あったら、お前は俺等を案内しい」
「あ」
松崎は一声うめくと、唇を噛んだ。それ以上自分が何か言い出すのは嫌だ、と言うように。そして黙ってうなづく。森田もまた、黙ってうなづいた。
あたしはその間に、ふら、と部屋の中を見渡していた。
……ああ。
「どうしたんだ? 森岡」
「あ、ごめん、ちょっとあたし、トイレ行かせて」
「便所か」
「女の子にそういう言い方する?」
便所は便所だろ、と言い捨てて、遠山は外に出た。
目に止まったのは、電話だった。村長の私室には、電話があったのだ。
もちろんそれは管区内のものだろう。しかし、この道中、めったに見かけることのなかったものだ。使う必要がないところに電話はない。
受話器を上げ、ここしばらくのうちに掛け慣れた番号を押す。
『はい管警本部総合本部でございます』
聞き慣れた、係の女性の声がする。冷静なら、綺麗な声だ。
「すみません、そちらに今、特警の久野雅之さんはお見えでしょうか」
いつもの子よ、と後ろの奴と話している声が聞こえる。感度がいい電話機だ。
『ごめんなさいね、久野さんはここ二日ほど、こちらに顔を出していないの』
「え」
『申し訳ないけど』
綺麗な声は、ややねっとりした不快感を込めて、そう告げた。電話は切れる。いない――― のか。
受話器を手に、あたしは数秒間、自分が凍っていたことに気付く。
ぶる、と頭を少し振る。彼がつかまらない。
一週間、とあたしが言ったから、一週間しなくてはこっちには来ないのだろうか。
もしかしたら、全く来ないのかもしれない。
それでは困る。困るような気がする。いや、すごく困る。
あたしの役目は、事件を何も見当たらない平地から掘り返すことで、それを解決することではない。
解決するのは、彼らの役目だ。権限もなければ、力もない。
事件の「解決」には、あたしは無力だ。
無力であることを知っているから、彼が必要だった。彼だけでない。管区警察の背を押したりもしてきた。困った。すごく困った。
助けて。
背中が、ふと寒くなる。両腕で、自分の肩を抱きしめる。でも肩を抱いたところで、背中は暖かくならない。
おかしいじゃないの。こんな暑いのに。
「森岡まだかよ?」
遠山が呼びに来る。はっ、としてあたしは手をほどく。すぐ行くわよ、と声を張り上げる。
森田の言葉が身にしみる。そんな場合ではないのだ。
*
こっちだ、という松崎の自転車を追いかけて、あたし達は渓谷のほうへと進んでいく。
確かに昔観光地だった、というのがよく判る。川沿いを進んでいくと、次第に切り立った両側の緑が澄んだ水に映って、涼やかな景色を作り出す。
「う…… わぁ」
やがてあたし達は自転車を降りた。いい加減、乗って行くには難しい傾斜に差し掛かってきたのだ。
「あれは…… 滝?」
「ああ。あれも昔は観光名所になったって言うな」
確かにそうだろうな、と遠山は感心する。遠足に来たいわ、と森田もうなづく。
「だけど別に今はそんなもの関係ないんだ。ただ」
その滝の方へ、と松崎はだんだん足を進めていくようだった。平気な顔をして、彼は次第に水しぶきのかかる辺りまで足を進めた。
「ま、松崎くん、滝の中に入ってくの?」
「中、という訳じゃないんだけど」
ほら、と彼は指さした。水しぶきを手で避けながら、目をこらす。
「この横から、奧に入る道があるんだ」
へえ、とあたし達は感心する。
「何や、ちょっとガキの頃の探検を思い出すわ」
「延長だよ」
吐き捨てる様に言い捨てて、松崎はしぶきをあびながら、奧へと進んでいった。待って、とあたしもその後に続く。
足を踏み出す時に、不安がなかった訳じゃない。こんな場所から入って、もし久野さんが来た時に、気付かれなかったらどうしよう。
その背を森田が押す。行こうや、とつぶやく。
そうだよね、前に進まなくちゃ。立ち止まっていても何もならない。ここまで来たのだから。
「いて!」
「何してんだよ」
通り抜けようとする時、そばの木から出ていた枝が、髪に引っかかった。
「お前の髪、腰がないから、絡むと絡みっぱなしなんだよ」
そう言いながら、遠山は太い指で苦労しながら取ろうとする。先に行くぜ、と高橋と森田が追い抜いていく。
「いいわ、少しちぎって」
「いいのか?」
「いいのよ」
判った動くなよ、と言って遠山は引っかかった分の髪を、少しづつぶちぶちと切った。
「頭痛くなかったか?」
平気、とあたしは答える。
色を抜いたり染めたりしている髪だから、若葉の黒いさらさらでしっとりした髪より乾いてるし、弱い。割と簡単に切れるはずだった。
「栄養ない髪だよなあ。櫛ちゃんと通るか?」
「うるさいよ」
遅れを取り戻すべく、あたしと遠山は足を速めた。
「変だなあ」
勝手知ったる家の中を、松崎はあちこち見回る。あたし達も、おじゃまします、と一応口にしてから、土間の上に上がらせてもらう。
それにしても、いい感じの家だった。良い木材を使って作られただけではない。もう建てられてからずいぶんなるはずだ。天井の梁の色がそれを物語っている。
鎖国した頃? それ以上だろうか。そのあたりは専門でもないあたしには判らない。
ただ、その家を住んでいる人が愛しているだろうことは、よく判る。
確かにここ数日、人の出入りがなかっただけあって、少しばかりほこりは積もっているが、きちんと掃除され、整頓され、今は枯れてしまっているが、床の間にも食堂にも、台所にも花が生けてあった。
ただ、洗濯ものだけが、急いで取り込んだように、居間のちゃぶ台の上に放り出してあった。きっと若葉が軒下か何かに干してあったものを慌てて取り入れたのだろう。
いい家庭だったのだろうな、とぼんやり思う。
あたしの家庭、はどんな所だったのだろう。
「おいちょっとこっち来てみろよ」
高橋がどなる。ぼうっとしていた頭が急に現実に引き戻される。
「何よいったい」
ほれ、と高橋は集まったあたし達に、縁側の側にある村長の私室を指さす。
十二畳の部屋だった。真ん中に置かれた大きな木の机の上は、荒らされていた。
ただ、それは一枚の紙で隠されていた。若葉が出したのだろう、地図が広げられていたのだ。
「地図が―――」
あたしは思わず口にする。
「そうだ、地図がここにある。だけど若葉がいない」
ということは、と皆で顔を見合わせる。
通ってきた畳の部屋ではなく、縁側に目をやる。判らない、とばかりに高橋は縁側ぞいの畳にばっと顔を寄せる。あった、と声が響いた。
「足跡があるぜ」
ばっと見では判らない。だが確かにそこには、白茶けた足跡がついていた。
「じゃあ若葉は」
「連れ去られた、という可能性があるぜ。何かごそごそと村中がしているから、様子見に来た奴に連れ去られた」
どん、とその時背後で大きな音がした。
「松崎」
「俺は馬鹿だ!」
どんどん、と彼は何度も、机の上に両手を叩き付ける。あかんて、と振り上げたその手を森田は掴んだ。
「あかん。そんな暇あったら、お前は俺等を案内しい」
「あ」
松崎は一声うめくと、唇を噛んだ。それ以上自分が何か言い出すのは嫌だ、と言うように。そして黙ってうなづく。森田もまた、黙ってうなづいた。
あたしはその間に、ふら、と部屋の中を見渡していた。
……ああ。
「どうしたんだ? 森岡」
「あ、ごめん、ちょっとあたし、トイレ行かせて」
「便所か」
「女の子にそういう言い方する?」
便所は便所だろ、と言い捨てて、遠山は外に出た。
目に止まったのは、電話だった。村長の私室には、電話があったのだ。
もちろんそれは管区内のものだろう。しかし、この道中、めったに見かけることのなかったものだ。使う必要がないところに電話はない。
受話器を上げ、ここしばらくのうちに掛け慣れた番号を押す。
『はい管警本部総合本部でございます』
聞き慣れた、係の女性の声がする。冷静なら、綺麗な声だ。
「すみません、そちらに今、特警の久野雅之さんはお見えでしょうか」
いつもの子よ、と後ろの奴と話している声が聞こえる。感度がいい電話機だ。
『ごめんなさいね、久野さんはここ二日ほど、こちらに顔を出していないの』
「え」
『申し訳ないけど』
綺麗な声は、ややねっとりした不快感を込めて、そう告げた。電話は切れる。いない――― のか。
受話器を手に、あたしは数秒間、自分が凍っていたことに気付く。
ぶる、と頭を少し振る。彼がつかまらない。
一週間、とあたしが言ったから、一週間しなくてはこっちには来ないのだろうか。
もしかしたら、全く来ないのかもしれない。
それでは困る。困るような気がする。いや、すごく困る。
あたしの役目は、事件を何も見当たらない平地から掘り返すことで、それを解決することではない。
解決するのは、彼らの役目だ。権限もなければ、力もない。
事件の「解決」には、あたしは無力だ。
無力であることを知っているから、彼が必要だった。彼だけでない。管区警察の背を押したりもしてきた。困った。すごく困った。
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背中が、ふと寒くなる。両腕で、自分の肩を抱きしめる。でも肩を抱いたところで、背中は暖かくならない。
おかしいじゃないの。こんな暑いのに。
「森岡まだかよ?」
遠山が呼びに来る。はっ、としてあたしは手をほどく。すぐ行くわよ、と声を張り上げる。
森田の言葉が身にしみる。そんな場合ではないのだ。
*
こっちだ、という松崎の自転車を追いかけて、あたし達は渓谷のほうへと進んでいく。
確かに昔観光地だった、というのがよく判る。川沿いを進んでいくと、次第に切り立った両側の緑が澄んだ水に映って、涼やかな景色を作り出す。
「う…… わぁ」
やがてあたし達は自転車を降りた。いい加減、乗って行くには難しい傾斜に差し掛かってきたのだ。
「あれは…… 滝?」
「ああ。あれも昔は観光名所になったって言うな」
確かにそうだろうな、と遠山は感心する。遠足に来たいわ、と森田もうなづく。
「だけど別に今はそんなもの関係ないんだ。ただ」
その滝の方へ、と松崎はだんだん足を進めていくようだった。平気な顔をして、彼は次第に水しぶきのかかる辺りまで足を進めた。
「ま、松崎くん、滝の中に入ってくの?」
「中、という訳じゃないんだけど」
ほら、と彼は指さした。水しぶきを手で避けながら、目をこらす。
「この横から、奧に入る道があるんだ」
へえ、とあたし達は感心する。
「何や、ちょっとガキの頃の探検を思い出すわ」
「延長だよ」
吐き捨てる様に言い捨てて、松崎はしぶきをあびながら、奧へと進んでいった。待って、とあたしもその後に続く。
足を踏み出す時に、不安がなかった訳じゃない。こんな場所から入って、もし久野さんが来た時に、気付かれなかったらどうしよう。
その背を森田が押す。行こうや、とつぶやく。
そうだよね、前に進まなくちゃ。立ち止まっていても何もならない。ここまで来たのだから。
「いて!」
「何してんだよ」
通り抜けようとする時、そばの木から出ていた枝が、髪に引っかかった。
「お前の髪、腰がないから、絡むと絡みっぱなしなんだよ」
そう言いながら、遠山は太い指で苦労しながら取ろうとする。先に行くぜ、と高橋と森田が追い抜いていく。
「いいわ、少しちぎって」
「いいのか?」
「いいのよ」
判った動くなよ、と言って遠山は引っかかった分の髪を、少しづつぶちぶちと切った。
「頭痛くなかったか?」
平気、とあたしは答える。
色を抜いたり染めたりしている髪だから、若葉の黒いさらさらでしっとりした髪より乾いてるし、弱い。割と簡単に切れるはずだった。
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