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22話 警察
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「はぁ、はぁ、はぁ。」
俺の横ではナックルの男が大の字になっている。
俺はそこまで体力を消費した訳では無いので特に息が切れたりはしていない。攻撃も食らっていないしな。
「2人とも大丈夫かーい!?」
コナーが走って来た。
そうだ、さっきの力についてコナーに聞かなくては!
「コナー! さっきの力はなんだったんですか!?」
「ちょっと待ちなよ。まずはこの人の方が先だよ。」
そう言ってコナーはナックルの男の身体を隅々調べだした。
「これは酷いね。切り傷とかがいっぱいあるとかじゃないんだけど、打撲が凄い。それに骨も何本か折れてるね。うーん、特に出来る事はないなぁ。」
「だ、大丈夫っすよ!」
ナックルの男は右手でコナーさんを制した。
その動きだけでも辛そうだ。苦悶の表情を浮かべている。
だが、男はその右手を骨の折れている部分に当てて叫んだ。
【治癒!】
赤い光が手から溢れた。
そうすると、男の顔色が少し良くなった気がした。
「へぇ、これは中々…………。」
「コナー。これってまさか回復スキルって奴か?」
「そうだね。かなりレアだよ。まぁ、君も自己再生が出来るスキルを持っているみたいだしそれも中々にレアだけどね。」
そうなのか。まぁ、確かに完全再生はぶっ壊れスキルだとは俺も思っている。
俺たちがそう話しているとナックルの男が起き上がった。
「いてて、よし、これで大丈夫っすよ。」
ナックルの男は明るくそう言った。
「さっきは助けてくれてありがとうございました。助かったっす。」
「うん。全然いいよ。で、君はなんの用でこんな所に居るんだい? その服装からして警官だと思うけど。」
ナックルの男は青い制服に身を包んでいた。
実物を見るのは初めてかもしれない。見た事があっても覚えていないほど昔のことだ。
だが、男の制服はかなり汚れており、ずっと洗って居ないことが分かる。
「まぁ、簡単に言うと最近ゴブリンが増えてきてるからその調査っすね。」
確かに最近ゴブリンが増えてきてるからな。
と言うかそれのお陰で俺はホテル街へと行ったのだからな。
だが、俺はそこで1つ違和感を覚えた。
この人はどこからどう見ても警察の人だ。だが、モンスターを倒しているのは防衛者のはずだ。
警察と防衛者組合は連携をとっていないのか?
俺は気になった事は気になった時に聞けるタイプの人間だ。俺はその事をそのまま聞いた。
「うわー、痛い所つくねー。」
「そうっすね。」
2人は顔を見合せ困ったような顔をした。やはり何かいざこざがあるようだ。
「防衛者と警察の違いはね、簡単に言うと私営か官営かの違いだね。防衛者組合はその地域の人達が集まって組合を作り、全国に点在しているそう言う集団をまとめて防衛者組合って言ってるんだ。一応全部の防衛者組合で連携はとってるんだけど、基本は自分の所だけだね。警察は元々の集団がそのまま存在している感じだよ。まぁ、今は殆どその業務は防衛者と変わらないと思うけどね。本当は似たような事をしているし協力した方がいいんだけど。警察の方の上が頭カッチカチなんだよ。今の所は協力はしない方針らしい。狂ってるよね。」
「ホントそうっすよ。防衛者と手を組めば今俺はこんなに苦労してないって言うのに。」
2人は怒りを隠すこと無く外に出していた。
一瞬喧嘩になるかとも思ったが、怒りの矛先はどちらも同じなようだ。
「まぁ、そういう訳だ。だから情報共有なんて出来ちゃいないんだ。ゴブリンが増えてきてるなんて情報僕達は知らなかった。と言うか実際増えてなかったしね。」
「え、どういうことっすか? ゴブリンの数は以前と比べて5倍ほどになってるはずっすけど?」
「そ、そんな訳は…………。僕たちの拠点にはそんなにゴブリンは沢山来てないよ。ゴブリンの反対側から来るウルフは若干増えた気がするけど、ゴブリンは減ったくらいだよ。」
「なんでっすかね?」
不思議な事もあるもんだ。ゴブリンが増えたという情報はあるのに事実は違うようだ。
あれ? まって?
俺は今までの行動を振り返るとワンチャンこれは俺のせいかも知れないと思えだした。
「なぁ、いつもゴブリンってどれくらい来てたんだ?」
「んー、1週間で50体くらいかな。」
これは俺の仮説が当たってるかもしれない。
それは俺がゴブリンがホテル街へと行く前に始末していたという仮説だ。
俺は毎日五体程のゴブリンを数回倒していた。それを平均すると1週間に多分200体は軽く超えるだろう。
ならば、5倍になったとしてもその増えた分は俺が倒していた事になるのでは?
「あの、2人とも悩んでるところ悪いんだけど、ワンチャン俺原因分かるかもしれない。」
「本当かい!?」
俺はさっき考えた事を正直に話した。
「そ、そんな事が? まぁ、あの強さなら1人でそんな事が出来てもおかしくないのかな?」
「と言うか俺はあなたくらいの年齢の子が1人でこんな危ない所に住んでるって事に1番驚いてるんすけど。」
「え? ああ、多分勘違いしてるよ。晴輝君も僕も同い年でどっちも28だよ。」
「え。」
ナックルの男が俺たちの顔を見たあと、民家の窓に映る自分の顔を交互に見た。
「その若々しさで俺よりも年上…………。」
ナックルの男は言葉を失っていた。
分かるぞ!
俺もひきこもり始めて最初の方はまだ良かったが、20代後半になり始めた頃には老いを実感して絶望したからな。
「あっ、ていうか晴輝さんって言うんっすね! 名乗るのが遅れましたが、稲上凪って言います! そちらのえっと、小さいじゃなくてその。」
「八百コナーだよ。最後の言葉は聞かないことにしておくよ。」
「わかってると思うが、俺は御影晴輝だ。」
凪は俺たち2人の名前を聞くとハッとしたような顔をしていきなり焦りだした。
「そうだ! 報告に戻らなきゃな。じゃあ、俺はこの辺で。」
「あぁ、気をつけてくれよ。」
「はい! 今回のお礼はいつか必ずしますので! さようなら!」
凪は手を振って走り出した。
少し心配だが、ゴブリン数体程度には負けなそうなほど強そうなので大丈夫だろう。
流石にもうさっきレベルの数が来る事はないと思うしな。
「それで、これからどうする? 俺の家に行ってもいいしいったんホテル街に帰ってもいいぞ?」
「んー、どっちの方が近い? 今は少しでも早く休みたい。」
「多分俺の家の方が近いな。」
「じゃあ、君の家に行くよ。」
そう言うとコナーは伸びをして歩き出した。
俺もちょっと疲れたし休みたいな。
俺たちは2人並んで俺の家に向かった。
俺の横ではナックルの男が大の字になっている。
俺はそこまで体力を消費した訳では無いので特に息が切れたりはしていない。攻撃も食らっていないしな。
「2人とも大丈夫かーい!?」
コナーが走って来た。
そうだ、さっきの力についてコナーに聞かなくては!
「コナー! さっきの力はなんだったんですか!?」
「ちょっと待ちなよ。まずはこの人の方が先だよ。」
そう言ってコナーはナックルの男の身体を隅々調べだした。
「これは酷いね。切り傷とかがいっぱいあるとかじゃないんだけど、打撲が凄い。それに骨も何本か折れてるね。うーん、特に出来る事はないなぁ。」
「だ、大丈夫っすよ!」
ナックルの男は右手でコナーさんを制した。
その動きだけでも辛そうだ。苦悶の表情を浮かべている。
だが、男はその右手を骨の折れている部分に当てて叫んだ。
【治癒!】
赤い光が手から溢れた。
そうすると、男の顔色が少し良くなった気がした。
「へぇ、これは中々…………。」
「コナー。これってまさか回復スキルって奴か?」
「そうだね。かなりレアだよ。まぁ、君も自己再生が出来るスキルを持っているみたいだしそれも中々にレアだけどね。」
そうなのか。まぁ、確かに完全再生はぶっ壊れスキルだとは俺も思っている。
俺たちがそう話しているとナックルの男が起き上がった。
「いてて、よし、これで大丈夫っすよ。」
ナックルの男は明るくそう言った。
「さっきは助けてくれてありがとうございました。助かったっす。」
「うん。全然いいよ。で、君はなんの用でこんな所に居るんだい? その服装からして警官だと思うけど。」
ナックルの男は青い制服に身を包んでいた。
実物を見るのは初めてかもしれない。見た事があっても覚えていないほど昔のことだ。
だが、男の制服はかなり汚れており、ずっと洗って居ないことが分かる。
「まぁ、簡単に言うと最近ゴブリンが増えてきてるからその調査っすね。」
確かに最近ゴブリンが増えてきてるからな。
と言うかそれのお陰で俺はホテル街へと行ったのだからな。
だが、俺はそこで1つ違和感を覚えた。
この人はどこからどう見ても警察の人だ。だが、モンスターを倒しているのは防衛者のはずだ。
警察と防衛者組合は連携をとっていないのか?
俺は気になった事は気になった時に聞けるタイプの人間だ。俺はその事をそのまま聞いた。
「うわー、痛い所つくねー。」
「そうっすね。」
2人は顔を見合せ困ったような顔をした。やはり何かいざこざがあるようだ。
「防衛者と警察の違いはね、簡単に言うと私営か官営かの違いだね。防衛者組合はその地域の人達が集まって組合を作り、全国に点在しているそう言う集団をまとめて防衛者組合って言ってるんだ。一応全部の防衛者組合で連携はとってるんだけど、基本は自分の所だけだね。警察は元々の集団がそのまま存在している感じだよ。まぁ、今は殆どその業務は防衛者と変わらないと思うけどね。本当は似たような事をしているし協力した方がいいんだけど。警察の方の上が頭カッチカチなんだよ。今の所は協力はしない方針らしい。狂ってるよね。」
「ホントそうっすよ。防衛者と手を組めば今俺はこんなに苦労してないって言うのに。」
2人は怒りを隠すこと無く外に出していた。
一瞬喧嘩になるかとも思ったが、怒りの矛先はどちらも同じなようだ。
「まぁ、そういう訳だ。だから情報共有なんて出来ちゃいないんだ。ゴブリンが増えてきてるなんて情報僕達は知らなかった。と言うか実際増えてなかったしね。」
「え、どういうことっすか? ゴブリンの数は以前と比べて5倍ほどになってるはずっすけど?」
「そ、そんな訳は…………。僕たちの拠点にはそんなにゴブリンは沢山来てないよ。ゴブリンの反対側から来るウルフは若干増えた気がするけど、ゴブリンは減ったくらいだよ。」
「なんでっすかね?」
不思議な事もあるもんだ。ゴブリンが増えたという情報はあるのに事実は違うようだ。
あれ? まって?
俺は今までの行動を振り返るとワンチャンこれは俺のせいかも知れないと思えだした。
「なぁ、いつもゴブリンってどれくらい来てたんだ?」
「んー、1週間で50体くらいかな。」
これは俺の仮説が当たってるかもしれない。
それは俺がゴブリンがホテル街へと行く前に始末していたという仮説だ。
俺は毎日五体程のゴブリンを数回倒していた。それを平均すると1週間に多分200体は軽く超えるだろう。
ならば、5倍になったとしてもその増えた分は俺が倒していた事になるのでは?
「あの、2人とも悩んでるところ悪いんだけど、ワンチャン俺原因分かるかもしれない。」
「本当かい!?」
俺はさっき考えた事を正直に話した。
「そ、そんな事が? まぁ、あの強さなら1人でそんな事が出来てもおかしくないのかな?」
「と言うか俺はあなたくらいの年齢の子が1人でこんな危ない所に住んでるって事に1番驚いてるんすけど。」
「え? ああ、多分勘違いしてるよ。晴輝君も僕も同い年でどっちも28だよ。」
「え。」
ナックルの男が俺たちの顔を見たあと、民家の窓に映る自分の顔を交互に見た。
「その若々しさで俺よりも年上…………。」
ナックルの男は言葉を失っていた。
分かるぞ!
俺もひきこもり始めて最初の方はまだ良かったが、20代後半になり始めた頃には老いを実感して絶望したからな。
「あっ、ていうか晴輝さんって言うんっすね! 名乗るのが遅れましたが、稲上凪って言います! そちらのえっと、小さいじゃなくてその。」
「八百コナーだよ。最後の言葉は聞かないことにしておくよ。」
「わかってると思うが、俺は御影晴輝だ。」
凪は俺たち2人の名前を聞くとハッとしたような顔をしていきなり焦りだした。
「そうだ! 報告に戻らなきゃな。じゃあ、俺はこの辺で。」
「あぁ、気をつけてくれよ。」
「はい! 今回のお礼はいつか必ずしますので! さようなら!」
凪は手を振って走り出した。
少し心配だが、ゴブリン数体程度には負けなそうなほど強そうなので大丈夫だろう。
流石にもうさっきレベルの数が来る事はないと思うしな。
「それで、これからどうする? 俺の家に行ってもいいしいったんホテル街に帰ってもいいぞ?」
「んー、どっちの方が近い? 今は少しでも早く休みたい。」
「多分俺の家の方が近いな。」
「じゃあ、君の家に行くよ。」
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