63 / 71
番外編
5、優しいえっち 2
しおりを挟む「はぁはぁっ……」
立ったまま、敦美の体はひくひくと余韻でひくついていて、大きく胸が上下していた。その間に智紀は自身の服を脱いで、敦美の揺れる体を支えながら、ベッド上に座った。
「敦美、お疲れ様……こっちへおいで」
「へ……あ、はい……」
敦美はゆっくりと智紀の上へと移動する。
「そう。そのまま……ゆっくりと腰を下ろして」
言われるがまま腰を落としていれば、反り立った智紀の肉槍がぬぷっと蜜口へ入り込んだ。
「ぁっ……」
入り口を広げられた感覚で、ぞわぞわっと全身が粟立つ。少し腰を浮き上がらせようとしても、力の入らない脚では無理で、腰はゆっくりと重力に従うように下がってゆく。
ああ、智紀さんのが入っていく……。お、おっきい……。
奥へ奥へと熱い質量が入り込んでくる。じんわりとそこから全身へ向けて、快感が送られてくる。それが耐え難いほど気持ちいい。
「……んっ」
ゆっくりと敦美のお尻が智紀の腰まで下がりきって、智紀の大きい肉杭が奥までしっかりと入り込んだ。入ってくる過程で息を止めていた敦美は、ほっと一息つく。
「はっ……入った……」
「うん。入ったね」
目の前にある優しく微笑む智紀の顔。胸の奥底からこみ上げる愛おしさに、敦美はゆっくりと顔を近づけた。ちゅう、とキスをする。智紀の腕の中で、何度も何度もキスを繰り返す。
好き。智紀さんとずっとキスしていたい。
とろけそうなくらい、キスが気持ちよくて、きゅうきゅうと膣が締まる。するとお腹の中でムクッと智紀さんの肉杭が大きくなった。それを受けて膣の壁が押し広げられる。
「ん……」
気持ちいい。動いていないのに、肉杭が入っているだけで感じてしまう。中でぴたりとくっついているのが気持ちがいいのかもしれない。
キスに夢中な敦美。智紀は動かないだろうと油断していたら、ゆっくり下から突き上げられた。
「えっ、ん……ぁっ」
ベッドが浮き沈みして、軋み出す。奥深いところまでしっかり入っているため、真下から突き上げられると、想像以上の快感が体を突き抜けた。思った以上に体がびくついて、唇が離れる。
「まって、だめっ、気持ちよすぎてっ……だめっ……んっあっ」
「何がダメなの? 敦美の中、きゅうきゅう締め付けて、こんなにも悦んでるのに?」
ギシギシとベッドが軋む。律動は強くないし速くもないのに、突き上げられて擦れるところが、言葉に出来ないほど気持ちいい。
「はぅっ……、くっ……んっ……」
快感に耐えるように敦美の体はびくびく震える。
「敦美……気持ちいい?」
「ぁっ……気持ち、いっ……ふっ……」
物欲しそうにこちらを見つめてくる智紀の瞳が扇情的で、ぞくぞくする。智紀の視線が敦美の瞳から、つう、と唇へ移った。その視線の移動が、まるで誘惑しているように感じて、敦美は智紀の唇に吸い寄せられるようにキスをする。
「ふ……んっ……」
優しい唇が敦美の体も心も包み、幸福感で胸がいっぱいなった。すると少しだけ智紀の動きが速くなった。
「あっ……だ、めっ……んっ」
徐々に敦美の体が反ってゆく。唇が離れたら、今度は胸の頂にキスされた。ちゅ、ちゅっと吸い、舌で弄られる。その刺激が強くて、びりびりと体中を電流が駆け抜けたかと思えば、受け止めきれないほどの快感が一気に押し寄せてきた。
「ぁっ……んっ……イクっ……!!」
ぶわっと快感に貫かれて、敦美はびくびくっと一際体を震わた。
「んぁ……はぁ……」
「大丈夫?」
「あっ……ぅ、はい……はぁっ」
ちゅっと優しくキスされて、智紀と繋がったまま、ゆっくりと押し倒される。ふわっとベッドに背中が付いたら、長年使われていないのにほんのり智紀の香りがした。その香りに、きゅうっと心臓が締め付けられる。
「ぅ……、そんなにも締め付けないで……」
「締め付けてな……っ」
食べるようにキスされて、つきんと子宮が疼く。
「ごめん。……はぁっ……ちょっと優しくできそうにない」
「ぁうっ……やっ……」
突然、智紀の腰が動き出す。最奥を強く押されて、体が飛び跳ねるようにびくついた。絶頂に達したばかりだからか、ものすごく快感を全身で感じてしまう。
「敦美……俺と敦美の子を……産んで」
「は、いっ……あっ……まっ、て……あぁっ……んっ」
「もう、待てない」
肉槍が物凄い速さで奥を突く。愛液と絡まってイヤラシイ音を出して、敦美を攻め立てる。体の奥底が熱い。自分の吐息も、智紀の吐息も熱い。何もかもが熱くて、眩暈がしそうだ。敦美は必死に智紀にしがみつく。
「……くっ……」
智紀の苦しそうな声が、敦美をより一層興奮させた。ぞわぞわと背筋を甘い痺れが走る。だめだ。敦美は迫りくる快楽から、逃れられない。
「あぁっ……んっ。智紀、さん……っ」
「敦美……っ」
敦美に追い打ちをかけるように、さらにピストンは激しさを増す。巨大な快感の波が敦美に迫ってきた。
あ、だめっ。それ以上激しくしちゃ……。
「……いっちゃぅ……っ」
「いいよ、一緒に」
耳元で優しく、そして切なそうに囁かれた途端。敦美は快感の波に呑まれた。
***
気が付いたら寝ていた。もう外は真っ暗になっている。
智紀に「これからいいところに連れて行ってあげる」と言われて、車で移動することに。しかし着いたのは、山の中だ。ここに一体何があるのだろうかと思いながら、山道を歩く。
「あのっ、ちょっと待ってください……! ここ、真っ暗……!!」
「大丈夫だよ。俺につかまっててくれたらいいから」
おいで、と差し伸べてくれる手を、きゅ、と握って智紀の後ろをついて行く。
智紀は暗い山道を何の迷いもなくずんずん歩いてゆく。さすがに幽霊とかは出てこないだろうが、暗くてよく見えないし、怖すぎる。敦美は手を握っているだけでは心許なかったので、智紀の腕にしがみついていた。
それからしばらく歩けば。
「敦美、着いたよ。前、見て」
「え? わあ……! 綺麗……!」
開けたところに出れば、そこから街が一望できた。街の明かり一つ一つがくっきり見えて、それが宝石のようにきらきらと美しく輝いている。一面が光る海のように見えて、鳥肌が立った。
夜景がこんなにも綺麗に見えるとは。
「今日は月が出てないし、霧もないし、一番夜景が綺麗に見えるんだ。今度夜景を見に行こうって言ってたでしょ?」
「覚えててくれたんですね……! 嬉しい。夜景、すごく、綺麗……!」
「うん。綺麗だ」
そう言って智紀はじっと敦美の方を見ている。
「わ、私じゃなくて夜景を見て下さいよっ!」
「見てるよ?」
ふふっと笑ったかと思えば、智紀にぎゅっと優しく抱きしめられた。
「ねえ、敦美」
「は、はい?」
「結婚式、どういう所でしたい?」
「え? うーん、そうですね……チャペルでやりたいです」
「うん、わかった。じゃあ、また一緒に探そうか。敦美のウェディングドレス、早く見たいな……」
「ふふふ……私も、楽しみです」
「敦美、これからもよろしくね」
「はい」
見つめ合えば、やがて唇が重なる。夜景を見ながら、愛する人とキスが出来るなんて、なんてロマンチックなんだろう、とぼんやり思った。
それから二人は夜景を見ながら甘い時間を過ごした。
0
お気に入りに追加
397
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる