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201話 教会のみんな
しおりを挟むあの時モルフィスは体が塵になり、動いているのか動いていないのか分からなく、何処までが自分の体なのかも分からないような状態になっていた。
その時に、モルフィスの体は世界中に無限にある塵と同化してしまったのではないかと俺は考えた。
モルフィスはどうしてかは分からないが、魔核融合魔法に巻き込まれても意識だけの状態で生き残っていた。
まぁ、生きているのか死んでいるのか分からない状態ではあったが、それでも少なくとも意識はあった。
そして、魔核融合魔法から抜け出し、塵だらけの世界を見た時、その時にモンフィスが自分の体だと認識していたのは、もはや自分のものなのかも分からない塵だったのだ。
そうなればもはや自分自身がどこまでなのかも分からない。
全ての塵が自分自身の可能性もあったのだ。
そして、その状態であの機械を使った事により、その塵全てがこの世界に送られてきたのだろう。
そして、ここに来る時に何らかの原因でそれが反転して、あの箱の中に無限に箱が続くと言う構造になったのだろう。
普通ならば他の方法でここまで来るのだが、モルフィスはそんな状態だったため、その機械がバグったのだと思う。
これも全て仮説に過ぎないため、間違っている可能性はあるだろうが、もうそれ以外に考えられない。
どうしてこんな形になったのかなどは一切分からないが、とりあえずそう考えておこう。
つまり、この箱は無限に開き続け、その度にモルフィスの意識が強くなっていくという訳だ。
モルフィスの考え的には教会のみんなを探してから現人神を殺し、そして最後に世界を終わらせようとしているため、まだ猶予はある。
そして、その教会のみんなの中にゆうちゃんを追加させることによってゆうちゃんも探し出してもらように仕向けているため、俺の第一目標は果たされる。
それでも世界が滅亡するのは、ゆうちゃんも死んでしまうし、他の街のみんなも死んでしまう。
皮肉な事にモルフィスの意識が戻った事によって魔法も使えるようになっている。
スキルは無いが、スキルというのは元々その魔法を補助する為のものらしいので、無くてもある程度は魔法を発動できる。
というか箱を開けているだけでも様々なスキルが取得されていっているので、魔法は使える。
それを使えばゆうちゃんを生き返らせる事も可能みたいだ。
俺は意識を強く持ち、少しでもモルフィスが世界を滅亡させないように努める。
最悪ゆうちゃんを生き返らせたあとは俺が死ぬ事によってこのモルフィスの封じ込めを行おうと思っている。
本当は死にたくないが、これは謎の箱なんて言う楽な事で強くなった俺への報いだ。
みんなのためにこの身を捧げようじゃないか。
俺の体はどんどんと先に進んでいく。
気づけば凪によって食べられた場所では無い、凸凹とした場所に辿り着いていた。
モンスターもかなり出てきたが、その全てを魔法を使う事によって殲滅していった。
どんな魔法でもそれさえ使えれば人類を救う事が出来る程の威力を誇っていた。
ダンジョンには入ることは無く、ただ目的地へと進んでいっていた。
ダンジョンの最上階には体の一部があった。
多分あれが転移した人の体なのだろうが、モルフィスはそれには興味を示していない。
何故かと考えると、モルフィスからはあれには意識が宿っていない。
言うなれば教会のみんなを象った人形のようなものだ。
それよりもみんなの意識を受け継いでいる人間を探したいとの事だった。
確かに世界中でダンジョンを攻略した人達は日に日に増えていっている。
そのため、世界中にはもう教会のみんなの記憶と意識を持った人は居るはずだ。
コナーの話はあれ以来聞けていないので、そういった人が他にいるのかも分からない。
が、モルフィスにかかれば教会のみんなの魔力を見分けることも出来るらしい。
だからこそモルフィスはダンジョンには行かずに人を探しているみたいだ。
モルフィスはただ人が居そうな所へ進んでいる。
モルフィスにも俺の考えは伝わっているので、俺が進んで欲しくないところに進んでいっている。
今生き残っているのはロシアとドイツ、イタリアとアメリカ、そして日本だろう。
今俺はロシアに向かっているみたいだ。
ロシアは広いが、首都があるのはヨーロッパ方面だ。
そう考えるとそこに人が集まっていると考えられる。
そこからそのままドイツとイタリアに攻め入り、その後アメリカへと渡ろうとしているようだ。
俺もこれが協会のみんなを探すこと、そして人類を滅ぼす為の最適解だとは思っている。
そのためモルフィスもそれを遂行しようとしている。
そこまでいくのにはかなり時間が掛かるが、モルフィスは日曜の現人神にやられた事も考え、できるだけ魔力は消費しないようにして居るようで、浮遊魔法などはほとんど使わずに俺の身体能力を使って走っている。
まぁ、それだけでも100キロ以上は出るため、速度で言えば全然遅くは無い。
車のように道路を走らなければいけなかったり、燃料などを気にする必要も無いので、目的地へはそこまでかからなかった。
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