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第十五章 第二のクーデター
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「なぜ……」
ナーディアは、呆然としながら、ダリオから書類を受け取った。それが本当なら、ダリオの言う通りだ。いくら、恩あるオルランドのために殺人は犯すまいと誓ったにせよ、ロレンツォにロベルトへの恨みが消えていないのは確かだ。この戦いという大義名分の下、魔が差す可能性は否定できない……。
「ダリオ、ありがとう。これに免じて、今は見逃してやる」
ナーディアは、ダリオに目配せした。心得たとばかりに、ダリオが微笑む。
「助かるよ。君も、ご武運を」
ダリオと別れると、ナーディアはロレンツォの姿を捜した。見れば、かつての同僚である、王宮近衛騎士団の一人と戦っている。チャンスがあればすぐに今の話を伝えられるよう、ナーディアは近付いて行った。戦っている二人の近くには、ロベルトの姿もあった。王立騎士団員たちに、何やら指示をしている。
その時、ナーディアはハッとした。ロベルトの背後に、ザウリがそっと近付いて来たのだ。ザウリは、敵方を見ているのではなかった。明らかに、ロベルトを狙っている。……そして、斬りかかろうとした。
「お父様!!」
ナーディアは、思わず悲鳴を上げていた。オルランド勢の手にかかるのなら、致し方ない。いざとなったら、ナーディア自身で手を下すことも覚悟していた。だが……、味方であるはずのザウリに斬られるなど、許せなかった。
本能的に駆け付けようとしたナーディアだったが、次の瞬間目を見張った。それまで戦っていた相手を、一瞬のうちになぎ倒したロレンツォが、ザウリの右腕を斬り付けたのだ。低いうめきと共に、ザウリが倒れ込んでいく。
(ロレンツォ……。お父様を、助けた……!?)
ナーディアは、呆然としながら、ダリオから書類を受け取った。それが本当なら、ダリオの言う通りだ。いくら、恩あるオルランドのために殺人は犯すまいと誓ったにせよ、ロレンツォにロベルトへの恨みが消えていないのは確かだ。この戦いという大義名分の下、魔が差す可能性は否定できない……。
「ダリオ、ありがとう。これに免じて、今は見逃してやる」
ナーディアは、ダリオに目配せした。心得たとばかりに、ダリオが微笑む。
「助かるよ。君も、ご武運を」
ダリオと別れると、ナーディアはロレンツォの姿を捜した。見れば、かつての同僚である、王宮近衛騎士団の一人と戦っている。チャンスがあればすぐに今の話を伝えられるよう、ナーディアは近付いて行った。戦っている二人の近くには、ロベルトの姿もあった。王立騎士団員たちに、何やら指示をしている。
その時、ナーディアはハッとした。ロベルトの背後に、ザウリがそっと近付いて来たのだ。ザウリは、敵方を見ているのではなかった。明らかに、ロベルトを狙っている。……そして、斬りかかろうとした。
「お父様!!」
ナーディアは、思わず悲鳴を上げていた。オルランド勢の手にかかるのなら、致し方ない。いざとなったら、ナーディア自身で手を下すことも覚悟していた。だが……、味方であるはずのザウリに斬られるなど、許せなかった。
本能的に駆け付けようとしたナーディアだったが、次の瞬間目を見張った。それまで戦っていた相手を、一瞬のうちになぎ倒したロレンツォが、ザウリの右腕を斬り付けたのだ。低いうめきと共に、ザウリが倒れ込んでいく。
(ロレンツォ……。お父様を、助けた……!?)
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