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番外編

5、優しいえっち 2

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「はぁはぁっ……」

 立ったまま、敦美の体はひくひくと余韻でひくついていて、大きく胸が上下していた。その間に智紀は自身の服を脱いで、敦美の揺れる体を支えながら、ベッド上に座った。

「敦美、お疲れ様……こっちへおいで」
「へ……あ、はい……」

 敦美はゆっくりと智紀の上へと移動する。

「そう。そのまま……ゆっくりと腰を下ろして」

 言われるがまま腰を落としていれば、反り立った智紀の肉槍がぬぷっと蜜口へ入り込んだ。
 
「ぁっ……」

 入り口を広げられた感覚で、ぞわぞわっと全身が粟立つ。少し腰を浮き上がらせようとしても、力の入らない脚では無理で、腰はゆっくりと重力に従うように下がってゆく。

 ああ、智紀さんのが入っていく……。お、おっきい……。

 奥へ奥へと熱い質量が入り込んでくる。じんわりとそこから全身へ向けて、快感が送られてくる。それが耐え難いほど気持ちいい。

「……んっ」

 ゆっくりと敦美のお尻が智紀の腰まで下がりきって、智紀の大きい肉杭が奥までしっかりと入り込んだ。入ってくる過程で息を止めていた敦美は、ほっと一息つく。

「はっ……入った……」
「うん。入ったね」

 目の前にある優しく微笑む智紀の顔。胸の奥底からこみ上げる愛おしさに、敦美はゆっくりと顔を近づけた。ちゅう、とキスをする。智紀の腕の中で、何度も何度もキスを繰り返す。

 好き。智紀さんとずっとキスしていたい。
 
 とろけそうなくらい、キスが気持ちよくて、きゅうきゅうと膣が締まる。するとお腹の中でムクッと智紀さんの肉杭が大きくなった。それを受けて膣の壁が押し広げられる。

「ん……」

 気持ちいい。動いていないのに、肉杭が入っているだけで感じてしまう。中でぴたりとくっついているのが気持ちがいいのかもしれない。

 キスに夢中な敦美。智紀は動かないだろうと油断していたら、ゆっくり下から突き上げられた。

「えっ、ん……ぁっ」

 ベッドが浮き沈みして、きしみ出す。奥深いところまでしっかり入っているため、真下から突き上げられると、想像以上の快感が体を突き抜けた。思った以上に体がびくついて、唇が離れる。

「まって、だめっ、気持ちよすぎてっ……だめっ……んっあっ」
「何がダメなの? 敦美の中、きゅうきゅう締め付けて、こんなにも悦んでるのに?」

 ギシギシとベッドが軋む。律動は強くないし速くもないのに、突き上げられて擦れるところが、言葉に出来ないほど気持ちいい。 

「はぅっ……、くっ……んっ……」

 快感に耐えるように敦美の体はびくびく震える。

「敦美……気持ちいい?」
「ぁっ……気持ち、いっ……ふっ……」

 物欲しそうにこちらを見つめてくる智紀の瞳が扇情的で、ぞくぞくする。智紀の視線が敦美の瞳から、つう、と唇へ移った。その視線の移動が、まるで誘惑しているように感じて、敦美は智紀の唇に吸い寄せられるようにキスをする。

「ふ……んっ……」

 優しい唇が敦美の体も心も包み、幸福感で胸がいっぱいなった。すると少しだけ智紀の動きが速くなった。

「あっ……だ、めっ……んっ」

 徐々に敦美の体が反ってゆく。唇が離れたら、今度は胸の頂にキスされた。ちゅ、ちゅっと吸い、舌で弄られる。その刺激が強くて、びりびりと体中を電流が駆け抜けたかと思えば、受け止めきれないほどの快感が一気に押し寄せてきた。

「ぁっ……んっ……イクっ……!!」

 ぶわっと快感に貫かれて、敦美はびくびくっと一際体を震わた。

「んぁ……はぁ……」
「大丈夫?」
「あっ……ぅ、はい……はぁっ」

 ちゅっと優しくキスされて、智紀と繋がったまま、ゆっくりと押し倒される。ふわっとベッドに背中が付いたら、長年使われていないのにほんのり智紀の香りがした。その香りに、きゅうっと心臓が締め付けられる。

「ぅ……、そんなにも締め付けないで……」
「締め付けてな……っ」

 食べるようにキスされて、つきんと子宮が疼く。

「ごめん。……はぁっ……ちょっと優しくできそうにない」
「ぁうっ……やっ……」

 突然、智紀の腰が動き出す。最奥を強く押されて、体が飛び跳ねるようにびくついた。絶頂に達したばかりだからか、ものすごく快感を全身で感じてしまう。

「敦美……俺と敦美の子を……産んで」
「は、いっ……あっ……まっ、て……あぁっ……んっ」
「もう、待てない」

 肉槍が物凄い速さで奥を突く。愛液と絡まってイヤラシイ音を出して、敦美を攻め立てる。体の奥底が熱い。自分の吐息も、智紀の吐息も熱い。何もかもが熱くて、眩暈がしそうだ。敦美は必死に智紀にしがみつく。

「……くっ……」

 智紀の苦しそうな声が、敦美をより一層興奮させた。ぞわぞわと背筋を甘い痺れが走る。だめだ。敦美は迫りくる快楽から、逃れられない。

「あぁっ……んっ。智紀、さん……っ」
「敦美……っ」

 敦美に追い打ちをかけるように、さらにピストンは激しさを増す。巨大な快感の波が敦美に迫ってきた。

 あ、だめっ。それ以上激しくしちゃ……。

「……いっちゃぅ……っ」
「いいよ、一緒に」

 耳元で優しく、そして切なそうに囁かれた途端。敦美は快感の波に呑まれた。


 ***


 気が付いたら寝ていた。もう外は真っ暗になっている。

 智紀に「これからいいところに連れて行ってあげる」と言われて、車で移動することに。しかし着いたのは、山の中だ。ここに一体何があるのだろうかと思いながら、山道を歩く。

「あのっ、ちょっと待ってください……! ここ、真っ暗……!!」
「大丈夫だよ。俺につかまっててくれたらいいから」

 おいで、と差し伸べてくれる手を、きゅ、と握って智紀の後ろをついて行く。

 智紀は暗い山道を何の迷いもなくずんずん歩いてゆく。さすがに幽霊とかは出てこないだろうが、暗くてよく見えないし、怖すぎる。敦美は手を握っているだけでは心許なかったので、智紀の腕にしがみついていた。

 それからしばらく歩けば。

「敦美、着いたよ。前、見て」
「え? わあ……! 綺麗……!」

 開けたところに出れば、そこから街が一望できた。街の明かり一つ一つがくっきり見えて、それが宝石のようにきらきらと美しく輝いている。一面が光る海のように見えて、鳥肌が立った。

 夜景がこんなにも綺麗に見えるとは。

「今日は月が出てないし、霧もないし、一番夜景が綺麗に見えるんだ。今度夜景を見に行こうって言ってたでしょ?」
「覚えててくれたんですね……! 嬉しい。夜景、すごく、綺麗……!」

「うん。綺麗だ」

 そう言って智紀はじっと敦美の方を見ている。

「わ、私じゃなくて夜景を見て下さいよっ!」
「見てるよ?」

 ふふっと笑ったかと思えば、智紀にぎゅっと優しく抱きしめられた。

「ねえ、敦美」
「は、はい?」

「結婚式、どういう所でしたい?」
「え? うーん、そうですね……チャペルでやりたいです」

「うん、わかった。じゃあ、また一緒に探そうか。敦美のウェディングドレス、早く見たいな……」
「ふふふ……私も、楽しみです」

「敦美、これからもよろしくね」
「はい」

 見つめ合えば、やがて唇が重なる。夜景を見ながら、愛する人とキスが出来るなんて、なんてロマンチックなんだろう、とぼんやり思った。

 それから二人は夜景を見ながら甘い時間を過ごした。
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