81 / 95
最終章
最終章-1
しおりを挟む淡いグリーンのカクテルドレスを纏った秋江夫人は、とても美しかった。
それまで彼女に抱いていたイメージは「般若」「鬼女」というような恐ろしいものだったが、はにかんだように微笑む彼女からはそのような印象は全く感じず、ただただ麗しい淑女にしか見えない。
愛は、人をここまで変えるのかと思うと、感動すら覚える。
その彼女に手を差し伸べ、優しく笑いかけるミツバこと光原大佑も、自身の風俗店でネコ専門のボーイをしていた事が噓であったかのように、実に男振りのいい紳士に見えた。
笑顔を交わす秋江と大佑は、どこから見てもお似合いで仲の良い夫婦にしか見えないし、実際そう変わっていた。
この二人。
一か月前のギスギスした関係から、両思いの仲良し夫婦へと、激変を遂げたのである。
「まさか大佑さんが、あのおふくろと上手く行くなんて思わなかったです。朝日さんから話を聞いた時は、自分はマジでびっくりしました」
今日は二人の錫婚式を挙げるということで、近しい親族や友人のみ招待している。
ちなみに錫婚とは、結婚十周年記念の事だ。
この式に、自衛官の制服で出席したきよしは、司会役の朝日にそっと耳打ちをした。
「それから、自分の結婚式の方は、まだ時期尚早だとカオルに怒られました。まだ婚約もしていないのに順番がオカシイと。……朝日さんにはご迷惑を掛けて申し訳ありません」
「構いませんよ。結婚相談所のスタッフとして当然のフォローしただけですから。秋江夫人があの通りだったから、当て付けをしたかったという気持ちも分かりますし」
朝日は有能なスタッフの一員であるかのように、大きく胸を張って答えた。
そんな朝日の隣では、恭介が祝電を滞りなく読み上げている。
ところで。完全に破綻していたあの光原家が、どうしてこうなったのか?
それは、朝日のナイスフォローが実った成果であった。
元々は、秋江夫人の祖母が、利発な美少年だった高校生の片谷大佑を気に入って、是非将来は孫娘の婿にと望んだという話であったが。
そこからが、間違っていたのだ。
(僕の方も大変だったけど、もしかしたらこっちよりはマシかなぁ)
10
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
くまさんのマッサージ♡
はやしかわともえ
BL
ほのぼの日常。ちょっとえっちめ。
2024.03.06
閲覧、お気に入りありがとうございます。
m(_ _)m
もう一本書く予定です。時間が掛かりそうなのでお気に入りして頂けると便利かと思います。よろしくお願い致します。
2024.03.10
完結しました!読んで頂きありがとうございます。m(_ _)m
今月25日(3/25)のピクトスクエア様のwebイベントにてこの作品のスピンオフを頒布致します。詳細はまたお知らせ致します。
2024.03.19
https://pictsquare.net/skaojqhx7lcbwqxp8i5ul7eqkorx4foy
イベントページになります。
25日0時より開始です!
※補足
サークルスペースが確定いたしました。
一次創作2: え5
にて出展させていただいてます!
2024.10.28
11/1から開催されるwebイベントにて、新作スピンオフを書いています。改めてお知らせいたします。
2024.11.01
https://pictsquare.net/4g1gw20b5ptpi85w5fmm3rsw729ifyn2
本日22時より、イベントが開催されます。
よろしければ遊びに来てください。
【R18】僕とあいつのいちゃラブな日々
紫紺(紗子)
BL
絶倫美形ギタリスト×欲しがりイケメンマネの日常。
大人男子のただただラブラブでえっちな日々を綴ります。
基本、1話完結です。
どこをつまんでも大丈夫。毎回何かしらいちゃつきます(回によってはエロ強めのお話もございます)。
物足りない夜のお供にいかがですか? もちろん朝でも昼でもOKです。
ネクタイで絞めて
ヘタノヨコヅキ@商業名:夢臣都芽照
BL
*表紙*
題字&イラスト:さや いんげん 様
( Twitter → @sayaingenmaru )
※ 表紙の持ち出しはご遠慮ください
(拡大版は1ページ目に挿入させていただいております!)
真駒摘紀(まこまつみき) はクールビズ期間が嫌いだ。周りは薄着になり、無防備に晒された首筋を見ないよう俯き、自身の首を掻きむしる。それをいつも心配してくれるのは、直属の上司である 椎葉依弦(しいばいづる) だ。優しさを向けられ、微笑む彼の顔を真駒はよく憶えていなかった。
――真駒が見ているのは、椎葉の首筋だけだから。
fujossy様で2019/8/31迄開催『「オフィスラブ」BL小説コンテスト』用短編小説です!!
ちょっと変わった性癖を持つ上司と、ちょっと変わった性癖を持つ部下の恋物語です!!
fujossy様のTwitter公式アカウントにて、書評をいただきました!! ありがとうございました!!
( 書評が投稿されたツイートはこちらです!! → https://twitter.com/FujossyJP/status/1197001308651184130?s=20 )
※ この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
※ アダルト表現のあるページにはタイトルの後ろに * と表記しておりますので、読む時はお気を付けください!!
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
しのぶ想いは夏夜にさざめく
叶けい
BL
看護師の片倉瑠維は、心臓外科医の世良貴之に片想い中。
玉砕覚悟で告白し、見事に振られてから一ヶ月。約束したつもりだった花火大会をすっぽかされ内心へこんでいた瑠維の元に、驚きの噂が聞こえてきた。
世良先生が、アメリカ研修に行ってしまう?
その後、ショックを受ける瑠維にまで異動の辞令が。
『……一回しか言わないから、よく聞けよ』
世良先生の哀しい過去と、瑠維への本当の想い。
とろけてなくなる
瀬楽英津子
BL
ヤクザの車を傷を付けた櫻井雅(さくらいみやび)十八歳は、多額の借金を背負わされ、ゲイ風俗で働かされることになってしまった。
連れて行かれたのは教育係の逢坂英二(おうさかえいじ)の自宅マンション。
雅はそこで、逢坂英二(おうさかえいじ)に性技を教わることになるが、逢坂英二(おうさかえいじ)は、ガサツで乱暴な男だった。
無骨なヤクザ×ドライな少年。
歳の差。
手〈取捨選択のその先に〉
佳乃
BL
彼の浮気現場を見た僕は、現実を突きつけられる前に逃げる事にした。
大好きだったその手を離し、大好きだった場所から逃げ出した僕は新しい場所で1からやり直す事にしたのだ。
誰も知らない僕の過去を捨て去って、新しい僕を作り上げよう。
傷ついた僕を癒してくれる手を見つけるために、大切な人を僕の手で癒すために。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる