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5話 箱の有用性2

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 俺は今日も丸一日箱を開け続けた。

 報酬が良いとモチベーションも上がる。

 それに唯一の楽しみだったネットも、怖くて開けてない。だから、時間を有り余っている。

 俺は飯は結構食べる方だが、その時間も惜しいので今は一日一食しか食べないことにしている。

 普通だったらお腹が空いて我慢できなくなるはずだが、何故か耐えられた。


 俺が箱を開け続けていると、遂に頭の中に声が鳴り響いた。


【スキル《解錠LV2》を入手しました】


 これは、ってやつか。

 レベルアップしたのは、箱を33個開けた時のことだ。という事は、前回開けた時から、12個開けたということだ。

 やはり、まだ1個ずつ増えているとも取れるし、10%づつ増えているとも取れる。

 これは実験が必要だな。


 《解錠》は1回手に入れてるスキルだが、今回手に入れたのはLV2だ。多分だが、効果が上がってる。

 これが終わったらもう寝ようと思っていたが、スキルの効果を確かめたいため、もう一個だけ開けることにした。

 
 箱を開け始めると、あることに気付いた。

 箱の一番左の数字が何なのか分かるのだ。今回の数字は「9」のようだ。

 俺は試しにそこを9に合わせて箱を開けた。

 
 うん。普通に開いた。

 これで作業効率が物凄く良くなるだろう。最初の時から計算すれば、約10倍の速さで開けられるだろう。
 

「ふわぁぁ。」


 物凄く大きな欠伸だ。
 今日もかなりの時間作業を続けていたから、疲れてしまった。

 今日はもう寝よう。

 俺はまた明日、箱を開けることを考え、ワクワクしながら眠りについた。


 俺は、日の出と同時に目覚めた。

 日の出を見るなんてもう何年もしていない為、俺は少しだけ眺める事にした。

 俺が外を眺めていると、少し遠くに物凄く大きなビルのようなものが建っているのが見えた。

 あれは俺がもっと幼い時には建っていなかったはずだ。俺が引っ越した所は元の家からそう離れていない場所だ。だから、あんなものが建っていたら分かるはずなんだが…………。

 うーん。思い出せない。最近建てられたのだろうか。かなり立派な建物に見える。


「ま、いいや」


 特にそのまで興味がある訳でも無いので、軽く朝食を取り、箱を開けることを開始した。

 《解錠》がレベルアップしたお陰で、効率が爆上がりしたので、昼まで開けただけなのにもうスキルを獲得した。


【スキル《少食LV1》を入手しました】


 俺は社畜にでもなりたいのだろうか。

 多分これは少ししか飯を食っていなかったから手に入れたんだな。

 一つの考察が確信に変わった。やはりスキルは俺のやった事を入手しているという事だ。

 《解錠》は箱の鍵を開け続けたから。《ショートスリープ》は少ししか寝なかったから。そして《少食》は飯を少ししか食べなかったからだ。

 ならば、これも出来るのだろうか。
 

「ふっ、ふっ、ふっ。」


 何をしてるのかって? いかがわしい事では無い。腹筋だ。

そっちも興味が無い訳では無いが、ネムちゃんとの件がある為止めておいた。

 これで筋肉関係のスキルが着けば、俺の考察はあっていたと本当に言えるだろう。


 俺は腹筋しながら箱を開け続けた。かなり休み休みだったが、休んでいる間にも開けていたので効率は変わらなかった。

 びっくりしたのは俺が意外と筋肉があった事だ。あんな脂肪の中にこんなにも腹筋が隠れていたなんてな。


ペチンペチン


 腹筋を労るためにお腹を叩く。

 あれ、俺のお腹ってこんなにへこんでたっけ? お腹を見てみると、そこにあったはずの引きこもりの勲章が無くなっていた。


 なんで?


 心当たることといえば腹筋をした事くらいだ。だが、それだけであれだけのものが落ちるのか?

 俺は鏡を見ようとして立ち上がろうとするが、俺の部屋に鏡がないことに気付きまた腹筋をしながら箱を開けた。


 それから何個か開けたところで、また声が聴こえた。


【スキル《筋力LV1》を入手しました】


 やっぱりこの箱はやっている事がスキルになるのか。

 このスキルは力を上げるスキルなのか、物凄く力が付いたような気がする。


 俺は生唾を呑み込んだ。


 この箱は本当にやばい。俺はどんなものにもなれるぞ!

 俺はテレビに出るようなスポーツ選手の事を思い浮かべる。その人達は圧倒的な身体能力や圧倒的な知力によって、世界の選手と対等に戦っている。

 だが、俺のならそんな人達をも越える力が手に入るかもしれない。

 どのスキルもLv1から強力なものばかりだ。しかも俺がやった事がスキルになるときた。

 俺は実質何でもできる存在となった訳だ。
 

 俺の人生にいい事なんてないと思ってた。お母さんやお父さんが死んだ時から、俺はずっと独りなんだと思ってた。


 だけど! この箱があれば俺は!


 俺はとびっきり明るい表情で箱を開け始めた。
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