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48話 対決、盗賊サルビトーレ
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「おいおい、何が始まるんだ?」
「決闘らしいぜ?盗賊と聖女様の」
「聖女様だって?マジかよ!聖女様に頑張って貰わないとな!」
野次馬たちがゾロゾロ集まっていく。人々の視線の先は、大広場の中央部分。決闘用に用意された小さな円状の模様の上に立つ二人の人物である。
「(…セラフィーナさん…)」
「さて、決闘するからには名乗りを挙げねえとなあ。俺の名はサルビトーレだ。よろしくセラフィーナ様」
「あなたの名前なんて覚えるつもりはありませんよ。…さあ構えてください」
「つれないねぇ」
審判立ち会いのもと、互いに武器を構える。サルビトーレは呪いの剣、セラフィーナは聖杖シンフォニーを。審判による開始の合図と共に、呪いの斬撃がセラフィーナへと襲い掛かる。
「そおらっ!避けてみろ!」
「聖防壁!」
杖を握り、魔法陣を形成させる。ルージュ・ストーンによって増幅された聖なる魔力が、円状の魔力防壁を作り出して呪いを完璧に浄化する。
「す、凄い…!僕の魔法とは思えない…!」
「ちぃ…!そんなもん、叩き割ってやるよ!」
「うわわっ!」
ビュッ!
パキャーン!
素早く近付き、勢い任せに剣を振り下ろす。セラフィーナは慌てて回避するが、聖防壁はガラスのように砕け散り、魔力が辺りに散布する。強力になったとはいえ、まだまだ素人の魔術。安堵は出来なそうだ。
「(触ったら終わりだ、近接戦は避けないと……!)」
「逃がすかァ!」
「ひええっ!?」
ガギィィィィン!!
呪いの力が込められた斬撃が、ギリギリの所で杖に受け止められる。触れたらOUTの呪いであっても、聖属性の魔力を用いている武器には歯が立たないようだ。
「ちぃっ!」
「わっ!…とと……」
そのままジャンプでその場から離れ、何とか必死にバランスをとる。相性的には有利なようだが、元々の実力差もあり、セラフィーナが一方的に押されているようである。
「武器に呪いは効かねえようだが…聖女様本人に当てりゃこっちの勝ちだぜえ?」
「ひいっ!ど、どうかご勘弁を…」
「勘弁するわけねーだろーが!」
再び一閃。空を飛ぶ斬撃が聖女を狙い、うねりをあげる。しかも、今度は一発ではなく複数回。先程と同じ聖防壁では、この呪いを凌ぎきれない。
「っ…魔鉄棍!」
そこで聖女が使った魔術は、武器強化の術式。杖先に魔力を沢山集め、それをハンマーのようにして振り回す。言うなれば、MPをそのまま物理攻撃力に上乗せするような技術だ。
「ええいっ!」
バチイッ!
先程のように完璧に防ぐとまではいかなくとも、聖属性の魔力を込めて殴る事で、呪いの斬撃を横に逸らしてなんとか全弾の直撃を避ける。
「はぁ…はぁ…!」
「疲れてきたようだなあ!トドメだ!」
ズズズズ…
再び呪いの力が剣にあつまり、セラフィーナにトドメを刺そうと一気に強烈な斬撃を飛ばしてくる。先程の連撃ですっかり受け止める力を無くしたセラフィーナは、それを受けるだけの手立てが無い。
「しまっ……きゃああああああああああああああ!!?」
バチィン!!!
しかし、そこまでだった。呪いの斬撃はセラフィーナに触れるなりあっさり消滅し、慌ててガードの姿勢を取っているセラフィーナだけがそこに残っていた。
「あ……?」
「え……?」
ザンッ!!!
念の為、もう一発。斬撃がセラフィーナに当たるが、やっぱりバチーンと音を立てて瞬く間に消滅していく。よく考えたら、それは当然の事である。聖属性の魔力に呪いは干渉出来ないのだから、全身聖属性の塊であるセラフィーナにはそもそも当たることすら出来ないのだ。
「あれ?い、痛くない……」
「え、え、ええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!(゚д゚ )」
一番驚いたのはもちろん盗賊サルビトーレである。まさか、どんな相手も苦しめてきたこの飛ぶ斬撃の呪いを防御すらせずに弾き飛ばす奴がいるなんて思いもしなかったからだ。
「こ、こんちくしょうめがぁ!!」
バチィン!バチーン!バチィィ!
「効きませんねぇ、聖女だから?」
なんか気持ちよくなってきたので、ちょっとイキリちらしてみる聖女様。それに対比して、だんだん萎縮して恐れおののいてくる盗賊サルビトーレ。一歩ずつ近付いてくる聖女が、まるで巨大な悪魔にすら見えるようになってきた。
「ま、待ってくれ!決闘なんてやめだやめ!ここは大人しく金で決着つけてやるよ!」
「そうはいきません。決闘を取りやめるなんて、男として恥ずべき事ですよ」
「じ、じゃあ、なんでも品をやる!俺の持ってるものひとつやるから!な!な!それで許してくれ!」
「それ、人から奪ったものでしょう?」
「ぐ…そ、それは……うあ、うああ、や、やめてくれ!やめてくれええええええええええええ!!」
必死に命乞いするサルビトーレの前に立って、聖女は一旦歩みを止めた。セラフィーナとて鬼ではない。少し温情をかけてみることにした。
「では、一つお聞きします。貴方はそう言って懇願してきた人から、物を奪うのをやめたことがありますか?」
「………な……ない…」
「…じゃあ、ダメですね。しっかり反省して、罪を償ってください」
とんっ、とセラフィーナは杖を一回ついた。すると、杖先のルージュ・ストーンにありったけの魔力が注がれ、神々しい輝きが杖先から放たれていく。じりじりと後退していくサルビトーレ。しかし、もう後ろに逃げ場は無い。
「(エヴァンジェリーナ様、貴女の技、お借りします!)」
「ひえぇ…!」
「天!」
カァァァッ!
杖を上へと掲げ、魔力を放出させる。神々しい光は更に眩しさを強め、やがて空にその光が飛び上がっていく。空にチラチラと聖属性の魔力が浮かび、それは星のように瞬き始める。
「罰っ!!」
────バチィィィィッ!
杖を振り下ろし、魔力を地面に思い切りたたき落とす。天にあまねく巨大な光が、光の柱となってサルビトーレの身体に降り注ぐ。これこそが聖属性の大魔術、天罰。本来は一撃で大範囲を薙ぎ払う高度な魔術だが、彼女にはまだ人一人にぶつけるのが精一杯である。
「が、がはぁっ…!?」
「はぁ…はぁ…反省…してくださいね。サルビトーレさん」
「……セラフィーナ様……」
天罰を食らったサルビトーレの心境はそれはそれは不思議なものであった。凄まじい衝撃をくらい、今にも気絶してしまいそうなのに、何故か心はとても晴れやかなのである。まるで、長年の呪縛から開放されたかのような。
「(嗚呼…これが聖女様の力か……なんて温けぇんだ…くひ……)」
ばたりと、サルビトーレはその場に倒れる。そして、手に握られていた呪いの力も突如として効力を失う。ルーチェの腕を蝕んでいた黒い呪いも、うっすらと弱まっていくのが見て取れた。
「はぁ…はぁ…か、勝った……!」
「うおおおおおおお!セラフィーナ様が勝った!」
「強いぞセラフィーナ様ー!」
「素敵ー!かっこいいー!」
みんなに褒めそやされ、なんだか気恥ずかしくて顔を真っ赤にしてしまう。けど今は、皆の声援に応えている場合ではない。慌ててルーチェの元に赴き、彼女の具合を確認する。
「大丈夫ですか、ルーチェさん!」
「…はい。大丈夫です、セラフィーナさん。お陰様で痛みも消えました。ありがとうございます」
そう言って、呪いに蝕まれていた右腕を見せる。黒く変色していた肉体は元の肌色に戻っており、斬撃を浴びた傷跡もゆっくりと元に戻ってきていた。
「…良かったぁ!本当に良かったです!」
「わっ!?せ、セラフィーナさん…!?」
ギュッと抱きつき、ルーチェの無事に安堵するセラフィーナ。百合百合しい雰囲気に周りの人が再びおおっと歓声を上げるが、やっぱりセラフィーナはそんなこと気にせず安心している様子。
「私、ルーチェさんが倒れちゃったらどうしようかと…本当に良かったです…!」
「…心配性ですね。でも、ありがとうございます。本当に助かりました」
「どういたしまして…この杖のお陰ですね」
「ええ。その杖と、セラフィーナさんのお陰です。立派に成長しましたね、セラフィーナさん」
「えへへ……はい!」
聖女達が倒した盗賊達も捕縛され、彼らとの戦いも無事に幕を下ろす。新たな杖をひっさげ、セラフィーナは更に聖女としての一歩を強く踏み締めたのである。
「決闘らしいぜ?盗賊と聖女様の」
「聖女様だって?マジかよ!聖女様に頑張って貰わないとな!」
野次馬たちがゾロゾロ集まっていく。人々の視線の先は、大広場の中央部分。決闘用に用意された小さな円状の模様の上に立つ二人の人物である。
「(…セラフィーナさん…)」
「さて、決闘するからには名乗りを挙げねえとなあ。俺の名はサルビトーレだ。よろしくセラフィーナ様」
「あなたの名前なんて覚えるつもりはありませんよ。…さあ構えてください」
「つれないねぇ」
審判立ち会いのもと、互いに武器を構える。サルビトーレは呪いの剣、セラフィーナは聖杖シンフォニーを。審判による開始の合図と共に、呪いの斬撃がセラフィーナへと襲い掛かる。
「そおらっ!避けてみろ!」
「聖防壁!」
杖を握り、魔法陣を形成させる。ルージュ・ストーンによって増幅された聖なる魔力が、円状の魔力防壁を作り出して呪いを完璧に浄化する。
「す、凄い…!僕の魔法とは思えない…!」
「ちぃ…!そんなもん、叩き割ってやるよ!」
「うわわっ!」
ビュッ!
パキャーン!
素早く近付き、勢い任せに剣を振り下ろす。セラフィーナは慌てて回避するが、聖防壁はガラスのように砕け散り、魔力が辺りに散布する。強力になったとはいえ、まだまだ素人の魔術。安堵は出来なそうだ。
「(触ったら終わりだ、近接戦は避けないと……!)」
「逃がすかァ!」
「ひええっ!?」
ガギィィィィン!!
呪いの力が込められた斬撃が、ギリギリの所で杖に受け止められる。触れたらOUTの呪いであっても、聖属性の魔力を用いている武器には歯が立たないようだ。
「ちぃっ!」
「わっ!…とと……」
そのままジャンプでその場から離れ、何とか必死にバランスをとる。相性的には有利なようだが、元々の実力差もあり、セラフィーナが一方的に押されているようである。
「武器に呪いは効かねえようだが…聖女様本人に当てりゃこっちの勝ちだぜえ?」
「ひいっ!ど、どうかご勘弁を…」
「勘弁するわけねーだろーが!」
再び一閃。空を飛ぶ斬撃が聖女を狙い、うねりをあげる。しかも、今度は一発ではなく複数回。先程と同じ聖防壁では、この呪いを凌ぎきれない。
「っ…魔鉄棍!」
そこで聖女が使った魔術は、武器強化の術式。杖先に魔力を沢山集め、それをハンマーのようにして振り回す。言うなれば、MPをそのまま物理攻撃力に上乗せするような技術だ。
「ええいっ!」
バチイッ!
先程のように完璧に防ぐとまではいかなくとも、聖属性の魔力を込めて殴る事で、呪いの斬撃を横に逸らしてなんとか全弾の直撃を避ける。
「はぁ…はぁ…!」
「疲れてきたようだなあ!トドメだ!」
ズズズズ…
再び呪いの力が剣にあつまり、セラフィーナにトドメを刺そうと一気に強烈な斬撃を飛ばしてくる。先程の連撃ですっかり受け止める力を無くしたセラフィーナは、それを受けるだけの手立てが無い。
「しまっ……きゃああああああああああああああ!!?」
バチィン!!!
しかし、そこまでだった。呪いの斬撃はセラフィーナに触れるなりあっさり消滅し、慌ててガードの姿勢を取っているセラフィーナだけがそこに残っていた。
「あ……?」
「え……?」
ザンッ!!!
念の為、もう一発。斬撃がセラフィーナに当たるが、やっぱりバチーンと音を立てて瞬く間に消滅していく。よく考えたら、それは当然の事である。聖属性の魔力に呪いは干渉出来ないのだから、全身聖属性の塊であるセラフィーナにはそもそも当たることすら出来ないのだ。
「あれ?い、痛くない……」
「え、え、ええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!(゚д゚ )」
一番驚いたのはもちろん盗賊サルビトーレである。まさか、どんな相手も苦しめてきたこの飛ぶ斬撃の呪いを防御すらせずに弾き飛ばす奴がいるなんて思いもしなかったからだ。
「こ、こんちくしょうめがぁ!!」
バチィン!バチーン!バチィィ!
「効きませんねぇ、聖女だから?」
なんか気持ちよくなってきたので、ちょっとイキリちらしてみる聖女様。それに対比して、だんだん萎縮して恐れおののいてくる盗賊サルビトーレ。一歩ずつ近付いてくる聖女が、まるで巨大な悪魔にすら見えるようになってきた。
「ま、待ってくれ!決闘なんてやめだやめ!ここは大人しく金で決着つけてやるよ!」
「そうはいきません。決闘を取りやめるなんて、男として恥ずべき事ですよ」
「じ、じゃあ、なんでも品をやる!俺の持ってるものひとつやるから!な!な!それで許してくれ!」
「それ、人から奪ったものでしょう?」
「ぐ…そ、それは……うあ、うああ、や、やめてくれ!やめてくれええええええええええええ!!」
必死に命乞いするサルビトーレの前に立って、聖女は一旦歩みを止めた。セラフィーナとて鬼ではない。少し温情をかけてみることにした。
「では、一つお聞きします。貴方はそう言って懇願してきた人から、物を奪うのをやめたことがありますか?」
「………な……ない…」
「…じゃあ、ダメですね。しっかり反省して、罪を償ってください」
とんっ、とセラフィーナは杖を一回ついた。すると、杖先のルージュ・ストーンにありったけの魔力が注がれ、神々しい輝きが杖先から放たれていく。じりじりと後退していくサルビトーレ。しかし、もう後ろに逃げ場は無い。
「(エヴァンジェリーナ様、貴女の技、お借りします!)」
「ひえぇ…!」
「天!」
カァァァッ!
杖を上へと掲げ、魔力を放出させる。神々しい光は更に眩しさを強め、やがて空にその光が飛び上がっていく。空にチラチラと聖属性の魔力が浮かび、それは星のように瞬き始める。
「罰っ!!」
────バチィィィィッ!
杖を振り下ろし、魔力を地面に思い切りたたき落とす。天にあまねく巨大な光が、光の柱となってサルビトーレの身体に降り注ぐ。これこそが聖属性の大魔術、天罰。本来は一撃で大範囲を薙ぎ払う高度な魔術だが、彼女にはまだ人一人にぶつけるのが精一杯である。
「が、がはぁっ…!?」
「はぁ…はぁ…反省…してくださいね。サルビトーレさん」
「……セラフィーナ様……」
天罰を食らったサルビトーレの心境はそれはそれは不思議なものであった。凄まじい衝撃をくらい、今にも気絶してしまいそうなのに、何故か心はとても晴れやかなのである。まるで、長年の呪縛から開放されたかのような。
「(嗚呼…これが聖女様の力か……なんて温けぇんだ…くひ……)」
ばたりと、サルビトーレはその場に倒れる。そして、手に握られていた呪いの力も突如として効力を失う。ルーチェの腕を蝕んでいた黒い呪いも、うっすらと弱まっていくのが見て取れた。
「はぁ…はぁ…か、勝った……!」
「うおおおおおおお!セラフィーナ様が勝った!」
「強いぞセラフィーナ様ー!」
「素敵ー!かっこいいー!」
みんなに褒めそやされ、なんだか気恥ずかしくて顔を真っ赤にしてしまう。けど今は、皆の声援に応えている場合ではない。慌ててルーチェの元に赴き、彼女の具合を確認する。
「大丈夫ですか、ルーチェさん!」
「…はい。大丈夫です、セラフィーナさん。お陰様で痛みも消えました。ありがとうございます」
そう言って、呪いに蝕まれていた右腕を見せる。黒く変色していた肉体は元の肌色に戻っており、斬撃を浴びた傷跡もゆっくりと元に戻ってきていた。
「…良かったぁ!本当に良かったです!」
「わっ!?せ、セラフィーナさん…!?」
ギュッと抱きつき、ルーチェの無事に安堵するセラフィーナ。百合百合しい雰囲気に周りの人が再びおおっと歓声を上げるが、やっぱりセラフィーナはそんなこと気にせず安心している様子。
「私、ルーチェさんが倒れちゃったらどうしようかと…本当に良かったです…!」
「…心配性ですね。でも、ありがとうございます。本当に助かりました」
「どういたしまして…この杖のお陰ですね」
「ええ。その杖と、セラフィーナさんのお陰です。立派に成長しましたね、セラフィーナさん」
「えへへ……はい!」
聖女達が倒した盗賊達も捕縛され、彼らとの戦いも無事に幕を下ろす。新たな杖をひっさげ、セラフィーナは更に聖女としての一歩を強く踏み締めたのである。
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