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第20話 俊蔭のものがたり―――琴を手にし帰国してより

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 俊蔭は天女の言葉に従い、花園より西を目指して歩き出した。
 やがて大きな川があったが、突然現れた孔雀が彼を渡してくれた。
 三十の琴は、既に例の旋風が送っているはずだった。
 更に西へ行けば、今度は谷があった。谷は龍が出てきて渡してくれた。
 険しい山は、仙人が出てきて越えることができた。
 虎狼が出る山には、象が出てきて越えさせてくれた。
 そして更に西へ行ったところで――― やっと七つの山に七人の天女の子の住む場所へとたどりついた。
 最初の山には、旃檀の木陰に歳は三十くらいのひとが林に花を折り敷いて琴を弾いていた。
 彼は伏し拝む俊蔭に気付くとすぐには声も出せない程驚いた。

「……あなたは」

 俊蔭は即座に答えた。

「私は清原俊蔭と申します。……様々な経緯を経て、天女の仰せにより、ようやくここまでやって参りました」
「……何と。そういうことがあったのですか。あの蓮華の花園は、私の母が通って来る場所です。日本から来た只人とは言え、あなたはそちらからいらした。それだけでも、私にとっては仏がいらっしゃるよりも貴いことに思われます」

 そう言うと、彼は俊蔭を自分と同じ木の下へ導いた。

「さあ今まであったことを、ぜひお話下さい。私はとてもあなたという人に興味があります」 

 俊蔭は乞われるままに、そう言うと日本から出たこと、流れ着いたこと、阿修羅との出会いのこと、そして天女にこちらへ来る様に言われたことを語った。
 その時例の旋風が、琴を運んできた。
 天女の子である山の主は、一つ一つその音を確かめる。

「おお…… 何と素晴らしい」

 感に耐えない、という声を漏らす。

「どうでしょう。これを持ち、私のきょうだいの元へとご一緒して下さいませんか」
「きょうだいの」
「私達は七人きょうだいです。皆琴を愛する者です。きっと喜ぶでしょう」

 山の主はそう言うと、二つ目の山に俊蔭を連れて行った。

「蓮華の花園からの客人なのだ。我等が母上のことを思いだし、つい懐かしく、そなたにも引き合わせたくて連れてきてしまったよ」

 俊蔭の事情も説明すると、二つ目の山の主も感動し、他の兄弟に会わせよう、という話となった。
 そして次々に同行は増え、とうとう七つ目の山へと入った。
 そこの風景はそれまでの六つとは他と異なり、地面は瑠璃でできていた。
 花を見れば香りが非常に良いし、紅葉を見れば色が格別美しいし、浄土の楽の声が風に混じってすぐ近くに聞こえてくる。
 そしてその花の上では鳳や孔雀が連れだって遊んでいる。
 そこへ俊蔭と、六人が連れだって入って行くと、七番目の山の主は喜んだ。

「久しぶりですね。どうなさいましたか」
「実はこの日本の方が、母上の蓮華の花園からいらしたのです」
「おお、それは」
「母上絡みということで、ついきょうだいを誘ってここまで来てしまいました。清原俊蔭どのです」
「ああ……」

 七番目の山の主は、俊蔭に向かってゆったりと微笑みかける。

「我々は、天上から来た方より生まれし者達。母上はこの山に下ると、一年に一人、我等をお産みになって、そのまま天上にお帰りになられた。我等は母の乳房も知らぬまま、花の露を養いとして受け、紅葉の露を母の乳として嘗め、今まで生きてきたのである。……母は天上に帰ってのち、天つ風につけてもこちらへはいらっしゃらない。我々が居ることなど知る者もなく、我々は……」

 そこで一度主は言葉を切り、ふっと視線を逸らした。

「……風に乗りて、母上が東の花園に春と秋にお下りになると聞き、どれ程嬉しかったか。その花園より、と聞けば、それは…… 決して罪深い普通の人間が来られる場所ではないのだが、……それでもあなたからはその場所の香りがする。……私はあなたを歓迎したい」

 そして彼等はそれから八つの琴を皆で弾き合わせ、七日七晩それを続けた。
 琴の音は高々と響き、仏の国まで届いたという。
 そしてその国では、仏が文殊菩薩にこう告げた。

「ここより東、唐よりは西に、天女の植えた木の鳴る音がするのだが」
「はて、それは」
「判らぬ。故にそなた、見てきてはくれぬか」

 文殊菩薩は獅子の背に乗り、あっという間にその地にたどり着いた。
 驚く彼等の前に、文殊は降り立った。そして俊蔭にこう問いかけた。

「そなた達は何処のどういう者達だ」

 俊蔭以外の七人は、文殊の前に頭を下げて答えた。

「我等は昔、兜率天《とそつてん》の内院に住んでいましたが、いささかの罪を犯した罰として、とう利天の天女を母として、この世界に生まれ変わった者です。この七人、普段はそれぞれ別々の山に住み、会うこともありません。そんな時に、この方が、母の降りる場所から来たということで、懐かしさに集まり、琴を弾き鳴らしていたのです」

 そうだったのか、と文殊はうなづくと、再びあっと言う間に仏の元へと戻って行った。
 文殊が報告すると、仏はこう言った。

「私も行こう」

 言うが早いが、仏は文殊を引き連れ、雲の輿に乗った。
 近づくと共に、流れる川はいつもと違って荒れ狂い、山自身も大きく震えた。大空もそれは同様だった。
 雲の色、風の声が変わり、春の花、秋の紅葉、その他様々な美しいものが、季節を問わず咲き乱れた。
 その様子に、俊蔭達もいつも以上に声高く琴を弾いている中に、仏が渡ってきた。雲からそのまま孔雀に乗り、花の上を飛び回った。
 その間俊蔭達は、琴に合わせて阿弥陀の名を一心不乱に念じていた。
 七日七晩その様なことを続けた後、仏は彼等の前に姿を現した。

「そなた達は昔もその勤めは熱心であり、犯した罪は些細なものだった。それ故兜率天の者として生まれたのだ。
 しかし先には、呆れるほどあさましい、怒りや恨みというものを見せたものだ。それがそなた達をこの穢土へと生まれ変わらせたのだ。その業がようやく尽きたのだ。
 また、この日本から来た者は、生まれ変わり生まれ変わりしても、永劫人の身を受け続ける者なのだ。前世で色欲の悪行がはかりしれない程酷かったのだ。それ故にこの者は、輪廻した一人の腹に生まれ変わり生まれ変わりして八度も宿り、二千人その各々の腹に五度又は八度宿る筈だった。
 しかし、昔『大そむはむな』という仙人が居た。物惜しみをし、無慈悲な国王のために滅んだ国が滅び、人々が疲れ果てた時期があった。その時、この仙人が七年の間、莫大な数の衆生に手持ちの穀を与え、尊勝陀羅尼を人々に伝えたという。
 その時に、この日本から来た者の前世が、三年心身を慎み、その仙人の食事の世話をし、水汲みをした功徳で、三悪道に輪廻し生死を繰り返す罪が消滅して人間となることができたのだ。尊勝陀羅尼を念じる人を供養したからだ。
 現在再び人間に生まれ変わることも難しいことではあったが、今、この山にて私と菩薩を驚かせ、怠けおこたり無慈悲なあの連中に良き心を持たせたことはなかなかのものである。この山の七人は、残った業も尽きることであろう。兜率天に帰るがいい」

 はっ、と七人は顔を上げた。

「そして日本のそなた。そなたは以上の様な次第でこれからは幸福になるだろう。そしてこの七人のうちの一人を、孫に得るだろう」
「私の、孫……」

 俊蔭は思いも掛けない言葉に唖然とする。

「その孫は、人の腹に宿る様な者では無いが、これも何かの縁である。その者により、そなたの末は、豊かな報いを受けるであろう」

 その場に居た八人は皆、仏を拝み奉った。
 俊蔭はこの琴を仏と菩薩に一つづつ渡した。するとあっという間に二人は雲に乗り、風に靡いて戻って行った。その時には天地も震えた。

 この様を見送った時、俊蔭はもう日本へ帰るべき時だ、と決心した。
 そして七人に一つづつ琴を渡した。彼等は涙を流して別れを惜しんだ。

「とてもここを離れがたいのですが……」
「おお、それは我々とて同様。我々にせめてできることは……」

 七人は音声楽でもって、孔雀が彼を渡した川まで送った。

「我々は日本まであなたをお送りしたいのだが、残念ながらそれはできない。ですからせめて」

 そう言って印を結び、呪文を唱える。
 あ、と俊蔭は声を立てる。彼等はその手に傷をつけ、その血で琴に書き付けたのだ。

 りゅうかく風。
 ほそお風。
 やどもり風。
 山もり風。
 せた風。
 花ぞの風。
 かたち風。
 みやこ風。
 あわれ風。
 おりめ風。

 その様に十の琴を名付け、七人は戻って行った。やがて琴は吹き上げる風に巻き上げられて行った。

 俊蔭は来た道を戻り、最初に出会った三人の元へとたどり着いた。

「……おお、よくお帰りに」
「……様々なことがありました」

 そう言ううちに、風が天女の名付けた二つも含めた十二の琴が名を付けられなかった白木のものを加え、彼の前へと降りて来る。

「……今までお世話になりながら、何もできずに」
「いえいえ、楽しい日々でした」
「せめてこれを」

 俊蔭は白木の琴を彼等に渡した。彼等が喜んだことは言うまでもない。



 俊蔭はようやく日本へ帰る気になったが、その前に波斯国へと渡った。
 帝や后、そして皇太子にこのことを一つづつ報告すると、帝は非常に驚き楽しみ、俊蔭を呼んだ。

「この琴だが、まだその音が馴染んでいない様に思える。しばらく弾き鳴らしていくがいい。他国の者とはいえ、既に国を離れて久しいだろう。この国に居るのなら、わしが便宜をはかってやろう」

 それは、と俊蔭は返した。

「……私は日本に、既に年老いた父母がおります。ですがそれを見捨ててこの様に彷徨い来てしまいました。きっと今は亡くなり、荼毘にふされ、既に塵や灰となってしまっていることでしょう」
「だったら尚更」
「私はせめて、その白い屍だけでも見たいのです。見なくてはならないのです。……ですから、せっかくの仰せですが……」

 そうか、と帝は非常に哀れに思い、帰国を許した。



 波斯国の交易船に乗り、帰途についた俊蔭が日本についたのは、三十九の歳。
 故国を出て既に二十三年の月日が流れていた。
 父は亡くなって三年、母に至っては五年になるとのこと。
 俊蔭は嘆いたが、そうしたところで父母が戻ってくる訳ではない。三年の喪に服し、それからようやく朝廷に帰国の報告をした。

「おうおう、亡くなった者も多い中で、よく帰ってきたものだ」

 当時の帝は彼の帰国を喜んだ。
 俊蔭が長い月日の間にあったことを報告すると、帝は哀れに思ったり、興味深く聞き、彼を式部少輔の役につけた。殿上も許し、東宮の学士に任じた。

「学問に道については俊蔭に任せる。順を追い、東宮の才に従って教え、治世のことも心配の無い様にしてくれ」

 やがて、その様に帝から頼りにされ、容貌も有様も全てが人より優れている俊蔭には「うちの娘を」と持ちかける者が一気にやってきた。
 しかし当の本人は、仏に伝えられた、前世の淫欲の罪を思い、慎んで用心していた。
 そのうちに、それでも一人、一世の源氏にあたる女性に出会った。心映えの優れたひとだったので、この人なら、と俊蔭は北の方とし、女の子を一人儲けた。
 ようやく訪れた穏やかな幸せに、俊蔭は妻も子もどちらも非常に可愛がった。
 やがて位も上がり、式部大輔となり、左大弁と掛け持つ様になった。
 そしてその頃から、娘の才能が際だってきたのだ。



 さてその娘が四つの夏のことである。
 もう技芸を習得するのにちょうどいい年頃になったと俊蔭は感じた。自分が命を賭けて習った琴を娘に全て教えようと決心した。
 そこであの波斯国から持ち帰った琴を取り出した。
 あの「なん風」「はし風」の二つは誰に言わずに隠しておいた。
 残りの十の琴は周囲の人々それぞれに送った。
 まず帝に「せた風」を。
 「山もり風」は当時の后の宮に。
 「花園風」は当時の東宮に。
 「みやこ風」はその東宮の女御に。
 「かたち風」は当時の左大臣忠恒に。
 「おりめ風」を右大臣千蔭に。
 残り一つ「あわれ風」も何処かへと送ったのであろうが、やがて行方知れずとなる。
 手元には三つだけ残した。
 娘には「りゅうかく風」を習得用に。
 自分のためには「ほそお風」を。
 そして家のために「やどもり風」を。

 帝はこれら献上された琴の鳴り響く様子に非常に驚き、俊蔭に問いかけた。

「この琴は、どうやって作りあげたのだ。波斯国から持ち帰ったのなら、しばらく手も触れないでいたものであろうが、その声が衰えることもなく素晴らしく鳴り響き、しかもそり七つとも、皆同じ音であるのはどういうことであるか」

 そこで俊蔭は、琴の作られた由来をそこで詳しく話した。

「そうであったか。では俊蔭よ、この琴の声はまだ慣れてない様だ。そなたが弾いて整えるが良い」

 そう言って「せた風」を俊蔭の前に差し出した。
 俊蔭はそれを受け取って、大曲を一つ弾き始めた。
 響きは凄まじかった。
 宮中の建物の瓦が砕けて、花の様に散る程であった。
 もう一曲、と掻き鳴らすと、今度は六月の半ばだというのに、雪が凝り固まって降り出した。
 帝はこの様子に改めて驚いてこう言った。

「何とまあ、この琴は、この調べは素晴らしいものよ。これは『ゆいこく』という曲だ。もう一つは『くせこゆくはら』といあう曲だ。唐の皇帝が弾いた時、瓦が砕けて雪が降った、という謂われのある曲だ。だがこの国ではまだその様なことは無かった」

 ふうむ、と帝はほとほと感心する。

「俊蔭は、その昔から進士と秀才の二度の試験で、その才を示してきた。素晴らしい者である。とは言え、学問においては、俊蔭を凌ぐ者は居る。だが琴に関しては、今見た通りだ。俊蔭に勝る者は居ないだろう」

 全くだ、と周囲に居た者もそれには納得した。

「俊蔭よ、そなた、ぜひ学士ではなく、東宮に琴を教えてくれぬか。東宮はこう言っては何だが、わしの子ながら、素晴らしい才能の持ち主だ。心を入れて打ち込み、そなたの持つ全ての曲を東宮に伝授したなら、そなたを公卿の身分に取り立てよう」

 帝はそう言って俊蔭に命じた。
 だが俊蔭はそれには応じなかった。

「……私はまだ十六の歳に、父母のもとを離れて、唐へと渡りました。嵐や波に流され、知らぬ国にうち寄せられました。戻ってきたら、父母は既に亡く、誰も私を迎える者はありませんでした。昔、帝のお言葉にかない、様々な御厚意の上で遣唐使となった私です。しかしその果てにあったものは…… 思い出すだけで、悲しくなります。失礼になるのは承知の上で、ここはお断り申し上げます」

 そう言って彼は宮中を退出した。



 それ以来、俊蔭が出仕することは無くなった。
 官位も辞し、三条の末の京極大路に広く趣のある家を建て、娘に琴を習わせることだけに心を打ち込んだ。
 娘は一度で一曲を覚えてしまう程の者で、一日に大曲を五、六曲は習ってしまっていた。彼女が掻き鳴らす琴の声は、父に勝る程のものであった。



 そんな風にして娘が琴を父から習い始めてから暫く、歳が十二、三になる頃から、容貌の方も際だってきた。
 そうなると、周囲にも次第に噂が立つようになった。
 帝や東宮は文を送ってくる。上達部や皇子達からは当然である。
 だが俊蔭は誰の文にも返事をさせず、皇子や上達部に至っては、見もしなかった。
 だが俊蔭自身は、こう帝には返していた。

「娘の行く末については天道にお任せしております。その天道に掟があるならば、国王の母とも、女御ともなるかもしれません。無ければ仕方がありません。山賎や民の妻になる、それもいいでしょう。私は貧しく零落した身です。どうして高い身分の方々と交わりができましょう」 

 困ったものだ。
 そう思いながらも帝は俊蔭を捨て置けはしなかった。
 もし気が変わったら、とでも思ったのだろう、通りの良い治部卿兼宰相の役を与えておいた。
 俊蔭はそれから亡くなるまでずっと娘に琴を習わせることしかしなかったという。

  ***

「これは尚侍が見るべきものだな」

 帝は仲忠にそう言った。

「はい。戻りましたらぜひ母上に」
「しかし長いものだ。この夜長にも読み尽くせそうにない。これからはこの草子などは自分で読むこととしよう。そなたは歌集や日記などを読んでおくれ。おおそうだ、十二月の仏名会の後にでも」

 は、と仲忠はうなづいた。
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