上 下
31 / 71

28、密室 3

しおりを挟む

 ポケットから取り出した避妊具を自身の反り立った肉槍に装着する。

「な、なんで今持ってるんですか?」
「ああ、いつ何時敦美とこうなるかわからないだろう? だから、いつもポケットに入れてるの」

「落としたらどうするんですか?」
「え? 落としたら拾った人にあげるかな。拾った人はそれを使って誰かと愛を確かめ合ったらいいでしょ? ね、敦美」

 ふう、と吐息が耳朶じだにかかる。

「ぁんっ……」

 ぶるっと体が震えた。智紀は力の抜け切った敦美を抱きしめるように持ち上げ、丁度横にあった台の上に乗せる。そのまま敦美の片足を脚を持ち上げ、秘所へ視線を送った。てらてらと濡れているのが見える。

「と、智紀さん!?」

 あられもない立ち姿に、敦美は顔を赤らめた。晒されている、その状況が羞恥心と欲情を掻き立て、脚をただ持たれているだけなのに、その智紀に触れられている所でさえ快感を感じてしまう。

「も、もう……えっち」

 すると、肉槍の先っぽを秘所に擦り付けられた。敏感なその場所は、擦られただけで蜜をとろっと零れさせる。

「んっ……」
「このまま……入れるよ」
「へ……? この、まま?」

 腰を押さえられて、ぐっと肉槍が蜜裂を掻き割って入ってきた。

「んぁっ」

 猛烈な熱量から逃げるように敦美のかかとが上がった。すると敦美の腰の位置が少し上がって、肉槍の進行が止まる。

「……ぁっ」

 思わず接合部を見てみれば、肉槍が中に入っているのが見えるではないか。入っている所をこんなにもしっかり見たのは初めてかもしれない。

「……智紀さんの……入って、る」

 その肉槍にはとろりと蜜がまとわりついていて、物凄く官能的だ。

「まだ先っぽしか入ってないよ。敦美……腰、ゆっくり落として」

 耳元で誘惑されるようにささやかれ、ツクンと子宮が疼く。智紀の声に誘導されるように、敦美は腰をゆっくりと下ろしてゆく。と同時に肉槍が奥へ奥へと入ってきた。熱い塊に壁をぐいぐい押し広げられると、背中がゾクゾク粟立あわだち、たまらなく甘い吐息が零れる。

 智紀の肉槍はこのいやらしい環境で一回りも大きくなっていたが、まるで麻酔にかけられている様に、挿入の痛みはなかった。ただただ快感しか感じられない。

「んっ……はぁっ……こ、こうですか?」
「そう。上手……」

 ちゅ、と耳に口付けされ、ピクンと体が震えた。気持ちよくて、もうすでに快感の閾値を越えてしまいそう。

「ふぁっ……」
「動くよ」

 いつも言わないのにそう言われて、これから感じるだろう快感を想像してしまったせいで、きゅうっと子宮が甘く痺れる。恐らく声を我慢して、という意味が含まれるのだろうが、我慢出来るか急に不安になった。

 ゆっくりと智紀の腰が動き出して、股同士がぶつかるごとに敦美の腰が跳ねる。

「んっ……」

 振り子のように跳ね上がって戻っての繰り返し。その都度奥深くをズンズン突き上げられて、快感が体の奥から体全身へ駆け巡ってゆく。体が倒れてしまわないように、敦美は智紀にぎゅっとしがみついた。

「あぁっ……んぁっ……やっ」

 思わず漏れる声を、呑み込むように智紀は口を塞ぐ。キスされて、ますます快感が増加する。

 ああ、気持ちいいっ……。

 彼からのどんなキスも好きだ。体の奥深くを突き上げるこの動きも、安定させるようにしっかりと固定してくれる手も。彼の全てが敦美を愛で包む。

 智紀が心配するように、敦美の気持ちが向井に行くことなんてない。智紀に愛される事を知ってしまったら、彼以外を好きにはなれない。それほどまで深く愛され、愛すことが、これほど幸せだと知らなかった。

 それにセックスは彼と繋がれるような気がして、このままずっと繋がっていたいと思った。そしたら心も体も繋がって、彼を不安にさせてしまうこともないのだろうに。

「んっ……んっ……ふっぅ……ぁっ」

 唇の隙間からお互いの呻き声と吐息が漏れる。

 快感をもっともっとと体が求め、智紀にしがみつく力が強まる。智紀も興奮しているのか、腰をぐっと押さえられて、力強い律動になる。全身が麻痺するように痺れだし、快楽の巨大な波が敦美に迫ってくる。

 ああっ……! イクっ……!

 一際力強く突き上げられて、ぶわっと快感が体を貫いた。

「んんぁっ……!!」

 大きく背中が弓形ゆみなりになり、きゅうきゅうっと膣が締まる。智紀の腰の動きもゆっくりとなり、やがて止まった。はあ、はあ、とお互いに荒い呼吸を整えた。

「敦美……好きだよ」
「私も……好き」

 ちゅ、と幸せを噛み締めるようにキスをする。体がふわふわして、何だか夢心地のようだ。

 だがその余韻に浸っていられるのは一瞬だけで、再び扉がガタガタ言い始めた。先程よりも強くドアノブを揺らされている。もしかしたら鍵が壊れて扉が開くかもしれない。

 この状況、見られたらやばい!

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

結婚なんてお断りです! ─強引御曹司のとろあま溺愛包囲網─

立花 吉野
恋愛
25歳の瀬村花純(せむら かすみ)は、ある日、母に強引にお見合いに連れて行かれてしまう。数時間後に大切な約束のある花純は「行かない!」と断るが、母に頼まれてしぶしぶ顔だけ出すことに。  お見合い相手は、有名企業の次男坊、舘入利一。イケメンだけど彼の性格は最悪! 遅刻したうえに人の話を聞かない利一に、花純はきつく言い返してお見合いを切り上げ、大切な『彼』との待ち合わせに向かった。 『彼』は、SNSで知り合った『reach731』。映画鑑賞が趣味の花純は、『jimiko』というハンドルネームでSNSに映画の感想をアップしていて、共通の趣味を持つ『reach731』と親しくなった。大人な印象のreach731と会えるのを楽しみにしていた花純だったが、約束の時間、なぜかやって来たのはさっきの御曹司、舘入利一で──? 出逢った翌日には同棲開始! 強引で人の話を聞かない御曹司から、甘く愛される毎日がはじまって──……

ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~

菱沼あゆ
恋愛
念願のランプのショップを開いた鞠宮あかり。 だが、開店早々、植え込みに猫とおばあさんを避けた車が突っ込んでくる。 車に乗っていたイケメン、木南青葉はインテリアや雑貨などを輸入している会社の社長で、あかりの店に出入りするようになるが。 あかりには実は、年の離れた弟ということになっている息子がいて――。

性欲の強すぎるヤクザに捕まった話

古亜
恋愛
中堅企業の普通のOL、沢木梢(さわきこずえ)はある日突然現れたチンピラ3人に、兄貴と呼ばれる人物のもとへ拉致されてしまう。 どうやら商売女と間違えられたらしく、人違いだと主張するも、兄貴とか呼ばれた男は聞く耳を持たない。 「美味しいピザをすぐデリバリーできるのに、わざわざコンビニのピザ風の惣菜パンを食べる人います?」 「たまには惣菜パンも悪くねぇ」 ……嘘でしょ。 2019/11/4 33話+2話で本編完結 2021/1/15 書籍出版されました 2021/1/22 続き頑張ります 半分くらいR18な話なので予告はしません。 強引な描写含むので苦手な方はブラウザバックしてください。だいたいタイトル通りな感じなので、少しでも思ってたのと違う、地雷と思ったら即回れ右でお願いします。 誤字脱字、文章わかりにくい等の指摘は有り難く受け取り修正しますが、思った通りじゃない生理的に無理といった内容については自衛に留め批判否定はご遠慮ください。泣きます。 当然の事ながら、この話はフィクションです。

強引組長は雇われ婚約者を淫らに愛す

春密まつり
恋愛
借金を抱えて昼も夜も働いている園田春子は、 外出先のホテルでお見合い直前の吾妻虎将に婚約者のフリをしてくれと頼まれる。 一日二十万円をもらえると聞き、お金とひきかえに引き受けたが、実は彼は極道の組長だった。 怯えつつも借金返済のために虎将との生活を始める春子。 怖いと思っていた虎将のいろんな顔を見ていくうちに惹かれるが、 『普通の家庭』に憧れる春子は彼と共にいることに迷いはじめ――。 ▼Rシーンが含まれる話には「*」マークをつけています。 ▼魔法のiらんどにも投稿している同タイトルのR18バージョンです ▼エブリスタにも投稿しています(章構成は異なります) ※暴力表現あります。苦手な方はご注意下さい。 ※この作品は架空のものであり、実在の人物、団体、場所、法律及び名称とは関係がありません

【R18】豹変年下オオカミ君の恋愛包囲網〜策士な後輩から逃げられません!〜

湊未来
恋愛
「ねぇ、本当に陰キャの童貞だって信じてたの?経験豊富なお姉さん………」 30歳の誕生日当日、彼氏に呼び出された先は高級ホテルのレストラン。胸を高鳴らせ向かった先で見たものは、可愛らしいワンピースを着た女と腕を組み、こちらを見据える彼の姿だった。 一方的に別れを告げられ、ヤケ酒目的で向かったBAR。 「ねぇ。酔っちゃったの……… ………ふふふ…貴方に酔っちゃったみたい」 一夜のアバンチュールの筈だった。 運命とは時に残酷で甘い……… 羊の皮を被った年下オオカミ君×三十路崖っぷち女の恋愛攻防戦。 覗いて行きませんか? ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ・R18の話には※をつけます。 ・女性が男性を襲うシーンが初回にあります。苦手な方はご注意を。 ・裏テーマは『クズ男愛に目覚める』です。年上の女性に振り回されながら、愛を自覚し、更生するクズ男をゆるっく書けたらいいなぁ〜と。

冷徹秘書は生贄の恋人を溺愛する

砂原雑音
恋愛
旧題:正しい媚薬の使用法 ……先輩。 なんて人に、なんてものを盛ってくれたんですか……! グラスに盛られた「天使の媚薬」 それを綺麗に飲み干したのは、わが社で「悪魔」と呼ばれる超エリートの社長秘書。 果たして悪魔に媚薬は効果があるのか。 確かめる前に逃げ出そうとしたら、がっつり捕まり。気づいたら、悪魔の微笑が私を見下ろしていたのでした。 ※多少無理やり表現あります※多少……?

エリート課長の脳内は想像の斜め上でした!? ~一夜の過ちにはしてもらえなかった話~

えっちゃん
恋愛
飲み会に参加した夜、酔い潰れていた私を押し倒していたのは社内の女子社員が憧れるエリート課長でした。 普段は冷静沈着な課長の性癖をくすぐり、執着されたらしい私には彼の思考は斜め上過ぎて理解不能です。 性描写がある話には*がついています。 シリアスにみせかけた変態課長との純愛?話。 前半はヒロイン視点、後半は課長視点。 課長は特殊な変態です。 課長視点は下品で変態描写が多いため、苦手な方はごめんなさい。 他サイトにも投稿しています。

狡くて甘い偽装婚約

本郷アキ
恋愛
旧題:あなたが欲しいの~偽りの婚約者に心も身体も囚われて~ エタニティブックス様から「あなたが欲しいの~偽りの婚約者に心も身体も囚われて」が「狡くて甘い偽装婚約」として改題され4/14出荷予定です。 ヒーロー視点も追加し、より楽しんでいただけるよう改稿しました! そのため、正式決定後は3/23にWebから作品を下げさせて頂きますので、ご承知おきください。 詳細はtwitterで随時お知らせさせていただきます。 あらすじ 元恋人と親友に裏切られ、もう二度と恋などしないと誓った私──山下みのり、二十八歳、独身。 もちろん恋人も友達もゼロ。 趣味といったら、ネットゲームに漫画、一人飲み。 しかし、病気の祖父の頼みで、ウェディングドレスを着ることに。 恋人を連れて来いって──こんなことならば、彼氏ができたなんて嘘をついたりしなければよかった。 そんな時「君も結婚相手探してるの? 実は俺もなんだ」と声をかけられる。 芸能人みたいにかっこいい男性は、私に都合のいい〝契約〟の話を持ちかけてきた! 私は二度と恋はしない。 もちろんあなたにも。 だから、あなたの話に乗ることにする。 もう長くはない最愛の家族のために。 三十二歳、総合病院経営者 長谷川晃史 × 二十八歳独身、銀行員 山下みのり 切ない大人の恋を描いた、ラブストーリー ※エブリスタ、ムーン、ベリーズカフェに投稿していた「偽装婚約」を大幅に加筆修正したものになります。話の内容は変わっておりません。

処理中です...