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42.「俺は、君の未来の知り合い」
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言われた側は、不思議そうな顔をする。
「そんな訳ないっ」
ふん、と猫科の少年は横を向く。
「信じなくてもいいさ」
自分もあの時までは、信じなかったのだから。
「……眠っていた訳じゃないけど、起きてるという感じもしなかったんだ」
そうだろうな、と思う。夢の中を漂っている様な目をしていた。
「どうしよう、俺」
少年はGの方を見る。
「こんなことなったから、もう家にも帰れないし」
「そんな家、捨てればいいさ」
「家族が居るんだ」
「戻ったところで、家族が危険だよ」
イアサムはうつむく。そうかも、と小声でつぶやく。
「だって君は、その身体を売り飛ばされたんだもの。殺してもいいよ、とサンプルにされたんだよ」
「でも俺のうちは貧しかったから」
「そうかもしれないね」
それが当然な場所もあるのだろう。あっておかしくはない。臓器を売るために子供をさらって育てている様な場所だって話には聞いている。いろんな所はあるのだ。
ただそれを当然と思うかは別なのだが。
「……あなたは、だれ?」
その時ようやく少年の口から、その質問が出た。俺? とGはハンドルにもたれたまま、微妙に笑みを浮かべる。
「俺は、君の未来の知り合い」
「未来の?」
「そう」
「だって今だって知り合ってるじゃない」
「そういう意味じゃあないさ。君はまだ子供だし」
少年の顔が赤らむ。
「俺は君と長くは一緒に居られない。だから君を安全なところまで送り届けようとは思うのだけど……」
幾つかの、候補地が頭に浮かぶ。何処だったら、この少年が大人になるのを許してくれるだろう。
「ミント」
そうだ、と彼は思う。あそこでイアサムは長い間暮らしていた様なことを言っていた。
「ミント?」
「そう、ハリ星系の惑星ミント。聞いたことは、ある?」
少年は首を横に振る。
「太陽が、まぶしくて、風が熱い、そんな惑星だよ」
*
まぶしい、と彼はその惑星に着いた時思った。
強烈な日射しが、宙港のロビーから外に一歩出た瞬間、目に飛び込んで来る。
猫科の少年は、大きなサングラスを掛け、Gのそばにぴったりとくっついている。
時間が時間なのだろうか。遠くで祈りの声が聞こえる。日は中天。
「ここなの?」
少年は訊ねた。そう、と彼は答えた。ただ、あの時しばらく居着いたワッシャードではなく、もう一つの勢力都市であるアウヴァールだった。
砂漠をはさんだその都市は、それでも文化的にはそう向こう側と異なることは無いらしく、長い長い昼間には、皆カフェでゆったりと過ごし、時間が来ると祈りの言葉を捧げるらしい。
とりあえずは、一休みしたかった。あの惑星でイアサムを助け出してから、ずっとこの方、動き詰めだったのだ。どうやってミント行きの船を見つけて、なおかつそれに乗り込んだか、などというのは、思い出すと何となく今は疲れそうだった。
少年は、と言えば。
ぽつぽつと、そんな立て込んだ時間のすきまに、自分の故郷の話をGに伝えていた。
*
「荒れた惑星なんだ」
乾いた声が、そう言った。
船の中の光は夜のものと同じなので、少年の瞳はずっと丸いままだった。ずっと見ていると、深くて、吸い込まれそうになる。
「荒れた惑星だった、のかな? 俺には判らないんだけど」
船の狭い部屋の中、ただ並べられただけのベッドの上に座り込んで、二人は話していた。
丸い窓から、延々続く闇がのぞいている。それだけだった。天井には素っ気ない灯りが、暗くない程度に灯され、時間が来ると消える。客の意向もへったくれも無い。
低価格の船の個室というものはそういうものだった。雑居室だったらもっと安いのだが、少年の瞳がひょんなことで昼間のものに変わったりして、人の注意を引いても困る。いやそれ以前に、G自身が人目を引いてしまう。
「判らない?」
「だって、俺が生まれた時からああだったし、俺は他のとこなんて知らないし。ただ世代が上のひと達が、そういうから、そういうものだと思ってた」
「世代」
聞き覚えのある単語だった。注意すべき言葉だった。
「世代で、君たちの惑星は分けてるの?」
うん、と少年は膝を抱えてうなづいた。
「最初にカトルミトンにやってきた人達が、第一世代、だって。俺はもう、二十とかそのあたり。世代はね、名前の一部になってるんだ。真ん中の名前」
少年は自分のフルネームを明かす。しかしそれはGにとって、そのファーストネームほどには注意を引くものではない。
「それは、何の意味があるのかな」
そこに意味のある種族である彼は、つい聞かずにはいられなかった。
「どうだろ。でも、最初の世代の人達は、こんな目はしていなかったって聞くよ。今は当たり前になったけど、昔は、そんな子供はしばらく隠されたとか言ってたし」
変化したのか、と彼は納得する。とすると、融合型の進化種ではない訳だ。彼は少しほっとする。
天使種は、融合型の進化を遂げた種をことごとく消していった。あの旧友の相方は、そんな種族の生き残りである。
「そう言えば、カトルミトンは、鎖国した惑星だって言うけど」
イアサムはうなづき、首を軽くかしげる。
「俺も良くは知らない。ただ、昔、外の連中にひどい目にあわされたから、だったらいっそ、貧しくてもいいから、自分達だけで平和に暮らそう、って閉じたんだって聞くよ」
「ひどい目?」
「俺が連れてかれたように、さ」
ああ、とGは嘆息する。
「カトルミトンの猫を捕まえるのは簡単なんだって。あの何か甘い匂いの、あれを使えば、一発なんだって」
「亜熟果香……」
「って言うの? あれ」
ああ、とGはうなづく。
「あの匂いは好きかい?」
「好き…… かどうかは判らない。でも、何か力が抜けちゃうんだ。足とか手とか、うん、背中とかも。ぼおっとする。何か、俺の身体なのに、俺の勝手には動かなくて。何かすごく……」
イアサムは首を横に振った。
「たしかにね、あの、ふにゃふにゃしたくなるような、だるさとか、気持ちいいと言えば気持ちいいけど、俺、やっぱり自分の身体は自分のものだと思うもの。何か、やだ」
おや、とGは思う。だとしたら、彼らには、亜熟果香に関して習慣性は無い、ということか。
あの香は、普通の人間なら、身体にはともかく、気持ちがそれを欲しがる様にさせるのだ。
あくまで身体ではなく、心。なのにこの猫族は、どうやらその逆らしい。
何となく、気になる。
「でも大人になれば、効きは弱くなるらしいんだ。俺子供だから、仕方ないよね」
「子供って言われて、悔しかったりしない?」
「だってしょうがないじゃん。本当だもん。目だってまだこんなだし」
大人/子供に確固たる違いがある。どうやらそれが、無理な背伸びをさせないらしい。
「でもいつか、ちゃんとした大人になりたいなあ」
「そう?」
「うん。だって、大人だったら、こんな風に、あなたに迷惑かけずに、何とか自分でやって行こうと思うし」
「俺に構われるのは嫌?」
くす、とGは笑う。少年は慌てて首を横に振る。
「そういうことじゃなくて」
「どういうこと?」
言いながら、Gは少年のあごに指を掛ける。びく、と少年の頬が震える。
ほんのたわむれに伸ばした指だったが、見つめ返す相手の瞳は真剣だった。
「あなたに守ってもらうだけでなくて、あなたを守ることだって、できるのに」
Gはふと目を細め、指を離した。
「俺はいつか、また、未来の何処かであなたと会うんでしょ?」
「いつになるのかは、俺にもよくは判らないのだけどね」
「でもその時の俺は、大人なんでしょ? 今のあなたと、釣り合うくらいに?」
「……そうだね」
Gは目を伏せる。見かけはそう変わってはいなかったとは思うのだが。
ただ、あの不敵なまでの笑いは、通ってきた年月が培ったものなのだろう。
「その時の俺は、やっぱりあなたが好き?」
やっぱり、と少年は言った。
「君は俺のことが好き?」
「うん」
迷いもせずに、少年は言った。
「いつかまた、大人になった俺と会ったら、その時には」
「そんな訳ないっ」
ふん、と猫科の少年は横を向く。
「信じなくてもいいさ」
自分もあの時までは、信じなかったのだから。
「……眠っていた訳じゃないけど、起きてるという感じもしなかったんだ」
そうだろうな、と思う。夢の中を漂っている様な目をしていた。
「どうしよう、俺」
少年はGの方を見る。
「こんなことなったから、もう家にも帰れないし」
「そんな家、捨てればいいさ」
「家族が居るんだ」
「戻ったところで、家族が危険だよ」
イアサムはうつむく。そうかも、と小声でつぶやく。
「だって君は、その身体を売り飛ばされたんだもの。殺してもいいよ、とサンプルにされたんだよ」
「でも俺のうちは貧しかったから」
「そうかもしれないね」
それが当然な場所もあるのだろう。あっておかしくはない。臓器を売るために子供をさらって育てている様な場所だって話には聞いている。いろんな所はあるのだ。
ただそれを当然と思うかは別なのだが。
「……あなたは、だれ?」
その時ようやく少年の口から、その質問が出た。俺? とGはハンドルにもたれたまま、微妙に笑みを浮かべる。
「俺は、君の未来の知り合い」
「未来の?」
「そう」
「だって今だって知り合ってるじゃない」
「そういう意味じゃあないさ。君はまだ子供だし」
少年の顔が赤らむ。
「俺は君と長くは一緒に居られない。だから君を安全なところまで送り届けようとは思うのだけど……」
幾つかの、候補地が頭に浮かぶ。何処だったら、この少年が大人になるのを許してくれるだろう。
「ミント」
そうだ、と彼は思う。あそこでイアサムは長い間暮らしていた様なことを言っていた。
「ミント?」
「そう、ハリ星系の惑星ミント。聞いたことは、ある?」
少年は首を横に振る。
「太陽が、まぶしくて、風が熱い、そんな惑星だよ」
*
まぶしい、と彼はその惑星に着いた時思った。
強烈な日射しが、宙港のロビーから外に一歩出た瞬間、目に飛び込んで来る。
猫科の少年は、大きなサングラスを掛け、Gのそばにぴったりとくっついている。
時間が時間なのだろうか。遠くで祈りの声が聞こえる。日は中天。
「ここなの?」
少年は訊ねた。そう、と彼は答えた。ただ、あの時しばらく居着いたワッシャードではなく、もう一つの勢力都市であるアウヴァールだった。
砂漠をはさんだその都市は、それでも文化的にはそう向こう側と異なることは無いらしく、長い長い昼間には、皆カフェでゆったりと過ごし、時間が来ると祈りの言葉を捧げるらしい。
とりあえずは、一休みしたかった。あの惑星でイアサムを助け出してから、ずっとこの方、動き詰めだったのだ。どうやってミント行きの船を見つけて、なおかつそれに乗り込んだか、などというのは、思い出すと何となく今は疲れそうだった。
少年は、と言えば。
ぽつぽつと、そんな立て込んだ時間のすきまに、自分の故郷の話をGに伝えていた。
*
「荒れた惑星なんだ」
乾いた声が、そう言った。
船の中の光は夜のものと同じなので、少年の瞳はずっと丸いままだった。ずっと見ていると、深くて、吸い込まれそうになる。
「荒れた惑星だった、のかな? 俺には判らないんだけど」
船の狭い部屋の中、ただ並べられただけのベッドの上に座り込んで、二人は話していた。
丸い窓から、延々続く闇がのぞいている。それだけだった。天井には素っ気ない灯りが、暗くない程度に灯され、時間が来ると消える。客の意向もへったくれも無い。
低価格の船の個室というものはそういうものだった。雑居室だったらもっと安いのだが、少年の瞳がひょんなことで昼間のものに変わったりして、人の注意を引いても困る。いやそれ以前に、G自身が人目を引いてしまう。
「判らない?」
「だって、俺が生まれた時からああだったし、俺は他のとこなんて知らないし。ただ世代が上のひと達が、そういうから、そういうものだと思ってた」
「世代」
聞き覚えのある単語だった。注意すべき言葉だった。
「世代で、君たちの惑星は分けてるの?」
うん、と少年は膝を抱えてうなづいた。
「最初にカトルミトンにやってきた人達が、第一世代、だって。俺はもう、二十とかそのあたり。世代はね、名前の一部になってるんだ。真ん中の名前」
少年は自分のフルネームを明かす。しかしそれはGにとって、そのファーストネームほどには注意を引くものではない。
「それは、何の意味があるのかな」
そこに意味のある種族である彼は、つい聞かずにはいられなかった。
「どうだろ。でも、最初の世代の人達は、こんな目はしていなかったって聞くよ。今は当たり前になったけど、昔は、そんな子供はしばらく隠されたとか言ってたし」
変化したのか、と彼は納得する。とすると、融合型の進化種ではない訳だ。彼は少しほっとする。
天使種は、融合型の進化を遂げた種をことごとく消していった。あの旧友の相方は、そんな種族の生き残りである。
「そう言えば、カトルミトンは、鎖国した惑星だって言うけど」
イアサムはうなづき、首を軽くかしげる。
「俺も良くは知らない。ただ、昔、外の連中にひどい目にあわされたから、だったらいっそ、貧しくてもいいから、自分達だけで平和に暮らそう、って閉じたんだって聞くよ」
「ひどい目?」
「俺が連れてかれたように、さ」
ああ、とGは嘆息する。
「カトルミトンの猫を捕まえるのは簡単なんだって。あの何か甘い匂いの、あれを使えば、一発なんだって」
「亜熟果香……」
「って言うの? あれ」
ああ、とGはうなづく。
「あの匂いは好きかい?」
「好き…… かどうかは判らない。でも、何か力が抜けちゃうんだ。足とか手とか、うん、背中とかも。ぼおっとする。何か、俺の身体なのに、俺の勝手には動かなくて。何かすごく……」
イアサムは首を横に振った。
「たしかにね、あの、ふにゃふにゃしたくなるような、だるさとか、気持ちいいと言えば気持ちいいけど、俺、やっぱり自分の身体は自分のものだと思うもの。何か、やだ」
おや、とGは思う。だとしたら、彼らには、亜熟果香に関して習慣性は無い、ということか。
あの香は、普通の人間なら、身体にはともかく、気持ちがそれを欲しがる様にさせるのだ。
あくまで身体ではなく、心。なのにこの猫族は、どうやらその逆らしい。
何となく、気になる。
「でも大人になれば、効きは弱くなるらしいんだ。俺子供だから、仕方ないよね」
「子供って言われて、悔しかったりしない?」
「だってしょうがないじゃん。本当だもん。目だってまだこんなだし」
大人/子供に確固たる違いがある。どうやらそれが、無理な背伸びをさせないらしい。
「でもいつか、ちゃんとした大人になりたいなあ」
「そう?」
「うん。だって、大人だったら、こんな風に、あなたに迷惑かけずに、何とか自分でやって行こうと思うし」
「俺に構われるのは嫌?」
くす、とGは笑う。少年は慌てて首を横に振る。
「そういうことじゃなくて」
「どういうこと?」
言いながら、Gは少年のあごに指を掛ける。びく、と少年の頬が震える。
ほんのたわむれに伸ばした指だったが、見つめ返す相手の瞳は真剣だった。
「あなたに守ってもらうだけでなくて、あなたを守ることだって、できるのに」
Gはふと目を細め、指を離した。
「俺はいつか、また、未来の何処かであなたと会うんでしょ?」
「いつになるのかは、俺にもよくは判らないのだけどね」
「でもその時の俺は、大人なんでしょ? 今のあなたと、釣り合うくらいに?」
「……そうだね」
Gは目を伏せる。見かけはそう変わってはいなかったとは思うのだが。
ただ、あの不敵なまでの笑いは、通ってきた年月が培ったものなのだろう。
「その時の俺は、やっぱりあなたが好き?」
やっぱり、と少年は言った。
「君は俺のことが好き?」
「うん」
迷いもせずに、少年は言った。
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