男とバレたら即処刑！？聖女な僕が死亡フラグをへし折ります！

12話 湯治

｢治療魔術を……良いけど…何に使うの？｣

｢それは私の勝手でしょ。それ以上聞くなら男だってことバラすわよ｣

｢わー！ご、ごめん！聞かない聞かない！｣

よろしい、と頷くと、ルーチェはセラフィーナがびしょ濡れになってしまっている事をやっと思い出した。このままだと風邪を引きかねないし、早めに風呂に案内した方が良さそうだ。

｢治療魔術の事については、後で説明するわ。それより、その服を何とかしないとね。着いてきて。お風呂まで案内してあげる｣

｢え…？あ、そっか…私…びしょ濡れに…へっくし！｣

そんな訳で、話を切り上げてお風呂へと向かうセラフィーナ達。この家の構造は最低限知っているのだが、やはりまだ詳しくは知らないのが現状である。ルーチェに連れられるまま、何度か使った事のある浴槽へと足を運び入れた。

｢ここが浴槽ね。こっちが更衣室よ。とりあえず服脱いじゃって。着替え終わったら一緒に入りましょ｣

｢うん…って！？一緒に入るの！？｣

｢当たり前でしょ。私はアンタ専属のメイドなんだから。聖女の背中を流すのも従者の立派な務めなのよ。ほら、脱いだ脱いだ｣

｢えっえっ…えええーっ！？｣

身も心も女の子のつもりのセラフィーナでも、これは流石に困惑する。肉体は男だし、同い年の本物の女の子の身体を身近に感じながら入浴するというのは、流石に息子が反応しかねないというもの。

｢(ど、どうしよう…恥ずかしいな…)｣

ずぶ濡れになったワンピースを脱いで、一糸まとわぬ姿になると、近くに用意されていたタオルを体に巻いて更衣室からルーチェの元へと戻る。巻き方は何故か女性のそれで。

｢お、おまたせ…これで良い…かな？｣

｢それ拭く用のタオルよ？なんで身体に巻いてるわけ？｣

｢は、恥ずかしいからだよ…///｣

｢何言ってるの。今のアンタと私は『オンナとオンナ』の関係でしょ。だから恥ずかしがる必要なんて…｣

｢えっ…あ、や、やめ…！///｣

ガッ、と力強くタオルを握られ、セラフィーナは思わずドキリと動揺する。しかしもう遅い。そのまま力に任せて、タオルはものの見事に剥ぎ取られてしまう。

｢無いのよ！｣

｢うひゃああああああああ！！！///｣

すっぽんぽん。すっぽんぽんである。あられもない姿となったセラフィーナをまじまじと見つめて、ルーチェは誰に言うでもなくふーんと頷いた。対して、息子をバッチリくっきり見られてしまったセラフィーナは、恥ずかしさから思わず、手で胸部を隠して、もう片手で局部を隠してぺたんとその場に座り込んだ。

｢な、な、なにするのー！！///｣

｢なによ、お風呂でお██ピー見るくらいガキの頃からして来たでしょ。何をそんなに恥ずかしがってるのよ｣

｢あ、あれは幼かったからだよ！い、今はだめ！今はダメなのです！///｣

混乱からか、素の口調とセラフィーナの口調が完全に混ざっている。こんな調子ではいつまで経っても背中を流せ無さそうだ。ルーチェは、はぁ～とため息をついて、座り込んでいるセラフィーナをお姫様抱っこで抱え上げた。

｢わわっ…！///｣

｢アンタの気持ちはわかったわ。見られたく無いなら私もなるべく見ないから。やりすぎてごめんね｣

｢ルーチェ…い、良いよ…僕も我儘が過ぎたよ…気にしてないから…お、下ろしてくれる？///｣

｢ええもちろん。さ、おかけになってお待ちください｣

ルーチェはセラフィーナをそっと椅子に座らせると、自分も服を脱いで、彼女の後ろに座る。そのまま石鹸と水を器用に使ってぶくぶくと泡を立てていく。そうして出来上がった泡の大軍を、ゆっくりとセラフィーナの肌という白い丘に進軍させていく。

｢(ふう…ルーチェ、とっても器用だな…このお仕事の為に、特訓してきたのかな？)｣

｢痒い所はございませんか？セラフィーナさん｣

｢え…あ、ええと、ないです…///｣

さっきとは打って変わって、とても静かで落ち着いた雰囲気を感じさせるルーチェ。その違いにセラフィーナが驚いていると、泡の進軍を進めながらメイドが続けた。

｢では、前も失礼致しますね｣

｢ま、前！？///｣