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二章 宝物捜索 編

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三人で、なのかは分からないが獣達で話していれば急に光始めた足元に僅かに驚き
気付いた時には見覚えのある庭だった 

『 なに? 』

「 ルーナ!攻撃! 」
 
『 へっ?はっ?あ、おう!!えっ!? 』

聖獣召喚されたのは分かるが、何で攻撃しなきゃいけないのか分からず振り返りシエルを見た後に、言われた通り人の姿のまま腰に差した剣に触れれば、同じく目の前には気だるそうに立つ、ソレイユの姿があった

嘘だろ、こいつらどんな遊びをしようとしてんだ!!

「 ソレイユ!オレ達も攻撃!! 」 

「 ほぅ?良いぜ? 」

『 良くねぇよ!! 』

テールは指をさして来て、何やら気付いたらしいソレイユ
その少年の表情とは似合わないほどにどす黒い笑顔を向けてきた
いやめっちゃ似合うって思ったけど、認めてしまったら俺の敗けだな!
否定するように告げた俺に、彼は腰に差していた剣を抜いた
神の庭でも普段から手合わせしてる時に使ってる剣だが、今は体格に合わせて多少小さくなってるように見える
元々長さがある剣、グレートソード
少年の姿になった状態で持っても大きいと分かる程に刃は鋭く光り
尚更、怖いんだけど……
それに比べて俺のはロングソード、薄くて軽い為に簡単に跳ね返される

「 " 主 "の御要望だ……いくぞ 」

『 っ!!ずりぃ!! 』

態と" 主 "と言ったソレイユに、俺がそれを言われたら手抜きが出来ないと知ってて言ったな!

剣を抜くと同時に一気に距離を縮めてきた彼に、反射的に自らの剣を抜けば、金色の刃と銀色の刃は重なり合い音が響く

「 いいぞ!!ルーナ、ファイト!! 」

「 ソレイユ!そのまま頑張って!! 」

彼等の身体には多少汚れがあるのが見えれば、俺達を呼ぶ前に簡単な魔法でもぶつけ合った喧嘩をしたのだろうか
その結果、聖獣召喚をして喧嘩の決着でも付けようと考えたか……
子供らしい考えに笑みは溢れ、今は体格が同じな為に剣を弾けば彼は後ろへと下がり感心した声を漏らす

「 ほぅ?少しは" 重く "なったな 」

『 そりゃ、伊達に近衛にいた主の聖獣じゃねぇよ 』

自らの体勢を整えて次は此方から向かい、接近戦へと試みる
テール達の様子からして魔法をぶつけ合うのはまだっぽいから、今は剣で良いのだろ
それを知るようにソレイユも魔法を使う様子は無いように、片手で掴んだまま俺の刃を防ぎ
跳ね返しては斬りかかって来る

カンッ!キンッ!!と鳴り響く、刃の重なり合う音に、次第と城に仕える魔銃兵やら国王の姿さえ、視線の端に見える

「 あはははっ。これは聖獣同士の手合わせか?いい動きをするじゃないか! 」

相変わらずの大声で笑う国王、オースティンの声を聞いてか、兄弟の気合いは入り流れ込む、魔力に気付かないわけじゃない

ソレイユもまた口角を上げたまま突っ込んで来るから、刃を片手で抑え防戦し後ろへと下がりながら、時折脚を引っかける様に蹴れば、彼は離れ体勢を整える

「 多少は強くなったようだな? 」

『 はっ、多少はな! 』

「( 速度が上がったか……いい動きをするようになったじゃねぇか )」

風の抵抗を感じないような感覚がするために、動きやすく呼吸も乱れはしない
地を蹴り、空中にジャンプし、回転しながら剣を遠心力を任せぶつければ
彼は受け止めるように剣を重ねた

一瞬、御互いに止まったような感覚と共に地面へと着地する前に剣を蹴り
後ろへと宙返りする俺は、向かってくる剣に気付く

『( あぶねっ!! )』

地面へと降りてないのに向けられた矛先を避け、着地すれば頬に感じる痛みに、切れたのだと分かれば軽く触れると同時に傷を回復させ剣の持ち方を変える

「 反射神経も上がったな、嬉しいもんだ 」

重そうな剣にも関わらず軽く振り、太股辺りに手を下げ構えた彼に合わせるよう、先に走り出し振り上げる

『 はっ、色々教えられたんでな! 』 

「 良いことじゃねぇか 』

楽しそうに笑うソレイユを見てると、よっぽど俺が手合わせが出来る相手になれるほど成長したのが嬉しいのだろ、彼の表情を見ていれば俺も嬉しくなる 

『 はぁぁっ!! 』

「 っ! 」

幾度となく重なった刃は火花と金属音を鳴らし、辺りに響かせ繰り返せば
背後から聞こえてくる声に、一旦互いに距離を置き離れれば兄弟は告げた

「「 武装!! 」」

『 おう! 』

「 はっ! 」

流石、聖獣召喚を調べただけある 
よく分かってるじゃないかと剣を振り横へと向けた俺は冷気を漂わせ、白に青い柄の入るマントを揺らせば
ソレイユもまた地面に矛先を当て、軍服に付いたマントを靡かせる
 
『 氷鎧ひょうがい 』

「 地鎧じがい 」

俺は初めて、ソレイユの武装を見た

地属性の武装をした彼は、軍服の上からまるで黄金の鎧を纏うように近衛の様な騎士の鎧へと変わった

美しく格好いい鎧と共に、頭に触れ顔と頭を保護する為のバイザーを着けた姿はどんな攻撃もびくともしないような強度が有りそうなのは見て分かる

胸元にあるブレストプレートに描かれた巨狼フェンリルの刺青のような黒い柄

それが両肩にもあり、彼の腰にある布は黒く靡き
着けていた枷と鎖は、装飾品のように鎧の上から付いている

『( いやいや、俺の軽装鎧に比べたら強度が!! )』

なにこの、如何にも強そうな鎧の人!!
みたいな雰囲気に周りの者も唖然としてるじゃないか!

いや、強いの知ってるけどな!!
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