《完結》時を越えて結ばれる二人‐行き遅れ公爵令嬢が王子に求婚されました

ぜらいす黒糖

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第四章 デービッド10歳

⑳デービッド再び始動

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デービッドは10年ぶりに外の世界に戻ってきた。

〘除霊があってから、もう10年が経ったのか。あの愉快なエレッセ公爵一家に会うのも、久しぶりと言うことになるな。メリーにも会いたい。〙

デービッドが物思いにふけっているうちに、授業は終わって休み時間になっていた。

気がつくとデービッドの前には、カイレンが立っていた。

「おい、デービッド。今朝のことを謝るなら許してやるぞ。謝れ、デービッド。」

〘あー仕返しに来たのか、懲りないガキだな。〙

「謝る気はないようだな。」
 
デービッドの両脇に一人ずつ、後ろにも一人立っていた。

そして、正面にはカイレンがいた。

「カイレン、一人じゃ私に敵わないから仲間を連れて来たのですか?」

「なんだとう?」

そう言うと、いきなり椅子に座っているデービッドに殴りかかってきた。

同時にデービッドは、机をカイレンめがけて思い切り突き出した。

机はカイレンのお腹に当たり、カイレンの拳もデービッドには届かず、そのまま空振りして、カイレンは机と共に、後ろにひっくり返ってしまった。

そしてデービッドはゆっくり立ち上がるとデービッドを囲んでいた少年たちの目をじっと見つめて

「やるなら受けて立ちますよ?」

少年たちは無言のまま後ずさりをした。

「デービッドーーーーー!」

懲りないカイレンが立ち上がって、後ろを向いていたデービッドに襲いかかってきた。

バシッ!

デービッドの後ろ回し蹴りが、カイレンの顔面にヒットしていた。

「あー。懲りないクソガキだな、コイツは。」

デービッドは、床に転がっていたカイレンの横に立つと、横にあった椅子を両手で持って、頭上に振り上げて叫んだ。

「「「   カイレン!   」」」

そして思い切り椅子を振り降ろした。

ゴンッ!

カイレンの顔のすぐ隣の床に椅子が落とされていた。

恐怖で声の出ないカイレンに、デービッドが言った。

「次、ふざけた真似を、私に仕掛けたら、今度は君の顔に、椅子を落としますからね?」

ガクガクと震えながら、涙を流すカイレンにデービッドが聞いた。

「カイレン、返事は?」

「わかった。もうしない。」

「カイレン。敬語で言えないのか?」

「わかりました。もうしません。」

デービッドはニッコリと笑って

「よろしい。許しましょう。」

立ち去ろうとするカイレンを呼び止めるデービッド。

「待ちなさい。掃除をしていくように。わかりましたか?」

「はい!わかりました!デービッド様。」

「よろしい。」

そう言うとデービッドは、自分のカバンを持つと教室を出て行った。

職員室へ寄って、先生に体調が悪いので早退する、と伝えて学校を後にした。

「さてと、久しぶりに会う両親には、どういう態度を取ることにしようか。」


 
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