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Love passion

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 アレンは、年下の達実を親友だと言ってくれた。

 そして達実の夢を応援してくれると、約束もしてくれた。

 アリゾナの一件の後も、時間を見つけては、世界中至る所にあるアウラ家所有の別荘へと達実を招待してくれた。

 とても親切な、達実の大切な親友だ。

 今でもアレンは、リッチで素敵な、信頼できる友人だと信じているが。

(アレンは……でも、時々……ちょっと、最近――――怖い時があるんだよな……)

 彼を知る他の人物も、彼は酷薄だという。

 今までは、そんな言葉には耳を傾けなかったが。

 でも、もう、二人きりでは会わない方がいいのかもしれない……なんとなく、そんな予感がする。

(それに第一、僕とばっかり遊ぶのに夢中になって、せっかくデキたオメガの彼女をフルなんて間違ってるよ。ネットにも載ってたけど、アレンの彼女って皆すごく素敵な女性じゃないか。……ちょっと僕の方から、アレンの為にも……距離を置いた方がいいのかもしれないな)

 そう考えを纏めると、達実は溜め息をついた。

 そうして、ベッドのサイドテーブルに用意されている呼び鈴を鳴らす。

――――リリリン。

「はい、お呼びでしょうか」

「悪いけど、これから采の居る場所へ連れて行ってくれないかな」

 あれから一晩経っている。

 采は多分自宅マンションだと思うが、もしかしたら、仕事関係の場所の方へ行っているかもしれない。

「采さま……ですか。しかし嘉偉お坊ちゃまが、午後から達実さまを伴って会食に行くよう手配しておりますが」

「嘉偉には悪いけど、こっちの方を優先したい」

「ですが、お加減は大丈夫ですか? まだお顔の色が優れませんが」

 気遣う様子の侍従に、達実は苦笑を返した。

「嘉偉もあなたも、心配のし過ぎだよ。僕は18の健康なアルファの男なんだ。これくらい、平気だよ」

 頑健がんけんなのには自信がある。

 少々……まぁ、正直に言ってかなり具合は悪いが、のんびりとベッドに寝ているのは達実の性分に合わない。

 元々、ただの二日酔いなのだから、頭痛と吐き気さえ堪えればいいだけの話だ。

 それよりも、気にかかる事をこのまま放置している方が、よっぽど気持ちが悪くて仕方がない。

 早急に、白黒ハッキリと決着をつけて、奏の居る北欧へ戻りたいと思う。

(その為にも僕は、もう一度采の目をみて、ちゃんと言わなくちゃ)

 本当は、昔から好きだった。

 ケンカばかりしていたけれど、大好きだった。

 采に、どうにかして可愛いって言ってもらいたかったけれど……それはもう諦める。
だって、達実はアルファなんだ。

『支配者』の貴種として、この世に生を受けた時から――――達実は「愛される」のではなく「愛する」側としての運命を決定づけられた。

 でも、達実は采に愛されたい。

 采だけに、愛されたい。

 しかし、アルファの達実は、華奢で可憐な「愛される」側のオメガにはなれない。

 どうあっても、達実はオメガには敵わない。

(だからって、尻尾を巻いて逃げるなんて絶対に嫌だ)

 今度は、言い争いにならないように気を付けながら……采と向き合って、ちゃんと話がしたい。

 それでもダメだったら――――その時こそ、達実はいさぎよく諦めようと思う。

 北欧へ戻って、愛する母親の身を守りつつ……考古学の道へ進もうと思う。

 それだって、決して諦めたくない将来の夢なんだから。

 達実はそう決心すると、グッと足に力を入れてしっかりと立ち上がった。

「さぁ、車を用意してっ」
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