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二章 宝物捜索 編
2話 勇者視点は終わってたらしい
しおりを挟む「 ルーナとソレイユ。仲いいなー! 」
「 オレ達みたいなっ! 」
兄弟の部屋に戻ったのは明け方の事
その辺の小川で身体を綺麗にしてベッドのある部屋に戻ってきた俺達は、カーペットの上で寝てたのだが、聖獣より早くに目を覚ました二人は、笑顔を向けてきた
愛玩動物が仲良くしてるような、そんは微笑ましそうに眺めるが、俺は起きてから気付いた
『 っ~~~、ソレイユ!! 』
「 うるせぇ…… 」
獣では有るものの、ソレイユは身体を抱えるように抱き締めて俺の頭へと顔を擦り当てて寝てたんだと
神の庭 に居る時の普段ならいいが、今は主の前
建前上、少しかっこ良くいたい俺には恥ずかしくて仕方無かった
「 チッ……寝起き早々、咬みやがって…… 」
『 ソレイユがあんなにべったりくっついてるからだろ 』
朝食を食べに、長テーブルへと座るテールとシエルは朝から豪華な物を食い
彼等の両親である国王と王妃もまたそこにいる
ご飯の時間は一緒のようで、もう羨ましがる必要がない俺は微笑ましく思う
だが、長テーブルから少し離れた場所にいるソレイユは不機嫌そうだ
その狼の鼻先はまだ赤くなっていて、俺が怒って噛み付いた歯形が残っている
仕方ない、恥ずかしくて咄嗟に咬んでしまったんだと、反省の色は無いが
内心口輪をした方がいいんじゃ無いかって思うほどに、手が早いと言うか、咬み癖は健在で俺自身も困ってる
「 フッ……パートナーって発言してんだからいいだろ、目の前で交尾する訳じゃねぇんだ 」
『 そんな事したら、子供の教育的に良くない。いいか、俺達は聖獣なんだぞ 』
何故か、先生のように語り始める俺は立ち上がり背筋をピンっと伸ばし、歩き方さえかっこ良く気取った狼のようにソレイユの前を歩いて見せれば
彼のどうでいい、とばかりの視線は此方へと向け
『 主の為に戦い、そして主を見守るための清く、美しい…… 』
「 アンアン喘ぎまくってる奴がなにいってやがる!! 」
『 キャンッ!! 』
瞬時に動いたソレイユに反応が遅れ、尾を曲げ身を下げた時には既に彼に咬まれ
獣らしい悲鳴を上げれば、テールとシエルの視線が此方に向いた
「 ソレイユ、なにしてるの!? 」
「 ルーナを咬んだらダメだよ! 」
うなじへと噛み付き、背中に被さってマウンティングになってるソレイユを二人は止めるも
彼は、人間には聞こえない声で告げる
「 主、主、うるせぇよ。御前は俺のだろ 」
『 !!っ……馬鹿、離せ! 』
身体を捻らせ、首へと噛み付こうと動けば口を離し避けてはまた被さって牙を向けて来るソレイユと僅かな攻防戦を繰り広げていれば、国王であるオースティン・スペンサーは
相変わらず、大きな声で笑った
「 あはははっ。聖獣とはまるで銀狼のようだな!大きな犬を飼ったようだ 」
「 パパ、止めなくて良いのか? 」
「 噛み合ってるよ…… 」
「 あれはじゃれてるだけだ、放置してて良い 」
いや、御前には飼われてねぇよと怒りたいところだが
ソレイユが楽しくなったのか、何度も噛み付こうとするのを両手で防いだり歯を噛み合わせて音を鳴らす程度の威嚇をしてから、下からの退き逃げる
「 あ、ルーナが逃げた 」
「 ソレイユがまた追いかけてる 」
「 どうやらあの小さい方が負けたようだなぁ 」
食事の間では走ったらいけないんだぞ!!なんてソレイユに告げるが、本人の尻尾は上がり楽しそうに口角を上げて
まるで獣が兎を追い掛けるみたいに目をキラッキラッしてるから逃げるしかない
『( 負けなんて認めないからな!! )』
「( ほぅ?良い度胸だ )」
『 ギャッ!! 』
体格差と力に負け、手加減とは言えど何度も咬まれれば痛いもので
少しだけ涙目になった俺は、きっと彼奴の寝起きより不機嫌だと思う
「 そうふてくするな、可愛いなぁ 」
『 頭の中、御花畑過ぎるだろ!脳外科をオススメする 』
「 ククッ……そう言う態度また、そそられる 」
問答無用で尻を狙われる俺は、出来るだけそれを回避することを考えた
獣の姿では勝ち目がない為に、こうなったら逃げやすい人型を得ることにする
『 よし、此でマウンティングは防がれた 』
その気が無い時に、背中を狙われるのが嫌なのは獣の本質だからこそ
マウンティングになり辛い姿で居る事にする
彼の目を盗み、逃げ切った後に身体へと冷気を纏い一瞬で人型へと変わる
若いし小さいけど、流石に人型じゃ簡単には人前で手出しは出来ないだろうと思い
逃げてくるついでに廊下を掛け走った俺は、ふっと左右を見て思う
『 あれ?はぐれた?まっ、魔力で分かるからいっか! 』
広い城、少し曲がる方を間違えれば同じ内装が何処までも続く
はぐれたにしろ、魔力感知で主であるシエルの場所は分かるし必要とあれば聖獣召喚で瞬間移動も出来る
少しだけ、城を見て回ろうと好奇心に負け尾を揺らし歩いていく
この城の美しさはずっと目に止めていたいと思うほど、真っ白な柱やら壁と由夏のモノトーンが合い、一つの芸術だと思う
何処かの博物館にでも入ったと思うほどに、瓶やら飾られた鎧などは興味をそそられる
こう言う理系っぽいのは根本的に好きだからだ
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