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悪徳の栄え
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第一王子の暗殺は、第二王子による陰謀と公表された。
後継者候補を同時に失った王国であるが、ここで第三王子クラウスが名乗りを挙げる。
愚か者のふりをしていたのは、野心家の第二王子から身を守るため――そのように説明された。
臣下たちが列席する中で、異母兄の第一王子に弔事を述べ、第二王子の陰謀の証拠を並べ立て糾弾する演説は、若年とは思えぬほど見事なものであった。
続いて病床の父王に対しての慰撫と今後の国策まで献策したとあっては聡明さに口を挟める余地はない。
クラウス王子は、第二王子を幽閉し、彼に連座する廷臣たちを失脚させた。
直後に自身の後見人にして婚約者にギュスターランド公爵令嬢フリージアを指名する。
電撃的なクーデターで、文句のつけようのない手際だった。
そしてその夜――。
「すべてうまくいったわ、あなたのおかげよエリン」
フリージアの豪奢な寝室には、ふたりの少年が招かれている。エリンとクラウス王子だ。
高級な下着姿のフリージアは、クラウス王子を侍らせている。
正妃となる以上、フリージアはクラウス王子の子を孕むことになる。
容姿も整い、聡明な王子が自分の肉体に溺れるのは、フリージアを満足させるものであった。
そして、それを見つめるエリン。
物欲しそうな瞳がよい。
何故王子にそんなことをさせているのかと咎めるような感情が混じっているのも、なおいい。
「…………」
行為を見せつけられ、エリンは自分の子感が隆起していることに屈辱を感じていた。
弄ばれている。
にも関わらず、エリンはフリージアに抱かれたがっている。
散々になぶりものにされ、尊厳を貶められ続けたというのに、フリージアを欲しがっている。
その肉体を凌辱して、復讐したいのだろうか?
いや、やはり恋慕の感情に違いない。
邪悪な令嬢に、悲惨な性体験をさせられたというのに惹かれてしまっている。
しかも、彼女の処女はこれみよがしに侍らせているクラウス王子に捧げているのだ。
「王子、今度はエリンの番になります。そこでご覧になっていてくださいまし」
「僕を嫉妬させたいんだね、フリージアは……」
今度はクラウス王子が嫉妬に駆られる番だった。
彼女が処女を捧げた理由が、策謀によるものだということはよくわかっている。
だが、物心ついた頃より味方もおらず誰からも愛情を注がれず、白痴を演じ続けたクラウスを、肉体そのものでて受け入れてくれたのは、フリージアだけだったのだ。
利用されただけだというのもわかっている。
それでも、腫れ物のように扱われた自分に触れてくれただけでも嬉しかったのだ。
その気持ちを知ってか、頭を撫でてくれた。
「エリン、もうはち切れそうね。乱暴にしてもいいわ。あなたには、そのくらいのことをしてきたのだから」
「くっ……!」
抑えきれない劣情を見透かされている。
それでも、蠱惑的に微笑むフリージアには抗えなかった。
エリンは、寝台に踏み出していった。
後継者候補を同時に失った王国であるが、ここで第三王子クラウスが名乗りを挙げる。
愚か者のふりをしていたのは、野心家の第二王子から身を守るため――そのように説明された。
臣下たちが列席する中で、異母兄の第一王子に弔事を述べ、第二王子の陰謀の証拠を並べ立て糾弾する演説は、若年とは思えぬほど見事なものであった。
続いて病床の父王に対しての慰撫と今後の国策まで献策したとあっては聡明さに口を挟める余地はない。
クラウス王子は、第二王子を幽閉し、彼に連座する廷臣たちを失脚させた。
直後に自身の後見人にして婚約者にギュスターランド公爵令嬢フリージアを指名する。
電撃的なクーデターで、文句のつけようのない手際だった。
そしてその夜――。
「すべてうまくいったわ、あなたのおかげよエリン」
フリージアの豪奢な寝室には、ふたりの少年が招かれている。エリンとクラウス王子だ。
高級な下着姿のフリージアは、クラウス王子を侍らせている。
正妃となる以上、フリージアはクラウス王子の子を孕むことになる。
容姿も整い、聡明な王子が自分の肉体に溺れるのは、フリージアを満足させるものであった。
そして、それを見つめるエリン。
物欲しそうな瞳がよい。
何故王子にそんなことをさせているのかと咎めるような感情が混じっているのも、なおいい。
「…………」
行為を見せつけられ、エリンは自分の子感が隆起していることに屈辱を感じていた。
弄ばれている。
にも関わらず、エリンはフリージアに抱かれたがっている。
散々になぶりものにされ、尊厳を貶められ続けたというのに、フリージアを欲しがっている。
その肉体を凌辱して、復讐したいのだろうか?
いや、やはり恋慕の感情に違いない。
邪悪な令嬢に、悲惨な性体験をさせられたというのに惹かれてしまっている。
しかも、彼女の処女はこれみよがしに侍らせているクラウス王子に捧げているのだ。
「王子、今度はエリンの番になります。そこでご覧になっていてくださいまし」
「僕を嫉妬させたいんだね、フリージアは……」
今度はクラウス王子が嫉妬に駆られる番だった。
彼女が処女を捧げた理由が、策謀によるものだということはよくわかっている。
だが、物心ついた頃より味方もおらず誰からも愛情を注がれず、白痴を演じ続けたクラウスを、肉体そのものでて受け入れてくれたのは、フリージアだけだったのだ。
利用されただけだというのもわかっている。
それでも、腫れ物のように扱われた自分に触れてくれただけでも嬉しかったのだ。
その気持ちを知ってか、頭を撫でてくれた。
「エリン、もうはち切れそうね。乱暴にしてもいいわ。あなたには、そのくらいのことをしてきたのだから」
「くっ……!」
抑えきれない劣情を見透かされている。
それでも、蠱惑的に微笑むフリージアには抗えなかった。
エリンは、寝台に踏み出していった。
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