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しおりを挟む「 帰れ 」
12月に入った休みの日に、シルキーの元へとやって来た
けれど玄関すら開けて貰える事はなく、インターホンから言われたのは彼女の父親の言葉だ
「 そこをなんとか....シルキーに謝りたくて 」
「 御前の顔なんて見たくない。帰れ 」
開く事のない玄関
ぶちっと切られたインターホンに俺は立ち尽くして動けなかった
やっぱり凄く怒ってるのは分かっていて
俺もまた、そうだと知ってるからこそ深くは言えなかった
それでも休みの日だけは止めて
毎日、毎日、ストーカー並みに学校が終わってからオレンジマフィンとクッキーを焼いてきていた
どんな言葉も“ 帰れ “の一言に
俺は高校生活すらどうやって過ごしてるのか分からないぐらい落ち込んでいた
「 毎日、マフィンとクッキー食べれるのは嬉しいけど。そろそろ諦めたら? 」
「 無理....シルキーがまだ日本にいるなら、通う.... 」
冷たくなった身体を丸めて、ソファーに倒れてる俺に、敦士はマフィンを食べながら答えた
「 ストーカー並みの執着心だね....俺もちょーと御得意様がキャンセルして、その結果、その人関連の友人とか去ったけど....平気だよ? 」
「 俺は平気じゃない....シルキーのいない教室が寂しすぎる.... 」
電話はとらないし、LINEすら即読が付かない
ブロックされてるのだろうかと思うと尚更、心が痛かった
「 俺は....クラスメートの距離感を近付けてくれたシルキーが大事で必要で、ゴホッ.... 」
「 しょーたさ、寒くなったこの時期にずっと数時間突っ立てたら風邪引くよ?諦めて授業に集中したらいいじゃん 」
「 ....ゴホッ、ゴホッ。嫌だ.... 」
「 その無駄な頑固さ、告白にいかせばいいのに 」
「 それは無理....ゴホッ 」
「 はぁ、頑固だねぇ.... 」
シルキー、学校に来ないともっと俺と一緒にいれる時間が減るよ
シルキー、今日のパンツは何色?だなんて聞かないの?
君が聞いてくれないと、折角買ったパンツも意味がなくなる
「 シルキー.... 」
「 誰か、鬼嶽を起こせ 」
「 先生、シルキーさんを連れ戻す為に朝早く起きてケーキ作ったりしてるみたい。許してあげて 」
「 コイツ、そんな女子力とストーカー気質だったのか 」
「「( それは俺等も思ってた )」」
シルキー....初雪が降り始めたよ
君の肌みたいに白くて綺麗な雪は、夕方頃には一面を白く染めていた
「 ゴホッ.... 」
「 しょーた、顔真っ赤だぜ?熱があるなら今日は行くの止めとけよ? 」
「 行くよ....平気....。今日はホワイトケーキ作っていくんだから.... 」
「( いや、ずっと寝てたやつがなにいってんだか.... )」
甘過ぎるのが苦手な君には少し甘味を控えた生クリーム
スポンジケーキには挟んだ果物をと生クリームを沢山挟んで
周りには君の髪色と同じオレンジをトッピングしよう
「 ゴホッ....マスク着けてるから大丈夫だと、思うけど.... 」
頭はガンガンするし、考えすぎて寝不足だし、ケーキのレシピ本見すぎて色々ぐちゃぐちゃになる
「 しょーた、今日も行くの?止めときなって!お兄ちゃん流石に止めるよ?てか、向こうに怒るよ? 」
「 いいの....行ってくる。晩御飯作ってるから食べてて.... 」
「 晩御飯って....( キッチン散乱してるんだけど.... )」
ねぇ、シルキー....雪遊びしようよ
胸とかお尻とか作って、そしてゆっくり漫画本読んで、一緒に紅茶飲んで暖まろう
「( シルキーの家まで遠いかったけ....身体、重い.... )」
視界すらぼやけて、フラフラして
傘を持ってくれば良かったと思うぐらい
雪が強くなってる気がする
いや、俺の足取りが重いだけ何だと思いながら彼女の家の前についた時には、考えてた事は真っ白になっていた
「 帰れ....っ、おい!! 」
ねぇ、シルキー....俺だって君がいない日常は寂しいんだよ
だからもう、ふてくしてないで
出てきてほしい....
フラれてもいい
君のことが、好きだと伝えたいから....
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