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「何だなんだ? ケンカか?」
すると、朝日が口を開く前に恭介が先手を打った。
「そんなんじゃないですよ。学生じゃあるまいし。ただ単に、俺に頼んでいたチケットが取れたかどうか気になってたんですよ、こいつ」
(チケット?)
何の話か分からず、朝日は「僕はチケットなんて――」と言いかけるが。
「ほら、恐竜展のチケット。そんなに気になるんなら、就業時間前に言えよな。一応社会人なんだからTPOは弁えろよ」
そう言い、封筒に入った謎チケットを朝日の胸元へと押し付けてきた。
意味が分からないが、とりあえず朝日はそれを受け取る。
強引な恭介の態度に、もしや本当に自分はそのチケットを頼んでいて、すっかり忘れていたのかなと思ってしまうが。
――だが、やっぱり記憶にない。
「恭介、僕はこんなの頼んだ覚えなんて無いぞ」
口に出して言うが、同じタイミングで「おはよう! ミーティング始めるぞ!」と、須藤が室内へ姿を見せた事でそれは中断した。
(須藤社長! 本当に恭介と付き合うんですか!? それじゃあ、僕はいったい何なんです?)
今すぐにでも問い詰めたいが、それこそ他の社員たちの手前もあり、グッと我慢する朝日だ。
ただ、視線だけは逸らさずに、ミーティング中もずっと須藤を見ていたのだが。
しかし何故か須藤は、今日に限って朝日の視線を徹頭徹尾完全に無視してミーティングを終えたのだ。
いつもならば、依怙贔屓がバレない程度には話しかけてくるのに、これはやはりおかしい。
“朝日を裏切って恭介に乗り換えたので、気まずくて目を逸らしている”
普通に考えれば、これが一番ピタリと当てはまる気がする。
(まさか、そんな!)
あまりに考えが飛躍し過ぎていると、そう自分に言い聞かせる朝日であるが。
「……なんか今日の社長、朝日に冷たくなかったか?」
そう、宇野がポツリと言ったのを聞き及び、やはり自分の思い違いではないと確信する。
「で、ですよね! 宇野さんもそう思いましたか?」
すると、朝日が口を開く前に恭介が先手を打った。
「そんなんじゃないですよ。学生じゃあるまいし。ただ単に、俺に頼んでいたチケットが取れたかどうか気になってたんですよ、こいつ」
(チケット?)
何の話か分からず、朝日は「僕はチケットなんて――」と言いかけるが。
「ほら、恐竜展のチケット。そんなに気になるんなら、就業時間前に言えよな。一応社会人なんだからTPOは弁えろよ」
そう言い、封筒に入った謎チケットを朝日の胸元へと押し付けてきた。
意味が分からないが、とりあえず朝日はそれを受け取る。
強引な恭介の態度に、もしや本当に自分はそのチケットを頼んでいて、すっかり忘れていたのかなと思ってしまうが。
――だが、やっぱり記憶にない。
「恭介、僕はこんなの頼んだ覚えなんて無いぞ」
口に出して言うが、同じタイミングで「おはよう! ミーティング始めるぞ!」と、須藤が室内へ姿を見せた事でそれは中断した。
(須藤社長! 本当に恭介と付き合うんですか!? それじゃあ、僕はいったい何なんです?)
今すぐにでも問い詰めたいが、それこそ他の社員たちの手前もあり、グッと我慢する朝日だ。
ただ、視線だけは逸らさずに、ミーティング中もずっと須藤を見ていたのだが。
しかし何故か須藤は、今日に限って朝日の視線を徹頭徹尾完全に無視してミーティングを終えたのだ。
いつもならば、依怙贔屓がバレない程度には話しかけてくるのに、これはやはりおかしい。
“朝日を裏切って恭介に乗り換えたので、気まずくて目を逸らしている”
普通に考えれば、これが一番ピタリと当てはまる気がする。
(まさか、そんな!)
あまりに考えが飛躍し過ぎていると、そう自分に言い聞かせる朝日であるが。
「……なんか今日の社長、朝日に冷たくなかったか?」
そう、宇野がポツリと言ったのを聞き及び、やはり自分の思い違いではないと確信する。
「で、ですよね! 宇野さんもそう思いましたか?」
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