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第二章 セオドア 新婚
⑯セオドア、新婚旅行最後の宿泊
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「マラオ様」
「なんだ、ダスティン」
「あ、あの~」
「やったな?」
「え?」
「なにか失敗したな?」
「・・・」
マラオは優しいまなざしでダスティンに聞いた。
「怒らないから言ってみろダスティン」
「はい。それでは言います。次に泊まる宿、予約するの忘れました」
「ん?お前はそんな命令は受けていないだろ?」
「私、執事のルーカス様と仲が良くて」
「うん。それで?」
「ルーカス様が最終日の宿泊先をどこにするか悩んでおられたので私がいい宿を知っておりますと答えました。するとルーカス様がダスティン頼めるかとおっしゃいましたので任せて下さいと答えました」
「うん。それで?」
「頼まれたことを、今思い出しました」
セオドアとエマが乗る馬車の後ろを並走して、馬に乗っているマラオとダスティン。
マラオがダスティンの乗る馬の横腹を軽く蹴飛ばした。
ヒヒイィィン・・ドサッ
馬から落ちるダスティン
お腹を軽く蹴られてびっくりする馬。ブルルル。
「さて、これからどうしようか」と、マラオが呟いた。
ギギギ・・・ーー
「セオドア様、馬車が泊まりましたね」
「ああ」
コンコン。馬車の扉が開いてマラオが顔を出した。
「セオドア様、エマ様。どうぞこちらへ」
二人が馬車から降りると目の前に古着屋があった。
「セオドア様、エマ様。こちらで平民の服に着替えます。ささ、中へお入り下さい」
訳の分からぬまま二人は平民の服に着替えたが、なぜか楽しそうにしていた。
「セオドア様。お似合いですよ」
「エマも似合っているぞ」
マラオが言った。
「セオドア様。エマ様。今日で宿泊は最後になります。ですがいつものように高級な宿ばかりではつまらないでしょう?ですから今日は庶民の暮らしを、平民の暮らしを体験出来る宿が選ばれました。執事殿に御感謝を」
責任を執事に丸投げしたマラオは二人を安宿へと案内した。
「マラオ。ここへ泊まるのか?」
目の前には1階が全部、飲み食い出来る場所になっていて2階に宿泊施設があった。一行は受付を済ませてまずは部屋へと向かった。セオドアとエマはこの宿で1番高い部屋に入った。
「エマ。なんだか落ち着くと思わないか?この部屋」
「はい。セオドア様。私もそう思います。このぐらいの狭さがちょうどいいですね」
「ああ、ほんとにそうだな」
二人の会話を聞いていたダスティンが
「マラオ様。セオドア様とエマ様が気に入ってくれてよかったですね」
「・・・お前は呑気でいいな」
「ありがとうございます」
「褒めていないと思いますよ」
モアがダスティンの耳元で呟いた。
「セオドア様とエマ様は行商人夫婦で、私たちは護衛とします。よろしいですね。では1階へまいりましょうか」
「わかった。では行こうか、エマ」
「はい。旦那様」
1階の大きめの丸テーブルに座って食事を始めた5人。
「すみませんな、セオドア様。食事の席を同じにしまして」
「かまわん。そんなこと」
「そうですよ。マラオ。今更そんな水臭いこと言わないで下さい」
エマの思いもかけない優しい言葉に少し目が潤むマラオ。その様子を見ていたモアがマラオに言った。
「そうですよ。マラオ様。今更そんな水臭いこと言わないで下さい」
マラオの潤んだ目がすぐに乾いた。
美味しく食事を頂いていた5人だったが、隣の丸テーブルに座っていた3人の男がセオドアに絡んできた。
「おい。お前たちは行商人か?」
「ああ。そうだが」
男は席を立ってセオドアたちのテーブルに並んでいる、庶民にとっては豪華な食事を見て言った。
「ちょっと俺にもおすそ分けしてくれよ」
そう言ってセオドアのビールを勝手に飲んだ。残りの二人も立ち上がって「おお、美味そうなもの食ってるじゃねーか」と、食べ始めた。それをただジッと見ていたセオドアであったが、最初に絡んできた男が「なに気取った髪形をしているんだよ」とセオドアの頭をぐしゃぐしゃにしてしまった。
「もう、我慢できん」
立ち上がるとセオドアはその男を突き飛ばしてしまった。
「なにしやがる」
セオドアとその男の取っ組み合いが始まった。
それを見ていた残りの二人も加勢して3対1となった。
床にひっくり返るセオドア。慌てて駆け寄るエマ。
「セオドア様。お怪我は?」
「大事ない」
エマが男たちの方を向いて
「1人を相手に3人がかりとは卑怯です。私もセオドア様に加勢致します」
2対3の喧嘩になった。
マラオが暫く見ていたがやや相手が優勢になってきたのでモアに声をかけた。
「モア。セオドア様とエマ様に加勢してこい」
「わかりました」
立ち上がったモアがマラオに聞いた。
「腕を折るぐらいはいいんでしょ?」
「待て。やっぱりダスティンお前が行け」
「仕方がない」
そう言って喧嘩の輪に入って行ったがすぐに戻ってきた。鼻血をだしながら。
「マラオ様。あいつら結構強いです」
ふーっとため息をつきながら、立ち上がったマラオ。しかしなぜか男たちの悲鳴が聞こえた。
モアが暴れていた。
その後なぜかその男たちと意気投合したセオドアとエマたちは一晩中飲み明かした。
新婚旅行も終わりやっと屋敷に戻ってきたセオドアとエマ。
コンコン
ドアを開けて部屋に入ったセオドアとエマ。部屋の中央にはウイリアム・ハリー公爵がいた。
「ただいま戻りました。お祖父様」
「お帰り。まあ。そこに座ってくれ」
「はい」二人は一緒にソファに座った。公爵は事務机の席に座ったまま話しかけた。
「早速夫婦喧嘩でもしたのか?顔が傷だらけではないか」
「いえ、これは違います」
「そうか。まあ仲良くしてくれよ」
「はい」
コホンとひとつ咳払いをして言った。
「セオドアとエマに晩餐会の招待状が届いておる」
「晩餐会ですか?」
「一応出席をすると返事はしておいたが嫌なら断ってもよいぞ」
「あのう。どなたが主催される晩餐会でしょうか?」
「トムス・リッツとその妻ローズ」
「お前の両親だ。セオドア」
「どうする?断るか?」
「いいえ。お祖父様」
「私とエマは出席致します。行ってくれるだろ?エマ」
「ええ。もちろんですわ」
「そうか。わかった」
「晩餐会は3日後だ。準備しておくように」
「なんだ、ダスティン」
「あ、あの~」
「やったな?」
「え?」
「なにか失敗したな?」
「・・・」
マラオは優しいまなざしでダスティンに聞いた。
「怒らないから言ってみろダスティン」
「はい。それでは言います。次に泊まる宿、予約するの忘れました」
「ん?お前はそんな命令は受けていないだろ?」
「私、執事のルーカス様と仲が良くて」
「うん。それで?」
「ルーカス様が最終日の宿泊先をどこにするか悩んでおられたので私がいい宿を知っておりますと答えました。するとルーカス様がダスティン頼めるかとおっしゃいましたので任せて下さいと答えました」
「うん。それで?」
「頼まれたことを、今思い出しました」
セオドアとエマが乗る馬車の後ろを並走して、馬に乗っているマラオとダスティン。
マラオがダスティンの乗る馬の横腹を軽く蹴飛ばした。
ヒヒイィィン・・ドサッ
馬から落ちるダスティン
お腹を軽く蹴られてびっくりする馬。ブルルル。
「さて、これからどうしようか」と、マラオが呟いた。
ギギギ・・・ーー
「セオドア様、馬車が泊まりましたね」
「ああ」
コンコン。馬車の扉が開いてマラオが顔を出した。
「セオドア様、エマ様。どうぞこちらへ」
二人が馬車から降りると目の前に古着屋があった。
「セオドア様、エマ様。こちらで平民の服に着替えます。ささ、中へお入り下さい」
訳の分からぬまま二人は平民の服に着替えたが、なぜか楽しそうにしていた。
「セオドア様。お似合いですよ」
「エマも似合っているぞ」
マラオが言った。
「セオドア様。エマ様。今日で宿泊は最後になります。ですがいつものように高級な宿ばかりではつまらないでしょう?ですから今日は庶民の暮らしを、平民の暮らしを体験出来る宿が選ばれました。執事殿に御感謝を」
責任を執事に丸投げしたマラオは二人を安宿へと案内した。
「マラオ。ここへ泊まるのか?」
目の前には1階が全部、飲み食い出来る場所になっていて2階に宿泊施設があった。一行は受付を済ませてまずは部屋へと向かった。セオドアとエマはこの宿で1番高い部屋に入った。
「エマ。なんだか落ち着くと思わないか?この部屋」
「はい。セオドア様。私もそう思います。このぐらいの狭さがちょうどいいですね」
「ああ、ほんとにそうだな」
二人の会話を聞いていたダスティンが
「マラオ様。セオドア様とエマ様が気に入ってくれてよかったですね」
「・・・お前は呑気でいいな」
「ありがとうございます」
「褒めていないと思いますよ」
モアがダスティンの耳元で呟いた。
「セオドア様とエマ様は行商人夫婦で、私たちは護衛とします。よろしいですね。では1階へまいりましょうか」
「わかった。では行こうか、エマ」
「はい。旦那様」
1階の大きめの丸テーブルに座って食事を始めた5人。
「すみませんな、セオドア様。食事の席を同じにしまして」
「かまわん。そんなこと」
「そうですよ。マラオ。今更そんな水臭いこと言わないで下さい」
エマの思いもかけない優しい言葉に少し目が潤むマラオ。その様子を見ていたモアがマラオに言った。
「そうですよ。マラオ様。今更そんな水臭いこと言わないで下さい」
マラオの潤んだ目がすぐに乾いた。
美味しく食事を頂いていた5人だったが、隣の丸テーブルに座っていた3人の男がセオドアに絡んできた。
「おい。お前たちは行商人か?」
「ああ。そうだが」
男は席を立ってセオドアたちのテーブルに並んでいる、庶民にとっては豪華な食事を見て言った。
「ちょっと俺にもおすそ分けしてくれよ」
そう言ってセオドアのビールを勝手に飲んだ。残りの二人も立ち上がって「おお、美味そうなもの食ってるじゃねーか」と、食べ始めた。それをただジッと見ていたセオドアであったが、最初に絡んできた男が「なに気取った髪形をしているんだよ」とセオドアの頭をぐしゃぐしゃにしてしまった。
「もう、我慢できん」
立ち上がるとセオドアはその男を突き飛ばしてしまった。
「なにしやがる」
セオドアとその男の取っ組み合いが始まった。
それを見ていた残りの二人も加勢して3対1となった。
床にひっくり返るセオドア。慌てて駆け寄るエマ。
「セオドア様。お怪我は?」
「大事ない」
エマが男たちの方を向いて
「1人を相手に3人がかりとは卑怯です。私もセオドア様に加勢致します」
2対3の喧嘩になった。
マラオが暫く見ていたがやや相手が優勢になってきたのでモアに声をかけた。
「モア。セオドア様とエマ様に加勢してこい」
「わかりました」
立ち上がったモアがマラオに聞いた。
「腕を折るぐらいはいいんでしょ?」
「待て。やっぱりダスティンお前が行け」
「仕方がない」
そう言って喧嘩の輪に入って行ったがすぐに戻ってきた。鼻血をだしながら。
「マラオ様。あいつら結構強いです」
ふーっとため息をつきながら、立ち上がったマラオ。しかしなぜか男たちの悲鳴が聞こえた。
モアが暴れていた。
その後なぜかその男たちと意気投合したセオドアとエマたちは一晩中飲み明かした。
新婚旅行も終わりやっと屋敷に戻ってきたセオドアとエマ。
コンコン
ドアを開けて部屋に入ったセオドアとエマ。部屋の中央にはウイリアム・ハリー公爵がいた。
「ただいま戻りました。お祖父様」
「お帰り。まあ。そこに座ってくれ」
「はい」二人は一緒にソファに座った。公爵は事務机の席に座ったまま話しかけた。
「早速夫婦喧嘩でもしたのか?顔が傷だらけではないか」
「いえ、これは違います」
「そうか。まあ仲良くしてくれよ」
「はい」
コホンとひとつ咳払いをして言った。
「セオドアとエマに晩餐会の招待状が届いておる」
「晩餐会ですか?」
「一応出席をすると返事はしておいたが嫌なら断ってもよいぞ」
「あのう。どなたが主催される晩餐会でしょうか?」
「トムス・リッツとその妻ローズ」
「お前の両親だ。セオドア」
「どうする?断るか?」
「いいえ。お祖父様」
「私とエマは出席致します。行ってくれるだろ?エマ」
「ええ。もちろんですわ」
「そうか。わかった」
「晩餐会は3日後だ。準備しておくように」
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