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親の反対を押し切って芸大に進み、ブランドO,Nを立ち上げた。
だが、経営はまるで素人だった為に、アパレル事業は失敗に終わった。
そんな状態で、借金返済を親に頼るのは気が引ける。
第一、「そら見た事か」と親族から誹りを受けるのはプライドが許さない。
ならばどうすると、散々悩んでいた尾上に手を差し伸べてきたのは、それまで相棒同然に事業を手伝ってくれていた竹川だった。
竹川は、言った。
『ブランドO,Nのデザインを……未発表含め、君がデザインしていた全てを譲ってくれるなら、その対価として200万円即金で払うことが出来るが、どうする?』
竹川の実家は資産家だったので、自由に遣える金がそのくらいあるというのだ。
その提案に、一も二もなく尾上は頷いていた。
――当時の尾上には、そうする事しか出来なかった。
今後、O,Nの名前を表に出すことを禁止するという条件も、了承するしか道は無かった。
尾上の希望としては、O,Nの名前だけは残してほしかったのだが……。
(しかしブランドO,Nは解体され、リリ・タケという名前に替えられてしまった。コスト面の改善策として、マチョー刺繍は安価なプリントに変えられた。オレのデザインした数多の服は、未発表も含めて全部、あいつが手掛けたものとして取って代わられたんだ)
竹川はファッションデザインの才能は無い凡人であったが、商才はあった。
今やリリ・タケは、フランスを拠点にして順調に展開している。
だが、200万ですべての権利を放棄したのは尾上だ。
それについて、グダグダと口出しする権利など尾上には無い。
(ってのに、どいつもこいつも自分勝手な事ばかり言ってくれるよな)
自分の漫画のキャラクターに“O,N”の服をイメージしたから、それで進めてくれと勝手なことを言う平良。
ファッションは門外漢だと言って、尾上に丸投げしようとしている甲斐。
どいつもこいつも、こっちの事情も知らないくせに都合のいい事ばかり言う。
(浅田の野郎は、今になって謝りたいとか言い出すし。それでスッキリすんのはテメーだけだろうっての)
だが、経営はまるで素人だった為に、アパレル事業は失敗に終わった。
そんな状態で、借金返済を親に頼るのは気が引ける。
第一、「そら見た事か」と親族から誹りを受けるのはプライドが許さない。
ならばどうすると、散々悩んでいた尾上に手を差し伸べてきたのは、それまで相棒同然に事業を手伝ってくれていた竹川だった。
竹川は、言った。
『ブランドO,Nのデザインを……未発表含め、君がデザインしていた全てを譲ってくれるなら、その対価として200万円即金で払うことが出来るが、どうする?』
竹川の実家は資産家だったので、自由に遣える金がそのくらいあるというのだ。
その提案に、一も二もなく尾上は頷いていた。
――当時の尾上には、そうする事しか出来なかった。
今後、O,Nの名前を表に出すことを禁止するという条件も、了承するしか道は無かった。
尾上の希望としては、O,Nの名前だけは残してほしかったのだが……。
(しかしブランドO,Nは解体され、リリ・タケという名前に替えられてしまった。コスト面の改善策として、マチョー刺繍は安価なプリントに変えられた。オレのデザインした数多の服は、未発表も含めて全部、あいつが手掛けたものとして取って代わられたんだ)
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自分の漫画のキャラクターに“O,N”の服をイメージしたから、それで進めてくれと勝手なことを言う平良。
ファッションは門外漢だと言って、尾上に丸投げしようとしている甲斐。
どいつもこいつも、こっちの事情も知らないくせに都合のいい事ばかり言う。
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