上 下
16 / 17

第16話 謎キャラは味方なのか、敵なのか

しおりを挟む
私たちの母星、地球。

 環境破壊、国家間戦争などが相次いだ結果、私たちの星は人類が住めない環境へと大きく針路が歪んでしまいました。
 国連主導により計画されていた、人類移住計画。
 試験稼働が終わり、第一次移民船団が地球を離れた数ヶ月後に、地球からの通信は途絶、軌道を変えることができないまま、目的の星へと長い旅を続けることを余儀なくされてしまいました。

 それから15年。
 目的の星に到達し、移民船が惑星表面に着陸。
 その目の前に広がっていたのは、地球から眺めていた緑の星ではなく、荒野でした……。

 幸いなことに大気はあり、オアシスらしき場所もあります。
 だが、見渡す限りの荒野、私たちは、この移民船の生活区画を居城としながら、この地での開拓を余儀なくされました。

 ………
 ……
 …

 ──惑星ピオニーア
 かつて、この星にやって来た祖先たち、その移民船の名前。
 この、何もない星に辿り着いた先祖は、ピオニーアが停泊する地を中心に、ゆっくりと開拓を進めて来ました。
 少しずつ、ゆっくりと、だが確実に。
 円を広げるかのように開拓を進め、幾つもの村を築き上げます。
 それはやがて町となり、都市となり、多くの人々の生活する基盤となりました。

 私たちの運命の転換期、それはこの星にあった古い遺跡、そこから発掘された『魔導機関マギ・リアクター
 それは、魔力を吸収し、エネルギーを生み出す装置。
 それが発掘され、研究されてからは、人々の生活には魔導機関はなくてはならないものになっています。
 だが魔導機関の小型化は難しく、車一台走らせるにもその半分の大きさの魔導機関を積み込まなくてはならず、街のあちこちにも大きな魔導機関を設置しなくてはなりません。
 そこから送り出されるエネルギーも、太いパイプの中に『レアメタル』によるケーブルを通して送り出されており、私たちの生活は不恰好な開拓時代に突入しました。

 ──そして今
 人類がピオーニアに到着して500年。
 惑星歴500年、私たちは、まだ、開拓を続けています。
 なぜなら、星の裏側、そこには前人未到の地が広がっていますから。

 私たち人類が越えることのできない『プラズマの海』と呼ばれる、海面全てがプラズマ活性している『死の海』が広がっていますから。

 ここを超えた時、私たちはまた、新しい時代を迎えることができるのかもしれません。


 これが、EFOの開始冒頭に流れるプロローグ。

 それにあやかり、EFOをメインに活動している人をピオーニア人、逆にヨルムンガンドをメインとして活動しているがEFOに来た人をマグナ・カルタからの旅人などというんだけど……。
 これは、日本人にしか通用しない隠語なはずで........。
 ということは彼も日本人ということなんだろうね。
 残念だけど、私にはそういうことが分かる術はないんだよね。
 特権機能『国籍表示』っていうスキル?でもないかもだけど、それでそのユーザーがどこの国の人なのかを知ることができるらしいんだけど。

 使えるのが、北条氏の次男ー充さん、あと彼の相棒ー優輝ちゃん達直接監察課のメンバーと、充さんの前職である総務省フルダイブ技術監督課にいる特別司法警察員の調査員三名くらいだっけ?
 あと、私たち関係だと、ユメカガクの統計調査員の二階堂さんと北条社長、あと実質ナンバーツーの足立さん、ナンバースリーの三浦さんぐらいだったかなぁ。

 まぁ、世界各国の不特定多数のプレイヤーの重要な個人情報は漏洩させることが出来ないものなので、司法機関やそれに準じる組織や、超中核のメンバー以外には中々難しいものなんだろうな。
 だから、実質初期メンバーの中では一番年も、能力も下の望さんはこのような能力は授かっておりません。

 ここではあったら結構役立つと思うんだけど。
 まぁ、仕方ない。
 でもさ、この今ほど声をかけてくれた男の人ーコード・アイロニーというらしいが、はどう考えても日本出身らしい。
 しかし、仕事の影響でアメリカに行っておりそこで、EFOが発売されてプレイしていたらしい。
 それは、認めると言うか、認めざる負えない事実なんだけど……。
 何となく、彼は何かを隠しているそんな気がするからな。
 あんまり認めたくないんだけど。

『全てが本当のことではない。噓も紛れ込んでいると思うべし。』

 これは、私のおばあちゃんの口癖。まぁ、本当は彼女の父親ー私にとっては曾祖父の口癖だったらしい。曾祖父さんには会ったことないけど。
 なんか噂では、何か凄い組織を率いていた人らしい。
 その組織についてはあまり皆教えてくれなかったけど、杜和が高校時に少しグレテいた時には『血だな。』とか言ってたからヤクザとかそこらへん関係なのかなと少し予想中。
 まぁ、本当の答えは知らないけどね。

 にしても........。
 滅茶下二人と打ち解けるの早いな⁉
 のわりに、私にはなぜか警戒しているらしい。
 って言っても、最初からしていたわけではないけど二人と話していると途中から急に私にはあたりが強くなったんだけど?なんで?
 二人ったら何を言ったんだ?

 まぁ、ひとまず彼から情報をもらっていきますか。
「あの、エーチとララと仲良くお話しされているところすみませんが、私からいろいろ聞いてもよろしいですかね?」
「うん。いいよ。大魔導士さん。」

 いや、なんでその俗称をご存じなのですか?二人が言いましたか?

「いや、彼らは言ってないけど僕が知り合いから聞いていただけなんだよね。」
「そうですか。っては!? どんな友人さん何ですか?」
「別に話してもいいけど、長くなっちゃうから聞きたいこときけなくなっちゃうよ?」
「えっ、じゃあ先に聞いておこう。」
「うん、でもまぁ。二人から聞いた限り皆はRINGクエストについて調べているみたいだね?」
「ええ、まぁ。それ関係でこちらで行われるらしいクエストに行こうと思ってきたんですよね。」
「うーんと?要は、リング関係かもしれなくてこちらの世界で行われてるクエスト?........。あー、もしかしてだけど魔導書クエストのこと言ってる?そのクエストなら今から知り合いと参加する予定だから近くまで一緒に行く?」
「いいんですか?願ったり叶ったりな話なのですが。」
「いいよ。ピオーニアまで行かないと行けないけど大丈夫かな?」

 二人にアイコンタクトをして彼を信用できるのかを確認。
 一番話していた二人ならそれくらいわかるでしょ?

 まぁ、それに万能鑑定眼も使ったけどそんなに危なそうなポイントはなかったもんね。でも、何か隠している。それは確定。鑑定眼で見たらだいたいのことはすべて洗い浚いにすることはできるんだけど……。
 この人所属の欄と、アイテムとスキルのいくつかが見れないようになってるね。
 そこが怪しいんだよね。
 でも、人物的には悪くなさそうだし、注意はしながらにはなるけどついて行っていいと思う。

「分かりました。ありがとうございます。」とエーチがいい。
 ララと同時に頭を下げた。
 私も頭を下げたが、気になることが一つあった。
「あの、先ほど、ワープ魔法は使えないとおっしっていましたが、どうやって行かれるのですか?」
「それは........。答えは簡単だよ。結構原始的なものだからこっちにもあるし、現実にもあるし。でもすぐ答えを言ったら面白くないから此処では言わないでおこうかな。」
「つまり、魔法関係ではないと?」
「そうだね。関係はしているけど、ヨルムンガンドほどには、それ単品では使われていないね。」
「?それはどういうことで?」
「そうだねー。それは出発の時の道中にでも説明してあげるよ。それじゃあ、俺はこれで……。あ、誰かフレンドになってくれない?場所とか伝えないといけないから。」
「だったら、俺が……。男性同士の方が気が楽でしょ?」と杜和がなってくれた。
 その時コードの顔が少し不満そうになっていた。
 多分、私と繋がろうとしたんだな。理由は分からないけど、友人さんとかと関係があるのかな?

 まぁ、これでクエストに取り組む準備はできたかな?

 -----------------
【EFO ソルト 某所 とある組織のアジト】
「なぁなぁ、コードをあのクエストに参加させても大丈夫なのかよ?」
「うぁ?一度やめたから信用してないのか?」
「そりゃそうだろ。だってあいつがバグモンスターを逃がしたきっかけを生みだした張本人なんだぜ?」
「まぁな。でも、今回は大丈夫だろうよ。監視用に同伴者付けてるし、それ以外にも何人か近くに居座らせているんだからな。」
「まぁ、そうだよな。でもさ、もしかしたらこっちでも警察系の人に捕まったりとか、監視させるとか嫌なんだけど?」
「それは仕方ない。にしても、まさかこの前王都近くの実験場で作った、マグナム内蔵の特大魔道銃が破裂するとはな……。しかもそれでテロを計画してるだのなんだのってあらぬ疑いかけられたしよ。」
「まぁ、良いじゃん。そのおかげでほぼ全員が本部の近くに戻ってこれたんだし?」
「それに、王都が大混乱になったってことは、俺たちの真の目的に着実に近づいているってことだよな?」
「ああ、あのくそ野郎ー京極 優誠を消し去り、鳳亀麟ほうきりんを復活させることだ。」
「そうだよな。だから、そのために前組長であった法林 実弥ほうりん さねみさんの子孫である円満井望・杜和姉弟に賭けるしかないんだよな。」

 等と、順調な道路のウラには、私にも関わりそうな裏事情が渦巻いていた。
 しかも、それは私の仕事仲間とも深く関わりがあり、それが更なる騒動を起こすことになってしまうのだが……。
 今の私には、知ったことじゃないよね?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『修羅の国』での死闘

橋本 直
SF
その文明は出会うべきではなかった その人との出会いは歓迎すべきものではなかった これは悲しい『出会い』の物語 『特殊な部隊』と出会うことで青年にはある『宿命』がせおわされることになる 法術装甲隊ダグフェロン 第三部  遼州人の青年『神前誠(しんぜんまこと)』は法術の新たな可能性を追求する司法局の要請により『05式広域制圧砲』と言う新兵器の実験に駆り出される。その兵器は法術の特性を生かして敵を殺傷せずにその意識を奪うと言う兵器で、対ゲリラ戦等の『特殊な部隊』と呼ばれる司法局実働部隊に適した兵器だった。 一方、遼州系第二惑星の大国『甲武』では、国家の意思決定最高機関『殿上会』が開かれようとしていた。それに出席するために殿上貴族である『特殊な部隊』の部隊長、嵯峨惟基は甲武へと向かった。 その間隙を縫ったかのように『修羅の国』と呼ばれる紛争の巣窟、ベルルカン大陸のバルキスタン共和国で行われる予定だった選挙合意を反政府勢力が破棄し機動兵器を使った大規模攻勢に打って出て停戦合意が破綻したとの報が『特殊な部隊』に届く。 この停戦合意の破棄を理由に甲武とアメリカは合同で介入を企てようとしていた。その阻止のため、神前誠以下『特殊な部隊』の面々は輸送機でバルキスタン共和国へ向かった。切り札は『05式広域鎮圧砲』とそれを操る誠。『特殊な部隊』の制式シュツルム・パンツァー05式の機動性の無さが作戦を難しいものに変える。 そんな時間との戦いの中、『特殊な部隊』を見守る影があった。 『廃帝ハド』、『ビッグブラザー』、そしてネオナチ。 誠は反政府勢力の攻勢を『05式広域鎮圧砲』を使用して止めることが出来るのか?それとも……。 SFお仕事ギャグロマン小説。

ベル・エポック

しんたろう
SF
この作品は自然界でこれからの自分のいい進歩の理想を考えてみました。 これからこの理想、目指してほしいですね。これから個人的通してほしい法案とかもです。 21世紀でこれからにも負けていないよさのある時代を考えてみました。 負けたほうの仕事しかない人とか奥さんもいない人の人生の人もいるから、 そうゆう人でも幸せになれる社会を考えました。 力学や科学の進歩でもない、 人間的に素晴らしい文化の、障害者とかもいない、 僕の考える、人間の要項を満たしたこれからの時代をテーマに、 負の事がない、僕の考えた21世紀やこれからの個人的に目指したい素晴らしい時代の現実でできると思う想像の理想の日常です。 約束のグリーンランドは競争も格差もない人間の向いている世界の理想。 21世紀民主ルネサンス作品とか(笑) もうありませんがおためし投稿版のサイトで小泉総理か福田総理の頃のだいぶん前に書いた作品ですが、修正で保存もかねて載せました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

INNER NAUTS(インナーノーツ) 〜精神と異界の航海者〜

SunYoh
SF
ーー22世紀半ばーー 魂の源とされる精神世界「インナースペース」……その次元から無尽蔵のエネルギーを得ることを可能にした代償に、さまざまな災害や心身への未知の脅威が発生していた。 「インナーノーツ」は、時空を超越する船<アマテラス>を駆り、脅威の解消に「インナースペース」へ挑む。 <第一章 「誘い」> 粗筋 余剰次元活動艇<アマテラス>の最終試験となった有人起動試験は、原因不明のトラブルに見舞われ、中断を余儀なくされたが、同じ頃、「インナーノーツ」が所属する研究機関で保護していた少女「亜夢」にもまた異変が起こっていた……5年もの間、眠り続けていた彼女の深層無意識の中で何かが目覚めようとしている。 「インナースペース」のエネルギーを解放する特異な能力を秘めた亜夢の目覚めは、即ち、「インナースペース」のみならず、物質世界である「現象界(この世)」にも甚大な被害をもたらす可能性がある。 ーー亜夢が目覚める前に、この脅威を解消するーー 「インナーノーツ」は、この使命を胸に<アマテラス>を駆り、未知なる世界「インナースペース」へと旅立つ! そこで彼らを待ち受けていたものとは…… ※この物語はフィクションです。実際の国や団体などとは関係ありません。 ※SFジャンルですが殆ど空想科学です。 ※セルフレイティングに関して、若干抵触する可能性がある表現が含まれます。 ※「小説家になろう」、「ノベルアップ+」でも連載中 ※スピリチュアル系の内容を含みますが、特定の宗教団体等とは一切関係無く、布教、勧誘等を目的とした作品ではありません。

TIABOD(Two Ideals And Battlefield Of Desire)

鶏くん
SF
これは今の地球より15年ほど文明が進んでいる、とある惑星での物語。国際的な企業の集合体、 国際企業連合、ICA(アイカ)が誕生する。だが、様々な国や個人の策謀により、ICAは暴走し、平和な世に新たな戦乱を巻き起こすことになる。

怪獣特殊処理班ミナモト

kamin0
SF
隕石の飛来とともに突如として現れた敵性巨大生物、『怪獣』の脅威と、加速する砂漠化によって、大きく生活圏が縮小された近未来の地球。日本では、地球防衛省を設立するなどして怪獣の駆除に尽力していた。そんな中、元自衛官の源王城(みなもとおうじ)はその才能を買われて、怪獣の事後処理を専門とする衛生環境省処理科、特殊処理班に配属される。なんとそこは、怪獣の力の源であるコアの除去だけを専門とした特殊部隊だった。源は特殊処理班の癖のある班員達と交流しながら、怪獣の正体とその本質、そして自分の過去と向き合っていく。

AIは電気脳の死を喜ぶか?

幻奏堂
SF
一人、また一人と倒れていく。 「助けて……!」 伸ばされた手は落ち、転がる。血濡れた視界。燃えるような痛み。突きつけられた切っ先。残酷な面影。 異常なまでの喪失感に、悠久(ゆうく)は意識を奪われた。 新しい日常。黒き侵略者、リバーサーにより地球は戦場と化した。 少年少女6人は望む未来を手に入れる為、立ち上がる。 やがて微睡みの中、狂い出す。歪みは真実を求め、容赦なく塗り替えていく。 それぞれの罪。無知、欺瞞、憎悪、執着、依存、傍観。 確かなものは何もない。自分すら信じられない。その時、何が残る? 表紙(枠内) しろいち様 https://fantia.jp/fanclubs/71274

処理中です...