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しおりを挟む「俺達、付き合う事になったから」
翌日も通常通り出社した朝日であるが。
同じく出社してきた恭介は、先にデスクに着いていた朝日の顔を見るや否や、『おはよう』の挨拶の前に、そう一方的に報告してきた。
何事か分からず、朝日は首を傾げる。
「付き合う? えーと、誰と?」
「やだなぁ、だから社長とだよ」
「どこの社長?」
すると恭介は、心なしか胸を張るようにして口を開いた。
「もちろん、須藤黒闇社長だよ」
――モチロン、スドウコクアンシャチョウダヨ……
そのセリフを脳内で復唱すると、朝日の顔は真っ赤になった。
「嘘だ!」
即座に否定した朝日に、当然であるが恭介は不思議そうな顔をする。
「何でお前が、俺の言う事を嘘だっていうんだ?」
「だ、だって……」
須藤社長は僕と付き合ってるんだから――と言いかける朝日だが、続々と出社してきた社員を前にグッと踏み止まった。
だが、その胸中は穏やかな訳がない。
隣のデスクで、涼しい顔をして今日の業務内容を確認している恭介の横顔を、朝日は穴が開くほど睨む。
しかし、恭介は知らんぷりだ。
(恭介~マジのマジで社長と付き合う事になったと言ってるのか!? それとも、ただ揶揄っているだけなのか!?)
そう思いながらジッと見つめていたら、さすがにこの妙な様子に気付いたらしい宇野が声を掛けて来た。
「おい、朝日。お前はさっきから、どうして恭介の方ばっかり見てるんだ?」
「宇野さん~」
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