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てれてりててれ
しおりを挟むアラームを止めてカーテンを開ける。
今日は天気がいいらしい。朝日を浴びると途端に眠気が覚める。
さて、今日の朝ごはんは何を食べようか。昨日は目玉焼きを食べたから‥今日は卵かけご飯にしよう。
ーーこんな風に僕の1日は幕を開けるんだ。
僕はしがない大学生だ。
田舎から出てきて、質素かつ地味な生活を繰り返す日々。
講義を終えて荷物をまとめる僕の耳に、派手な集団の大きな声が届く。
集団は5人。
5人だけが聞こえる音量で話せばいいのに、きっと彼らは周りを一切気にしていないのだろう。
集団の中の1人、里山さんという女性が手を叩きながら脈略もなく言った。
「てれてりててれ!!」
ーーーは?
てれてりててれ‥?
なんだその言葉は。‥聞いたことないぞ。流行りの歌?新種の若者言葉?
思わず荷物をまとめる手が止まる。いや、盗み聞きをしたいわけじゃない。否応なく聞かされてるんだ。
その言葉の意味なんてどうだっていいんだけど、でもなんだか妙に耳に残る。
「はぁ?!やめろよそれぇ!!」
里山さんの彼氏という噂の山崎くんが里山さんを咎めた。
なんだ?呪いの言葉か何かなのか?
「きゃはは!ビビりすぎぃ」
「いやいやまじ白けるんだけど」
5人のスピーカーモードの会話は延々と続いていたものの、【てれてりててれ】の話はすぐに終わってしまった。
‥‥えぇ‥なんだよ‥。気になるじゃないか‥。
消化不良を抱えたまま僕は学校を出た。
駅までは商店街を通る為、結構な人通りがある。
クレープ屋の前でクレープを頬張る女子高生たちは今日も今日とて可愛らしい。
そんな彼女たちの横を通り過ぎようとしたその時のことだった。
「てれてりててれ」
ーーーーえ‥?
僕の足が思わず止まる。
女子高生たちが2人、「いやだぁ」とか「えへへ」とかそんなことを言いながらキャッキャとはしゃいでいる。
いや、なんなんだよ。てれてりててれ‥。
足を止めていた僕を不審に思ったのだろうか、女子高生の1人と目が合う。
「‥‥‥あ、聞こえちゃいました?」
キョロキョロと辺りを見渡すが付近に僕以外の人間はいない。僕は小さく頷いた。
「すみません~!‥まだ大丈夫ですよね?」
ーーーーまだ???
「え‥‥ごめん、何が‥‥?」
「あっ」
女子高生たちは顔を見合わせて困ったような表情を浮かべている。
「‥‥その、てれてりててれって何‥?」
「「ひっ!!!」」
女子高生たちは途端に表情を歪めて耳を塞ぐ素振りを見せた。
えぇ‥。
今日何故か2回もその言葉を聞かされたのに、僕が口にするとそんな反応するの‥?
「も、もう口にしちゃダメですよ!!その言葉は聞くのも話すのも1日に2回までなんです!!」
女子高生のポニーテールが揺れてる。
僕、そういや‥黒髪の可愛い女の子と会話してるじゃん‥。いい日だな‥。
って、そうじゃなくて。
「2回‥?」
「はい!3回聞いたり話したりすると、明日は二度と来ないらしいですよ!」
女の子は頬にクリームをつけながら怖い顔をしていた。熱弁だ‥。
「そうなんだ‥。教えてくれてありがとう」
僕はやっと消化不良を解消できて、そのうえ可愛い女の子と会話ができて、一瞬で満たされた気になった。
爽やかに見えるように小さく笑ってその場を後にする。
明日は二度と来ない、か‥。
まぁよくある怪談のうちのひとつだな。
‥むしろ、そんな話を信じる人が結構いるのが驚きだ。だってそれが本当なら、一体誰がその話を世に広めたんだよ。
僕はこの日、ベッドに横になりながら【てれてりててれ】のことを思い出していた。
スッキリできてよかった‥。
そうして僕は目を瞑り、今日を終えるために眠りについた。
ーーーアラームを止めてカーテンを開ける。
今日は天気がいいらしい。朝日を浴びると途端に眠気が覚める。
さて、今日の朝ごはんは何を食べようか。昨日は目玉焼きを食べたから‥今日は卵かけご飯にしよう。
ーーこんな風に僕の1日は幕を開けるんだ。
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最後まで読むと鳥肌が立ちますね((((;゚Д゚))))
これはもしかして、主人公が永遠にループする呪いにかかったんですか!?
クトゥルー系にこんな鳴き声の生き物がいたような気がするのですが思い出したら、いけないやつかな。
短いのに怖い、不思議なお話ありがとうございました!
ありがとうございます!ご名答です!
しかし本人は気付いていないうえ、もしかしたらもうその1日が何度目かの朝だったのかもしれないという‥w
クトゥルー、知らなかったので今調べました!ニアピンでした!同じじゃなくてよかったです!!😂w
こちらこそお読みいただきありがとうございます😊