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八話 閉ざされた真実

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鮮やかな夕暮れが沈み、静寂な夜が訪れる
先程の迄の騒がし甲板は静まり返り 
只、向こうの出方を伺う

「 長期戦になりそうだ...... 」

ポツリと呟いたスキンヘッドのジャックは夜空に浮かぶ一番星へと視線を上げた後
靴を鳴らし甲板を歩いていく


元キャプテン・スカージが過ごす医務室
デリットはウィンドと共に彼の元に訪れていた
海賊としてはまだ経験の浅いデリットにとって頼りになるのは年長者であり経験を積み重ねた彼の知識が頼りになることはある

「 5㎞先に渦潮があるそれ以外の航路はあるか? 」

「 そうじゃな、経験上....普通に航海してもこの船なら問題なかろう 」

薬を作りながら告げたオウガは手を止めればデリットは壁に凭れ一つ息を吐く

「 この船なら、か....。向こうには恐らく海軍中将が乗っている 」

デリットの言葉に其々に内心驚けばオウガは目線を上げる 

「 それで、聞きたいことは航路じゃないじゃろ? 」

「 嗚呼... 」

やっぱり感がいいと思ったデリットはゆっくりとウィンドとオウガを見た後に口を開く

「 人魚である、シレーヌに誰の差し金で此処に来たか....聞いた。そしたら、彼奴は.... 」


デリットは少し前の記憶を思い出し泣き始めたシレーヌの背中を撫でた後に彼は泣き止めばゆっくりと口を開いた

「 僕は....貴方が昔、遊んでいた人魚によく似てるからと...貴方とそっくりな弟さんに言われて此処に来ました.... 」

「 どういう事だ? 」

何一つ理解できないと眉を寄せたデリットに彼は息を吐きまずは何故海軍中将の元に来たのかを話をした


海軍中将であるユスティーツは一つの命令を下した

「 そうだねぇ、10歳前後の男の人魚を探して生け捕りで此処に連れてきて。明日までに 」

「「 !!! 」」

全クルーはざわざわと顔を見渡した
公爵の島の一件から直ぐに集められ告げられた命令は余りにも無茶苦茶なもの
人魚は大半女だと言うことは誰もが知っている
寧ろ男を見たことが無いものも多い為にどういう事だと顔を見合わせればユスティーツ中将はパンッと一つ音を立て手を合わせる
その音にざわめいていた彼等は視線を彼へと向ければ笑みを溢し直ぐに冷たい視線を向ける

「 これは、フォーサイス王家からの命令だから。お分かり?もし命令が聞けなかったら君達....民衆の前で首を落とすからね 」

" フォーサイス "の名を使ったユスティーツに誰もが黙り青ざめた
なんせ、彼が次期 一国の王 だと言うことは海軍の中で知らない者はいない
その彼の言葉ならどんな無茶苦茶な命令でも聞く必要がある
フォーサイスの戦力は海軍を動かすことが可能だ

其々のクルーは血眼になって探し、次の日の夜には闇オークションで高額で売られていた男の人魚を見つけ買い取ったのだ

そして、ユスティーツの前に届けられた

此処に来るまでに逆らえばという、恐怖を与えられた10歳前後の男の人魚は怯えながら檻の前に立つユスティーツを見上げながら彼はにっこりと笑った

「 海に帰りたかったら、俺の言うことを聞いてね。大丈夫、ちょっと容姿を変えるだけだから.... 」


シレーヌは肩を震わせ言葉を繋ぐ

「 海に帰りたかったら...俺の言うとおりにやれって。貴方が僕を気に入って思い出したらいいって、その為なら.... 」

彼はポロポロと綺麗な涙を泣かせばデリットはその髪に触れ僅かに色が抜けたように手に黒い墨が付くのが分かりそっと肩を抱き抱き締めた

「 教えてくれてありがとうな、御前は必ず安全な海域の海に返してやる 」

「 ん.....それと、危険.... 」

「 なにがだ? 」

「 作戦が失敗だと察したときには、海軍船が攻めて貴方を捕らえるって.... 」

顔を上げたシレーヌに彼は口元に笑みを浮かべる

「 俺の弟が直々に会いに来るのだろ?なら、御前を降ろした後に会ってやるさ.... 」

「 気を付けて...ください...あの人間は、恐ろしい人だった 」

優しくされた御礼にと告げた彼にデリットは一つ息を吐き身体を離す

「 問題ない、争うことになれば其までだ。俺は御前と此処のクルーを守るために" 海賊 "として会うだけだ 」

「 争いは、起こるのですね... 」

争いを好まない人魚にとって寂しい事だと彼は眉を下げ呟けばデリットは仕方無いと只答えた 
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