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6話 引きこもり遂に外に出る
しおりを挟むあの後俺は寝る間も惜しんで箱を開け続けた。
何週間。何ヶ月経ったか分からないが俺からしてみると本当に一瞬だった。
楽しい事をしていると時間が早く進むって言うのは本当だったんだな。
俺はすぐ横に置いてあった紙を取る。
これは途中からスキルが増えてきて、何を持っているのか分からなくならないようにするための物だ。
――――――――――――――――――――
《解錠LV6》
《ショートスリープLV8》
《少食LV6》
《筋力LV2》
《魅力LV4》
《健康体LV3》
《知力LV1》
――――――――――――――――――――
こんな所だ。スキルはレベルが上がる毎にどんどん強化されていった。
解錠はダイヤルの左半分が何なのか分かるようになった。
ショートスリープは睡眠時間が10分ほどで十分になった。
少食はよく分からないが、多分お腹が減りにくくなっているからそれだろう。
筋力はまぁ、腹筋しかして無いから分からないが確実に筋肉着いてきている。前まで10数回やったらひぃひぃ言ってたのに今じゃ100回くらい出来る。昔の俺を考えるとものすごい進歩だ。
魅力はまぁ、ちょっとかっこよくなりたいなと思ったから取ってみた。取り方はなんか自分的にかっこいい仕草をしながら箱を開けたら取れた。
かっこよくなったかは分からないが、まぁ、少しはマシにはなっただろう。
健康体は本当によく分かんない。字的に病気に掛かりにくくなるとかだろう。俺の生活が酷すぎたってことだろう。
知力は勉強しながらやったら取れた。特に意味はなかったが、頭良くて悪いことないだろって事で取っておいた。今のところメリットは無い。
スキルの紹介はこれくらいにして、俺は服を着はじめた。いちばん綺麗なやつだ。
何故かと言うと、俺の食料が尽きたからだ。
いくら少食があったとしても何も食べないで生きていくのは無理だ。元々1週間分ほどの食糧しか無かったのにこれだけ生きていけただけ凄いのだ。
少食が極まればもっと食べなくても良くなるだろうからそれまでの辛抱だ。
少し寒くなってきた道を歩いてコンビニへ行くが、何故か人を一人も見かけない。
別に人が出歩いていない時なんていくらでもあるのだが、そういうのじゃなくてなんというか、人の気配がしないのだ。
ここは住宅街なので普通は家に人は居るだろう。なのに、その気配すら感じない。
俺の思い違いかもしれないが、なんというか異様な雰囲気が街全体を包み込んでいる。
俺が外に出ていない間に何があったんだ?
俺は疑問に思いながらも、近くのコンビニに到着する。すると、何故かシャッターが閉まっており、そこには1枚の張り紙があった。
〈当店は飽和迷宮の影響により、従業員の安全の観点から閉店する事になりました。〉
飽和迷宮?
聞き慣れない単語だ。迷宮と言うと、ファンタジーな世界のモンスターとか宝箱とかがある所だよな。
うん。分からん。
という事は、さっきまで街に人が全然いなかったのもそのせいなのか?
取り敢えず家に帰って調べようと思ったが、お腹も減っていたので、自販機でおしるこでも買って飲む事にした。
「あー。うまい。」
思わず声に出してしまうほど、寒い中で飲むおしるこは美味しい。これは全国共通だろう。
そうやって待ったりしていると、かなり遠くに人影のようなものが見えた。
やっぱり人まだいるじゃん。
俺はこの異常事態に内心ビクビクしていたため、ホッとした。陽キャならここでその人達に話を聞けるのだろうが、俺にそんなコミュ力は無い。
さて、さっさと飲んで家に帰るかー。
俺がおしるこを飲み干して居ると、その人影がこちらを向き、こちらを向かって走ってきた。
「えっ!? なになになに!」
俺もその瞬間走り出した。
俺なんかした!? 全く心当たりは無いが、なんかもうあの走り方は尋常じゃ無かった。絶対やばい人だってあの人。
俺は全速力で走った。
だが、俺の走る速度なんてたかが知れていて、どんどん距離を縮められていく。
その距離が50メートル程になった時、俺はあることに気付く。
その人影の正体は、人間では無いということに。
やばいやばいやばい。
あの見た目は、俗に言うゴブリンと言うやつだ。そんな奴に俺は追いかけられているのか!?
ゲームやアニメとかではゴブリンは雑魚キャラだったりするが、それは主人公が強いからだ。俺みたいな陰キャおでぷピーポーが勝てる相手じゃない。
くそ、こんな事になるなら魅力なんて上げないでもっと筋力や走る系のスキルを入手したりするべきだった!
ゴブリンは鉈を振り回しながらどんどん近ずいてくる。
「げひゃっ!」
ゴブリンはもう鼻と目の先の位置にいる。もうダメだ。死ぬ。
ゴブリンの鉈が俺目掛けて振られる。
俺は痛みを覚悟して目を瞑り蹲るが、痛みは一向に来る気配は無い。
「…………?」
俺が顔を上げると、そこに居たのは首の切られたゴブリンと学生服を着た女の子だった。
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