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一章 聖獣への道のり編
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~ シロ 視点 ~
回復後に暇潰しに眠っていれば、感じる愛しい番の魔力に目を覚まし
出迎えてやろうと起き上がり、洞窟の外へと行けばその光景に固まった
満月が現れた月の光に照らされた、愛しい番は
変わらない綺麗な顔立ちと銀髪の髪を揺らし人の姿を得たまま、その片手には幼い少年の手を取り戻ってきたのだ
「 子供……産んだのか? 」
『 ちげぇよ!! 』
考えても見ろ、メスが急に子供を連れて帰ったオスの反応を
自分の子供かと思うだろ、それにメスと似た銀髪をして黒いメッシュが入ってるとは言えど幼い面影は似てる
いや、似てるように見えるだけかも知れねぇが……
即否定されたなら次に考えるのは誰の子かってことだ
「 浮気か? 」
『 冗談でもぶっ殺す 』
「 ……その餓鬼、誰の子だ 」
誰の子でもない、と告げたコウガは俺の許可を得る前に洞窟の中へと少年を連れて入ってきた
文句を言う前に、部屋の中に上がらせソファーに座るなり少年を膝の上に乗せた彼に俺の思考はついていけてない
寝起きってのもあるがいったい何処で拾ってきた餓鬼なのかと彼等の前に移動ししゃがみこめば少年を見る
ぎゅっと腹にしがみつく様子と、頭にある丸い耳、そして太い尾を見れば狼には見えない
「 俺は狼と犬以外の子供は好かないんだが…… 」
『 どんな拘りだ、この子は聖獣だ。やっとこっちに帰ってこれたんだ 』
「 帰って?あぁ、囚われてた系の聖獣か 」
神の庭にいるなら聖獣なのは間違いないが
獣の成り上がりには見えない、なら産まれながらの聖獣だからこそ小さくとも人型になれるのか
しゃがんでいた俺は立ち上がり、睨むように目線を下げれば、少年は怯え耳を下げてはコウガの胸元に顔を埋めた
「 ぱぱ、このひと……こわい 」
「 ぱぱ?御前って言う奴は、俺がいながら人間界でメスでも作ったのか!!? 」
『 なわけあるか!! 』
容赦なく下顎を殴られた俺は、床へと倒れた
力も強くなって、と思うが聖獣が他の者をパパと呼ぶなんて滅多にない
話がついていけないと床に倒れたまま考えていた俺に、コウガは溜め息を吐き、そして人間界であったことを話してきた
「 ほぅ、キマイラにするために錬金術師は召喚師と聖獣を合成したのか…… 」
拾った子猫が、実はその錬金術師が落としたキマイラだったと言う話を聞いたが
恐らく、その錬金術師は敢えてコイツがいう商人の手に渡したのでは無いかと思う
国が栄えて、そして他にも聖獣を持つ召喚師の存在を知るならキマイラを造るために捕まえようとでもしたのだろ
それに気付いてないのは、コウガと彼等の元にいた近衛隊達だろうが
まぁ、今はもう関係のない推測なのだがな
『 俺は主にとどめを刺した……っ、守れなかった 』
「 ……泣くな。御前は良く頑張っただろ 」
王とリリアの争いの後からこっちへと戻ってきた俺は知らないが、ファルクとロルフが頑張ってるのは推測が付く
ホロホロと涙を流し、泣いてるコウガの頬に触れ目元の涙を掬うように舐めれば、彼は片目を閉じた
『 ん……。次会ったら、ちゃんと守る…… 』
「 あぁ、その意気で十分だ。俺なんて途中からリリアを殺す気でいたからな 」
『 ……シロの、主を殺してごめん 』
「 いや、あの時はあれが正解だから構わない 」
そう落ち込むなと彼の横に座り、頭に触れ肩へと引き寄せるように抱けば
すり寄るコウガは軽く頷き、その髪へと鼻先を当てていた俺は、視線に気付き
目線を下げればじっと見ている少年の姿があった
「 ぱぱ、おれにも、ちゅーして 」
『 んー?いいぜ、沢山チューしてやろ 』
キャッキャッと喜ぶ少年に俺は、この愛の巣に現れた邪魔な餓鬼だと言う認識はついた
この馬鹿は気付いてないだろうが、この少年……
「( 御前よりランク高いぞ。人型になれてるのだからな! )」
『 可愛い、ルーク 』
「 みゃぅ~ 」
「( あ、この餓鬼……確信犯だ )」
猫なで声を出しては、俺を見てニヤリと笑ったように見える本名は知らんが、ルークと渾名が付いてる聖獣に俺のイチャイチャ時間を邪魔され始め、腹が立つ
「 コウガ 」
『 んー? 』
それからは……ルークの目を盗みお風呂入ろうと擦り寄れば、あの巨体は俺達の間へと割り入ってくる
「 ぱぱ!おれも、おふろはいる! 」
『 おっ、いいぞ?なら川に行くか~! 』
「 チッ…… 」
それに、寝てるときに襲おうとしてもあの巨体はコウガの身体を抱き締めてるんだ
「( 隣は俺の居場所なんだが…… )」
一緒に寝ることも出来ない、風呂も入れない、
それに愛の営みすら出来ないことに俺の苛立ちはピークになる
この餓鬼、一人で生きていけるだろうが!!
「 表に出ろ、クソガキ!! 」
『 ちょっ、急にキレてなんだよ!? 』
「 なになにー?あそぶのー? 」
洞窟の外へと出したところで、俺は本来の姿へと変われば、クソガキもまた笑ってから聖獣の姿を得る
「『 えっ…… 』」
それは、四体聖獣とは別にある
ライフが人間界に贈る、ギフトみたいなもの
つまり、人間界では" 神獣 "と呼ばれる姿をしていた
『 白虎!? 』
「 あそぼ、ママ!! 」
「 俺がママなのは認めんぞ!! 」
神々しい外見は、恐れられる俺とはまた違う迫力があった
この餓鬼には、見た目問わず勝てそうに無いんだが
俺のイチャイチャな時間は諦めろって言うのか?
認めんぞ!!
回復後に暇潰しに眠っていれば、感じる愛しい番の魔力に目を覚まし
出迎えてやろうと起き上がり、洞窟の外へと行けばその光景に固まった
満月が現れた月の光に照らされた、愛しい番は
変わらない綺麗な顔立ちと銀髪の髪を揺らし人の姿を得たまま、その片手には幼い少年の手を取り戻ってきたのだ
「 子供……産んだのか? 」
『 ちげぇよ!! 』
考えても見ろ、メスが急に子供を連れて帰ったオスの反応を
自分の子供かと思うだろ、それにメスと似た銀髪をして黒いメッシュが入ってるとは言えど幼い面影は似てる
いや、似てるように見えるだけかも知れねぇが……
即否定されたなら次に考えるのは誰の子かってことだ
「 浮気か? 」
『 冗談でもぶっ殺す 』
「 ……その餓鬼、誰の子だ 」
誰の子でもない、と告げたコウガは俺の許可を得る前に洞窟の中へと少年を連れて入ってきた
文句を言う前に、部屋の中に上がらせソファーに座るなり少年を膝の上に乗せた彼に俺の思考はついていけてない
寝起きってのもあるがいったい何処で拾ってきた餓鬼なのかと彼等の前に移動ししゃがみこめば少年を見る
ぎゅっと腹にしがみつく様子と、頭にある丸い耳、そして太い尾を見れば狼には見えない
「 俺は狼と犬以外の子供は好かないんだが…… 」
『 どんな拘りだ、この子は聖獣だ。やっとこっちに帰ってこれたんだ 』
「 帰って?あぁ、囚われてた系の聖獣か 」
神の庭にいるなら聖獣なのは間違いないが
獣の成り上がりには見えない、なら産まれながらの聖獣だからこそ小さくとも人型になれるのか
しゃがんでいた俺は立ち上がり、睨むように目線を下げれば、少年は怯え耳を下げてはコウガの胸元に顔を埋めた
「 ぱぱ、このひと……こわい 」
「 ぱぱ?御前って言う奴は、俺がいながら人間界でメスでも作ったのか!!? 」
『 なわけあるか!! 』
容赦なく下顎を殴られた俺は、床へと倒れた
力も強くなって、と思うが聖獣が他の者をパパと呼ぶなんて滅多にない
話がついていけないと床に倒れたまま考えていた俺に、コウガは溜め息を吐き、そして人間界であったことを話してきた
「 ほぅ、キマイラにするために錬金術師は召喚師と聖獣を合成したのか…… 」
拾った子猫が、実はその錬金術師が落としたキマイラだったと言う話を聞いたが
恐らく、その錬金術師は敢えてコイツがいう商人の手に渡したのでは無いかと思う
国が栄えて、そして他にも聖獣を持つ召喚師の存在を知るならキマイラを造るために捕まえようとでもしたのだろ
それに気付いてないのは、コウガと彼等の元にいた近衛隊達だろうが
まぁ、今はもう関係のない推測なのだがな
『 俺は主にとどめを刺した……っ、守れなかった 』
「 ……泣くな。御前は良く頑張っただろ 」
王とリリアの争いの後からこっちへと戻ってきた俺は知らないが、ファルクとロルフが頑張ってるのは推測が付く
ホロホロと涙を流し、泣いてるコウガの頬に触れ目元の涙を掬うように舐めれば、彼は片目を閉じた
『 ん……。次会ったら、ちゃんと守る…… 』
「 あぁ、その意気で十分だ。俺なんて途中からリリアを殺す気でいたからな 」
『 ……シロの、主を殺してごめん 』
「 いや、あの時はあれが正解だから構わない 」
そう落ち込むなと彼の横に座り、頭に触れ肩へと引き寄せるように抱けば
すり寄るコウガは軽く頷き、その髪へと鼻先を当てていた俺は、視線に気付き
目線を下げればじっと見ている少年の姿があった
「 ぱぱ、おれにも、ちゅーして 」
『 んー?いいぜ、沢山チューしてやろ 』
キャッキャッと喜ぶ少年に俺は、この愛の巣に現れた邪魔な餓鬼だと言う認識はついた
この馬鹿は気付いてないだろうが、この少年……
「( 御前よりランク高いぞ。人型になれてるのだからな! )」
『 可愛い、ルーク 』
「 みゃぅ~ 」
「( あ、この餓鬼……確信犯だ )」
猫なで声を出しては、俺を見てニヤリと笑ったように見える本名は知らんが、ルークと渾名が付いてる聖獣に俺のイチャイチャ時間を邪魔され始め、腹が立つ
「 コウガ 」
『 んー? 』
それからは……ルークの目を盗みお風呂入ろうと擦り寄れば、あの巨体は俺達の間へと割り入ってくる
「 ぱぱ!おれも、おふろはいる! 」
『 おっ、いいぞ?なら川に行くか~! 』
「 チッ…… 」
それに、寝てるときに襲おうとしてもあの巨体はコウガの身体を抱き締めてるんだ
「( 隣は俺の居場所なんだが…… )」
一緒に寝ることも出来ない、風呂も入れない、
それに愛の営みすら出来ないことに俺の苛立ちはピークになる
この餓鬼、一人で生きていけるだろうが!!
「 表に出ろ、クソガキ!! 」
『 ちょっ、急にキレてなんだよ!? 』
「 なになにー?あそぶのー? 」
洞窟の外へと出したところで、俺は本来の姿へと変われば、クソガキもまた笑ってから聖獣の姿を得る
「『 えっ…… 』」
それは、四体聖獣とは別にある
ライフが人間界に贈る、ギフトみたいなもの
つまり、人間界では" 神獣 "と呼ばれる姿をしていた
『 白虎!? 』
「 あそぼ、ママ!! 」
「 俺がママなのは認めんぞ!! 」
神々しい外見は、恐れられる俺とはまた違う迫力があった
この餓鬼には、見た目問わず勝てそうに無いんだが
俺のイチャイチャな時間は諦めろって言うのか?
認めんぞ!!
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