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『意外な場所』というワードに、朝日は首を傾げる。

 朝日が知る光原社長は温和で鷹揚なイケオジで、実に上品そうな紳士だった。
 歳は須藤と同じらしいが、何の苦労もしていないであろう光原の方が少し若い印象だ。
 形よくセットされた髪にチラチラと混じる白髪さえ染めれば、もっと若々しく見えたに違いないと思う。
 突然失踪してしまったので、あれから会うことは無かったが……。

 その、ジェントル光原を恭介はどこで見たというのか?

「え、どこ?」
「それが何と、『love&love』っていう店だよ」
「love……?」
「早い話が、風俗だね」
「えぇ!?」

 それは本当に驚きだ。
 朝日は度肝を抜かれて、先程までの気まずさを忘れ恭介に詰め寄る。

 だって、そうだろう!

「恭介も風俗店に行ったっていう事だよね!? そこで、客同士で偶然居合わせたっていうのか!? っていうか、恭介って男が好きって言ってたじゃ……もしかして両刀だったのかよ!?」

 朝日の脳内では、ボンキュッボンのお色気ムンムン風俗嬢を前にして、鉢合わせをした二人の構図が浮かんだが。

「違う!」

 恭介は即座に否定すると、詳しく状況を説明した。

「俺が行ったのはゲイ専門の風俗店だ。そして光原社長は客側じゃなくて、サービスする側に居たっていう事だよ」

 ゲイ専門の風俗店に堂々と行っている恭介に驚くが(だって、恭介はイケメンで普通にモテるからだ)それよりも、光原の意外過ぎる転職に朝日は度肝を抜かれる。

「何で、なんで? どうして光原社長がそんな所にいるんだよ!? だって、光原社長って全然金に困っているような雰囲気は無かったじゃないか? 車はベントレーだし、時計だってロレックスやカルティエを何本も持ってるの見たし!」

「まぁね。でも、現に『ビューティー探求房』は須藤社長に乗っ取られているワケだし。表向きは金に困っているようには見えなかったけど、実際は違ったのかもしれないぞ」
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