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第一章 空白の一日
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「よし、こんなものかな」
ひととおり室内を乱すと、アルベール様は満足そうな顔をされた。続いて、二人の遺体の元にしゃがみ込むと、目に付く宝石を取り外す。
「物盗り目的で侵入したところ、思いがけず彼らに見つかったから、とっさに殺した、と皆考えることでしょう。……ああ、これは、後で処分しますからね」
宝石を懐にしまいながら説明すると、アルベール様はチラリと私を見た。
「そして今度は、我々の逢い引きの偽装。密会場所は……、あなたの部屋が自然かな。案内していただけますか?」
「あ……、はい!」
とは答えたものの、私はちょっとためらった。この地味な容姿と性格ゆえ、これまで男性とは、ろくに話したことすら無いのだ。もちろん、部屋へ招くなんて初めての経験である。そんなことを言っている場合ではないとわかっているが、緊張して仕方ない。
(私の部屋でないとダメかしら? 他の場所を提案する? ダメだ、案が浮かばないわ……)
迷っていると、アルベール様は目をつり上げた。
「何をのんびりしているんです!」
「す……、すみません!」
その厳しい口調と眼差しに怖じ気づきつつ、私は部屋を出た。先に立って、彼を案内する。
(何だか……、思いっきり仕切られてますわね)
頼もしすぎて、私より三歳も年下とは、とても思えない。気恥ずかしいような、それでいて少し嬉しいような思いで、私は自室へと急いだのだった。
ひととおり室内を乱すと、アルベール様は満足そうな顔をされた。続いて、二人の遺体の元にしゃがみ込むと、目に付く宝石を取り外す。
「物盗り目的で侵入したところ、思いがけず彼らに見つかったから、とっさに殺した、と皆考えることでしょう。……ああ、これは、後で処分しますからね」
宝石を懐にしまいながら説明すると、アルベール様はチラリと私を見た。
「そして今度は、我々の逢い引きの偽装。密会場所は……、あなたの部屋が自然かな。案内していただけますか?」
「あ……、はい!」
とは答えたものの、私はちょっとためらった。この地味な容姿と性格ゆえ、これまで男性とは、ろくに話したことすら無いのだ。もちろん、部屋へ招くなんて初めての経験である。そんなことを言っている場合ではないとわかっているが、緊張して仕方ない。
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迷っていると、アルベール様は目をつり上げた。
「何をのんびりしているんです!」
「す……、すみません!」
その厳しい口調と眼差しに怖じ気づきつつ、私は部屋を出た。先に立って、彼を案内する。
(何だか……、思いっきり仕切られてますわね)
頼もしすぎて、私より三歳も年下とは、とても思えない。気恥ずかしいような、それでいて少し嬉しいような思いで、私は自室へと急いだのだった。
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