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第十五章 明かされた秘密

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 その夜、夕食を終えると、私、アルベール様、ミレーご夫妻、エミールの五人は、ミレー公爵の書斎に集合した。公爵が、重々しく口を開かれる。

「本日、ジョゼフ五世陛下は、ドニ殿下のご処分を決定された。爵位及び王位継承権を剥奪の上、生涯幽閉とのことだ」

 私たちは、神妙に頷いた。五人をも殺害した上、麻薬の販売にも手を貸されたのだから、当然だろう。本来なら、極刑もやむを得ないところだ。

「麻薬に携わったにしては、ぬるいご処分と言えるが……。そこは王族という身分が考慮されたのだろう。王妃殿下の際も、そうだった」

 私たちの考えを読んだように、公爵は仰った。そしてふと、私をご覧になる。

「ところでモニク嬢。国王陛下は、あなたのご活躍に、大変感謝されている。ついては、褒美を下さるとのことだ。何なりと願いを述べよ、とのお言葉をいただいた」

 まあ、とミレー夫人が顔をほころばせる。だが私は恐縮した。

「そんな……。殺人犯を捕らえた引き換えに、アルベール様との結婚を認めていただいたのですもの。それ以上、何かしていだだくわけには参りませんわ」
「けれど、あなたがドニ殿下を自白に導いたおかげで、彼が築いた貴族たちへの麻薬販売ルートが明らかになった。陛下は、それを高く評価しておられるのだ。遠慮無く、お願いするとよろしい」

 うんうんと、夫人が頷かれる。

「そうよ、遠慮無く仰ったらいいわ。ドレス? それとも宝石かしら?」

 少し考えてから、私は申し上げた。

「では、植物学の権威、デュポン侯爵への謁見をお許しいただけないでしょうか」
「……そんなことでいいのか?」

 ミレー公爵が、拍子抜けしたお顔をされる。夫人やアルベール様も、同様だ。

「モニク嬢は、本当に植物がお好きでいらっしゃるのねえ」
「全くです。欲の無い女性ひとだ」

 私は、苦笑なさっているアルベール様のお顔を、チラと見た。

(違うのよ。欲が無いのではないの。私はあなたを、出生の悩みから解放して差し上げたいのよ……)

 タバインと男性不妊を結び付ける根拠は、いくら調べても見つからなかった。私は、権威だというデュポン侯爵に賭けたのだ。王族レベルでないと、会えないという彼。何でも願いをと言われたこのチャンスを、逃してはならない……。
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