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一章 聖獣への道のり編
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しおりを挟む耳に届いた声に、反射的に動いた俺と同じく、移動したバトラーによって
姿を消しフリーレンの中から飛び出し噛み付こうとした時には、彼は口輪を外してくれたのだが
小鳥は嘲笑ったかのように逃げていった
その小さな翼を羽ばたかせ、青空へと消えた姿に苛立つ
追い掛けても仕方無いと告げた言葉に従い止めたのだが、あの声はまさにファルクを殺した錬金術師の声だ
こんなところまで何故知ってるのか、それはフリーレンでも分からないらしく黙ったまま椅子へと座り直し、考え込んだ
その日、彼が口を開くことはなくずっと考えた後に庭に行き片手に杖を持ち
別の結界で目隠しをするように隠し、家の周りには濃い霧が現れた
外に出るな、とばかりの霧を見てはフリーレンが警戒してるのが分かる
寝る暇を惜しんで本を読む姿を、部屋の外から覗き
身を隠しては、聖獣でありながら俺に与えられてる部屋へ行く
此所は月の出た夜に来る部屋であり、ベットに横になり窓から見える月明かりへと視線を向ける
『 平和な時間が割れていくような音が聞こえる…… 』
ガラスにヒビが入るような音が、何処からか聞こえ
其が徐々に広がっていき少し触れれば粉々になると頃まで来てる気がした
不安だと思う俺に、バトラーはベットに腰を降ろした姿のまま現れ、告げた
「 どんな結末が待っていようと、私は此所で御二人を御待ちしてますよ 」
『 それは帰って来いってことな 』
「 えぇ、必ず帰ってきてください 」
バトラーはこんなに強い意思を向けるような奴だっただろうか
不思議に思うことに自然と笑みは溢れ、上半身を起き上がらせ彼へと視線をやる
『 分かった約束する。ほら、指出して 』
「 ん?こうですか? 」
小指を向けた俺に、傾げながらもバトラーは同じ様に小指を向け
互いの小指を重ねては日本でよくあるおまじないを呟く
『 " 必ず帰ってくる "と約束する 』
「 えぇ、そうしてください 」
『 指切りげんまん嘘ついたら……。俺は顔向け出来なくなるな。守るよ、御前の主も、俺の主も 』
「 期待していますよ、ナイト 」
絡めた小指をゆっくりとほどき、その手を頬に触れるバトラーに片目を閉じそっと頬を擦り合わせれば
彼は笑みを向け、ルビー色の瞳を向けてきた
『 綺麗な目と褒めてやる…… 』
「 貴方の目も海のようで美しいですよ。何処まで深く澄んだ海のよう…… 」
頬に触れていた片手は、後頭部にある口輪のベルトへと触り
指が髪とベルトの隙間に入れば何を思ったのか手を離した
「 ……すみません、今日はもう遅いので寝てください 」
何故急に謝ったのかは分からないが、何となく想像は付くために下手な言葉は言わなかった
『 そうする、おやすみ 』
「 えぇ、おやすみなさい 」
姿を消したバトラーの居た方を見詰め、もう一度月を見上げてからベットにへと身を沈める
シロはどうしているだろうか、そんな事を考えては腹下へと方手を置き目を閉じ眠りに付く
「 我は呼ばれし魔法使い。導け、夜会へと連れし獣。その姿を現せ 」
魔女の集会は、直ぐに訪れた
未知の相手に対して作戦を練る暇も無く、教えてもらった魔法が全て完璧では無いまま不安を抱えて集会が始まる日は、満月が昇る夜
その為に人型になった俺は、フリーレンの傍に付き添う事にした
集会までは馬車が出ると告げた彼の言葉通りに、魔法を唱えれば何処からともなく走ってきた、大きな二本の尻尾を生やした黒猫の背中には馬具のようものが乗っていて
猫は此方を見て背中を向ける
「 では、バトラー。お留守番を頼むよ 」
『 行ってきます! 』
「( お気をつけて行ってらっしゃいませ )」
軽く手を振ったバトラーを見てから、フリーレンに続き黒猫の背中へと乗り
彼は馬を走らせるように縄を両手で持ち動かせば、猫は空へと向かって走り始めた
『 わっ、すげ……夜の町だ 』
「 幾つもの町を通り過ぎ、森を抜け、山を越えた先にある。集会所はいつも違うからこの魔物だけが知っておる 」
『 この猫は、魔物? 』
「 あぁ、魔女に仕える僕さ 」
黒猫にしては虎よりも大きな姿
そして走る速度は風を切るように早く、目の前に現れた魔方陣の中へと入っていく
下を覗けば町は見え、黒い姿の猫はこの闇によく溶け込んでいた
きっと見えはしないと分かるも視線は気になるもの、見ていた下から顔を上げれば猫は雲の中へと入っていった
「 辿り着いた、此所が今回の魔女集会が行われる森だな 」
『 えっ……わっ!! 』
まるでハロウィンの様に、雲を抜けた先にあった森にはオレンジ色の光が幾つも照らされ
他の方面からも黒猫が魔女を乗せてやって来てるのが見えた
降ろす場所はまちまちで、俺達は端の方から行く様子
猫から降りれば、その猫はまた何処かへと立ち去り姿を消す
『 んー!なんか緊張する 」
「 堂々とすればよい。ナイトは俺の聖獣なのだから 」
今日は目元を隠すように深くフードを被った、フリーレンは口元に笑みを浮かべた
相変わらず口輪は付いてるが気にならなくなってる俺は彼の言葉に頷き、その後ろから着いていく
魔女の集会、それは自分の持つ" 使い魔 "を自慢する場所でもあった
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