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尾上のセリフに、甲斐は「それじゃあ仕方が無いな」と納得した様子で頷いたが、何故か平良は違った。
ただジッと、平良は尾上を見つめる。
「……どうしてそんな事を言うんだ」
「それが事実ですから」
尾上は視線を合わせず、淡々と代案を口にした。
「では、オレから提案させて頂きますが、この匡平というキャラクターには“プチプラ”がマッチしているような気がします。これだけのハイブランドが出揃っているわけですから、逆に今度は若い読者層を意識してGuuやユニクルでも良いかと」
尾上が意見を述べると、甲斐は乗り気になったように頷いた。
「確かにそうだな。読者層を広く狙う為にはオノの提案は良いと思いますが、平良先生はどうですかね?」
だが、肝心の平良は釈然としない様子でキャラクターの設定図に視線を落とした。
そんな平良に、甲斐が畳みかける。
「正直、あまり悠長に時間も取っていられないですから、もうそうしませんか? 今度こそはアンケート一位を狙いたいって、先生も言ってたじゃないですか。これ以上原稿に集中する時間を削っている場合じゃないですよ」
「『一位』ってなんですか?」
尾上の質問に、甲斐はニヤリと笑って答える。
「漫画のアンケートだよ。毎号集計してランキングを算出するんだ。文夏社では常に作家も切磋琢磨してほしいと、一位から最下位までズラッと編集部に貼り出すんだ。原稿料は皆同じだが、上位にはボーナスが支給されるんだぜ」
「うわっシビアですね」
「担当編集にもボーナスが支給されるから、皆目ギラギラで競争だ。おかげで月刊誌『Quartz』は特集されている記事から何から全部面白いってんで、発行部数が順調に伸びているんだな」
そのQuartzで創刊号から一位をキープし続けているのは、作家:右近涼真と作画:左文字悠斗のゴールデンペアだという。
「担当編集が中河ってペーペーの野郎で、オレもなんとか一泡吹かせてやりてぇんだな」
ただジッと、平良は尾上を見つめる。
「……どうしてそんな事を言うんだ」
「それが事実ですから」
尾上は視線を合わせず、淡々と代案を口にした。
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尾上が意見を述べると、甲斐は乗り気になったように頷いた。
「確かにそうだな。読者層を広く狙う為にはオノの提案は良いと思いますが、平良先生はどうですかね?」
だが、肝心の平良は釈然としない様子でキャラクターの設定図に視線を落とした。
そんな平良に、甲斐が畳みかける。
「正直、あまり悠長に時間も取っていられないですから、もうそうしませんか? 今度こそはアンケート一位を狙いたいって、先生も言ってたじゃないですか。これ以上原稿に集中する時間を削っている場合じゃないですよ」
「『一位』ってなんですか?」
尾上の質問に、甲斐はニヤリと笑って答える。
「漫画のアンケートだよ。毎号集計してランキングを算出するんだ。文夏社では常に作家も切磋琢磨してほしいと、一位から最下位までズラッと編集部に貼り出すんだ。原稿料は皆同じだが、上位にはボーナスが支給されるんだぜ」
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そのQuartzで創刊号から一位をキープし続けているのは、作家:右近涼真と作画:左文字悠斗のゴールデンペアだという。
「担当編集が中河ってペーペーの野郎で、オレもなんとか一泡吹かせてやりてぇんだな」
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