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そうなったら、恭介が割り込む隙も無くなるに違いない。
朝日はそう自分を奮い立たせ、俄然やる気を出す。
(仕事ができる男ってやっぱり魅力的だよな! もう三十も近いってのに、いつまでも甘えてばかりじゃ頼りないヤツだと思われちゃうだろうし。ここはしっかりと、社会人としてしっかりしている所を須藤社長にアピールする絶好のチャンスだ)
今朝はちょっと暗雲が漂う雰囲気だったが、まだまだ幾らでも挽回できる。
――僕等の恋は始まったばかりだし!
朝日はそう思うと、きよしに向き直って力説した。
「きよしさんのご両親は、僕も頑張って説得しますよ。大丈夫! 必ず上手く行きます!」
「ありがとうございます!」
「それでは、早速ですが今日はご両親様へ挨拶だけでもさせて頂けたら……ええと、ご自宅は……」
「用賀です」
と、地名を言われても悲しいかな上京組には、パッとその場所がどこにあるのか浮かんでこない。
朝日がチラリと視線を送ったところ、きよしは「すみません、自分とは言い争いをしたばかりで今顔を合わせるのはちょっと」と、申し訳なさそうに頭を下げられた。
本当なら一緒に行ってほしい所であるが、きよしの気持ちもわかるだけに、朝日はそれ以上食い下がる事はせずに「了解しました」と頷き返す。
(用賀、か……ここから近いかな? 乗り換えなしだと良いんだけどなぁ~……仕方がない、またアプリを見ながら行くか)
そんな事を思いながら、朝日は持参したブライダル関係の資料をきよしへ手渡した。
「それでは、これらは弊社と取引のあるブライダル関連の一覧を纏めたものです。レンタルも色々と取り揃えているようなので、是非一度カオルさんとご相談してみてください。すぐに決める必要はないので、じっくりプランを練って行きましょう。気になった事はどんな些細な事でも良いのでご相談ください」
「はい、ありがとうございます」
「こちらは会員パスです。記載の各場所で提示して頂ければ、アテンドが付いてご案内がある筈です」
テキパキと(自分なりに)話を進め、最後にもう一度ニッコリと微笑みかける。
朝日はそう自分を奮い立たせ、俄然やる気を出す。
(仕事ができる男ってやっぱり魅力的だよな! もう三十も近いってのに、いつまでも甘えてばかりじゃ頼りないヤツだと思われちゃうだろうし。ここはしっかりと、社会人としてしっかりしている所を須藤社長にアピールする絶好のチャンスだ)
今朝はちょっと暗雲が漂う雰囲気だったが、まだまだ幾らでも挽回できる。
――僕等の恋は始まったばかりだし!
朝日はそう思うと、きよしに向き直って力説した。
「きよしさんのご両親は、僕も頑張って説得しますよ。大丈夫! 必ず上手く行きます!」
「ありがとうございます!」
「それでは、早速ですが今日はご両親様へ挨拶だけでもさせて頂けたら……ええと、ご自宅は……」
「用賀です」
と、地名を言われても悲しいかな上京組には、パッとその場所がどこにあるのか浮かんでこない。
朝日がチラリと視線を送ったところ、きよしは「すみません、自分とは言い争いをしたばかりで今顔を合わせるのはちょっと」と、申し訳なさそうに頭を下げられた。
本当なら一緒に行ってほしい所であるが、きよしの気持ちもわかるだけに、朝日はそれ以上食い下がる事はせずに「了解しました」と頷き返す。
(用賀、か……ここから近いかな? 乗り換えなしだと良いんだけどなぁ~……仕方がない、またアプリを見ながら行くか)
そんな事を思いながら、朝日は持参したブライダル関係の資料をきよしへ手渡した。
「それでは、これらは弊社と取引のあるブライダル関連の一覧を纏めたものです。レンタルも色々と取り揃えているようなので、是非一度カオルさんとご相談してみてください。すぐに決める必要はないので、じっくりプランを練って行きましょう。気になった事はどんな些細な事でも良いのでご相談ください」
「はい、ありがとうございます」
「こちらは会員パスです。記載の各場所で提示して頂ければ、アテンドが付いてご案内がある筈です」
テキパキと(自分なりに)話を進め、最後にもう一度ニッコリと微笑みかける。
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