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第十一章 新たな真実と反撃の決意

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(ドニ殿下は、お母様の復讐をするために、王妃殿下を殺害したのかしら……?)

 それにしても、今ひとつピンと来ない。シュザンヌ妃が亡くなったのは、殿下が五歳の時だという。王妃殿下死亡当時、彼は十五歳。十年もの間、復讐計画を練り続けるなんて、相当の執念が無いとできないだろう。単に母親が生前いじめられていたから、でそこまで思いつめるだろうか。

(私が知らないだけで、王室にはもっと深い闇があったのかしら……?)

 私は、さらに尋ねた。

「シュザンヌ妃が亡くなった後の、王妃殿下とドニ殿下の関係はいかがでしたか? ドニ殿下は、妃殿下は何かと気にかけてくださった、と仰っていましたが」
「あら、それはおかしいわね」

 ミレー夫人は、怪訝そうなお顔をされた。

「王妃殿下は、彼にとても冷たかったわよ。それはそうでしょう、憎い恋敵の息子ですもの。マルク殿下は、ただ一人の弟として、可愛がっていたようですけれど……」

 ではドニ殿下の話は嘘か、と私は考え込んだ。あえて妃殿下について虚偽の事実を語るあたり、やはり殿下は、彼女の殺害に関わっている気がするのだけれど。

(動機が、まだ不明確な気がするわ……)

 こう言っては何だけれど、マルク殿下を狙うのなら、話はわかりやすいのだが。兄・王太子である彼がいなくなれば、ドニ殿下は王位を継承できる。ジョゼフ五世陛下には、お二人以外にお子はいらっしゃらないから、そうなればドニ殿下の地位は盤石と言ってよいだろう。しかし、妃殿下を、しかもすでに幽閉された身の彼女を狙うことに、何の意味があったのか……。

「モニク嬢、あまり思いつめてはダメよ。美容に悪いわ」

 悩む私に、ミレー夫人は労るように仰った。

「あなたの嫌疑は、もう晴れた。今は、アルベールを案じてくださっているのでしょう? お気持ちはとても嬉しいけれど、あの子なら大丈夫よ。自分に降りかかった火の粉くらい、自分で払えるわ……。だから、そう深刻にならないで」

 にっこり微笑むと、夫人は切り替えるように、ファッションの話題を始めたのだった。
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