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~ シルキー 視点 ~ 


夏祭りは喧嘩祭りに終わって、余りいい思い出が出来なかった為に
我が家で誕生日のやり直しが行われた

それも夏休みギリギリの30日だ

何故この日になったかと言うと....

「 赤点回避した為にシルキーさんのお菓子を渡すことに許可が降りました! 」 

「「 おめでとう!! 」」

『 本当....死に物狂いで勉強した.... 』 

しょーたはもっと早く予定してたらしいけど、私の赤点回避まで父親が許可を出してはくれなかった
学校にも行って、テスト受けて全ての教科で95点以上出した
だが、しょーたと裕一はほぼ100点だったのは許さん....
私の方が沢山勉強してたのに!!

「 私も骨が折れるかと思いました.... 」

『 センセーありがと。今日はしょーたの手作りだからいっぱい食って元気だしてな 』

「 シルキーが御世話になりました 」

「 ケーキ持ってきたよ!! 」

しょーたと敦士もやって来て、普段此処にいるスタッフや仲のいいモデルも皆で祝ってくれるのは嬉しいものだ

「 シルキーは8月2日、俺が10日だったな.... 」
 
『 お母さんは12月24日だよ 』 

「 そうだったな、誕生日より婚約日を覚えてたから忘れてた 」

クリスマスもそんな祝わないし、そんな事を二人で笑い合ってから敦士さんの言葉でハッピーバースデーの歌を皆が歌い始めた

「「 お誕生日おめでとう!! 」」

『 ありがとっ 』 

しょーたが作った大きなショートケーキ
皆で切り分けて食べては、他にもオードブルの料理を好きなだけ取っていく

今日は普段からダイエットしてるメンバーもがっつり食べるほど、美味しいと思う

「 私からはこれ、黒のレースのパンツ!彼氏に見せてね! 」 

「 俺からはヒョウ柄のパンツ、雌豹になってくれよ! 」

プレゼントなのに、既に中身を教えられて渡してくるメンバーに受け取りながら
彼氏やら夜の営みやら言われることに疑問になる

「 シルキー....その、俺からはこれだ 」

『 ん? 』 

「 救急箱セット。怪我が多そうだから傷薬以外増やしてたら色々増えた 」

しょーたから受け取ったのは彼が選んだ救急箱セット
市販のものから薬局限定に売ってそうなものまで幅広く入ったものでこれは普通に使えると思う

『 ありがとう、嬉しいよ 』

「 どういたしまして 」

「 その救急箱セットにコンドーム入ってる? 」 

「 しょーたはXLっぽいからローション追加な 」

『 は?なんの話だ? 』

「 わーわー!!だから、まだそういう関係じゃないって!! 」

今日のしょーたは自棄に楽しそうだと思って、皆と話をしてる間に私は荷物を一ヶ所に置いてから輝夜の傍に行った

目はしっかり見えてるのに静かな性格でお利口だと思う

『 プレゼントに新しい首輪だ、同じ柄だけどな。似合うぞー輝夜 』

「 クゥー 」

返事をするように静かに鳴いたのを見ればそっと撫でていれば、父親はやって来た

「 シルキー、少しいいか? 」

『 ん? 』

「 これは俺からのプレゼントだ 」

輝夜から離れて、父親と向き合うように立てば彼がくれたのは昔貰ったぬいぐるみによく似たテディベアだった
それも前は茶色だけどこっちは真っ白だ

「 あの子にも友達が必要だと思ってな、寂しくないだろ? 」 

『 うん!ありがとうっ 』
 
全く同じ大きさのそれを抱き締めてすり寄っていれば、父親は私の髪に触れてから優しく身体を抱き締めてきた

『 ん? 』

「 愛してる、シルキー。誕生日おめでとう 」

『 !!ありがとう、お父さん 』

お母さんの誕生日なのか、それともクリスマスと交じるのかは分からないけど

8月2日にまともに祝われたことは少なかった、それは今日初めてその理由を聞く....

「 ずっと、8月2日を祝えなかったのは、リリーの命日だったからだ。でも....御前の産まれた日でも有るのだから、祝わないとな 」

『 お母さんの.... 』

「 そう、御前の産まれた日。それがリリーの死んだ日なんだ 」

夏の雨の日に、交通事故で亡くなったと言う
日付までは覚えてなかった私はお父さんを恨んでたけど、今ならわかる 
祝えないのも....そして敢えて日付をずらしたり変えてりするのもお父さん成りの優しさなんだ.... 

『 お父さん、教えてくれてありがとう 』 

「 俺の方こそ言えなくてごめん。少しずつ前に歩いていくから....御前もいい相手を見付けろよ? 」

『 うん!お父さんみたいな、カッコいい人がいい 』

「「( えっ )」」

私の一言でその場にいた、全員の雰囲気が凍り付いたのは言うまでもない
いや、一人を除いては....

「 そうか!お父さんが好きかー? 」

『 お父さんが一番、大好き! 』

「 将汰!黒髪にしろ!! 」 

「 もう少しスレンダーになれ!! 」

「 なっ!!? 」

将汰は関係ないと思うんだが?
というか、一人娘の好みがお父さんになるのは当たり前だろ?

しょーたは格好いいけど....お父さんの方がいいと思って引っ付いていた 

『 ははっ、変だなー  』

ケラケラと笑って、夏休みは何とか終わった

しょーたと過ごす高校生活もまた始める

私は日本に来てよかったよ

なぁ、お父さんっ
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