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何の漫画本を読んでるのか少し気になるところだけど、先にレモン酢と共に作ったチャーハンと油そばを持っていく

「 御待たせしました、餃子は少々御待ちください 」

『 ん、ありがと 』

横まで行き、皿を置けば彼女が置いた漫画本は男性向けのハーレムのような内容のやつだった

「 その漫画好きなの? 」

『 ん?あぁ、絵柄が可愛かった....続き気になる 』

「 ....敦士が持ってたと思うから見に来る? 」

『 えっ、いいの? 』

ほんの漫画本は口実だけど、それでも彼女は嬉しそうに目を丸くさせたから俺は軽く頷き
丁度、背後で鳴った餃子の焼ける音と共に戻る

「 敦士が結構、漫画集めててさ。有ると思うよ。ほら、食べちゃって 」

『 それは楽しみ。いただきます.... 』

敦士を口実なんて、俺も性格悪くなったな、なんて思いながら彼女の元から離れて使った厨房部分を拭いていたりすれば、店長は在庫の確認を終えて戻ってきた

「 将汰すまねぇな、休み時間過ぎちまったけど、休憩してくれ 」

「 大丈夫です。では、休憩しますね 」

「 おう 」

昼御飯食べ損ねて食べてなかったし、丁度いいとチャーハンと豚骨ラーメンを作ってから店長に前で食べていい許可を貰い
エプロンとバンダナを外し、トレーに乗せたそれをシルキーの前へと持っていく

『 ん? 』

「 休憩時間、昼御飯食べてなかったし....いただきます 」

『 そっか、チャーハン美味しいよ 』

「 そう?よかった.... 」

手を合わせて食べ始める俺に、彼女は相変わらず頬に溜め込んで食べながら漫画本へと視線を向けていた

何故、敢えて此処に座って食べ始めたのか分からないけど学校に居るときに何気無く一緒に食べていた事もあり、それの慣れかもしれない

嫌ではないな、と思い筒食べていれば彼女がテーブルに置いていたスマホにLINE通知が来たのが分かり視線を向ける

『 ....ん?あぁ、美咲みさきちゃんからか.... 』

「 待って 」

『 ん? 』

その待受画面を見て俺は、彼女が返事を返したところで止めた
何事?とばかりに此方を見るシルキーだが、この待受画面はツッコミと言うか聞きたかった

「 これ、俺だよね?なんで.... 」

『 あ....いいでしょ、目の保養? 』

彼女の待受画面は俺が休憩中にパンツの位置を調整して紐辺りを触ってる時の、ほんの一瞬の場面だった

「 っ~~そんなの、保養にならないよ.... 」

なんでこんな尻を突き出したような姿で困ってる顔のを選んで、目の保養なんて思うんだろ
それにお尻側なんて殆ど布がないのに....

『 なるよ、いいお尻してる。食い込んでるパンツが似合いそう 』
 
「 ....あ、そう.... 」

そう、彼女はパンツしか興味無いんだ
知ってるのに何故か、変に顔が熱くなる感覚と心臓の鼓動は速くなる

「 俺が、シルキーを待受画面にしてたら嫌でしょ? 」

『 いや別に?よくされるし....お父さんに? 』

「 疑問系....そう、嫌では無いんだね.... 」

待受画面にしても嫌ではない、じゃ俺が何気無くカメラマンから貰った彼女の顔も写ってる写真を待受画面にしてもいいのだろうか?

そう思っていれば、手は勝手に動いて一番可愛く撮れたのを待受画面にしていた

「 ほら、した。これで御互い様 」

『 そうだな。御互い様だ 』

互いにふざけたような下着姿の待受画面を見せ合って笑ってから、残りのラーメンとチャーハンを食べ終えた

休憩時間が終わるギリギリ迄、適当に話してから
俺の休憩が終わると同時に彼女は会計を済ませる

『 カードで 』

「 此所は使えないの....いいよ、俺が持ってるし払っとく。次はお金持って食べに来てね?休みの日、連絡する 」

『 分かったよ、ありがとー。ごちそうさま 』

連絡待ってる、そんな事を言って軽く手を振り店を出ていった彼女が離れる迄窓側を見た後に、財布から会計の値段分入れていれば店長は声をかけてきた

「 将汰、いつ彼女出来たんだ?それもべっぴんじゃないか 」

「 っ!彼女じゃありません。クラスメートですって 」

「 へぇ? 」

またそうやって人をからかう
俺にとっては怖がらせるのが怖いぐらいの友達なのだから大切にしたいと思う

それは....嘘ではないんだ
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