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最終章 待望の手合わせ
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その日、ナーディアとジャンニは、王宮前の広場にいた。今日は、騎士たちの武芸試合が行われているのである。
あの後エレオノーラ王女は、女性騎士団を連れて輿入れし、オルランドの結婚式は華々しく執り行われた。この武芸試合は、祝賀行事の一環である。とはいえ、皆真剣なことに変わりはない。女性騎士たちも、懸命に剣を戦わせている。
新国王オルランド二世と、エレオノーラ王妃は、たいそう興味深そうに試合を見守っている。特に王妃の方は、自分も加わりたくてウズウズしている様子だった。国王は、そんな王妃を愛おしげに見つめている。何とも微笑ましい光景だった。
そして観客席にもまた、加わりたくてたまらなさそうな男がいた。ロベルトである。ジャンニは、彼を新しい屋敷に引き取りたいと言ったのだが、ロベルトは断固固辞した。彼は、同じように引退した元部下らと共に、剣術教室を開いた。そこを兼住居として、今はつつましく暮らしている。
「女性陣、健闘しているな。優秀な団員が増えて、団長としては心強い」
ジャンニの言葉に、ナーディアは大きく頷いた。すると彼は、唐突にこう言い出した。
「この前な。陛下から、聞かれたんだ。王立騎士団員の資質として最も大切なものは何だと思う、と。俺は、こうお答えした。私情を無にすることだ、と。陛下は仰った。俺も全く同じことを考えていた、と」
同感だ、とナーディアも思った。
「武芸を磨くだけではダメなんだ……。あのクーデターの時、ザウリとマリーノは私情に走った。お前は、真逆だった。立派だったよ。何を差し置いても、陛下をお守りした。自分の父親に立ち向かってまで……」
「それを言うなら、ジャンニだって……」
あの時点で、ジャンニはまだロベルトのことを誤解していた。戦いに乗じて命を狙う機会は、いくらでもあったはずなのに。彼は、そうはしなかった……。
あの後エレオノーラ王女は、女性騎士団を連れて輿入れし、オルランドの結婚式は華々しく執り行われた。この武芸試合は、祝賀行事の一環である。とはいえ、皆真剣なことに変わりはない。女性騎士たちも、懸命に剣を戦わせている。
新国王オルランド二世と、エレオノーラ王妃は、たいそう興味深そうに試合を見守っている。特に王妃の方は、自分も加わりたくてウズウズしている様子だった。国王は、そんな王妃を愛おしげに見つめている。何とも微笑ましい光景だった。
そして観客席にもまた、加わりたくてたまらなさそうな男がいた。ロベルトである。ジャンニは、彼を新しい屋敷に引き取りたいと言ったのだが、ロベルトは断固固辞した。彼は、同じように引退した元部下らと共に、剣術教室を開いた。そこを兼住居として、今はつつましく暮らしている。
「女性陣、健闘しているな。優秀な団員が増えて、団長としては心強い」
ジャンニの言葉に、ナーディアは大きく頷いた。すると彼は、唐突にこう言い出した。
「この前な。陛下から、聞かれたんだ。王立騎士団員の資質として最も大切なものは何だと思う、と。俺は、こうお答えした。私情を無にすることだ、と。陛下は仰った。俺も全く同じことを考えていた、と」
同感だ、とナーディアも思った。
「武芸を磨くだけではダメなんだ……。あのクーデターの時、ザウリとマリーノは私情に走った。お前は、真逆だった。立派だったよ。何を差し置いても、陛下をお守りした。自分の父親に立ち向かってまで……」
「それを言うなら、ジャンニだって……」
あの時点で、ジャンニはまだロベルトのことを誤解していた。戦いに乗じて命を狙う機会は、いくらでもあったはずなのに。彼は、そうはしなかった……。
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