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しおりを挟む彼女の家に戻ってから、上手く話が繋がらなくて彼女は輝夜と遊んでる間
俺はずっと考えながら料理を作っていた
どうしてこう思うのか、なんて話し掛けたらいいのか、その答えは何も出なくて只美味しい料理を作ろうって方が強くて
考えは、思い付かないまま止まっていた
『 本格的!アメリカ思い出すっ 』
「 ジャックがアメリカ出身だと聞いてね、君も好きかなって 」
『 好き!日本のバーガーってちょっと物足りなかったから、こういうの嬉しい! 』
「 それはよかった、どうぞ 」
料理の話なら出来るのに、他の話をしようとすると上手く言葉に出せない
俺はきっと、何か言って彼女の地雷を踏むのが怖いんだ
折角、仲良くなれそうな友達が出来たのに
それが離れていくのは....
“ しょーたって、本当怖いよな.... “
「 !! 」
『 ん?しょーた....どうした? 』
「 あっ、いや....なんでもないよ 」
ふっと頭の中に過った姿と声に、俺は一瞬
忘れたくても忘れられない事を思い出して身体の血の気が消えていく感覚を感じた
人に嫌われるのが怖いから、人を避けてたのにまた人と接して、その時の事を怖がるなんて....
「( 俺は臆病だ )美味しい? 」
『 うん!凄く 』
「 そっか、よかった 」
君は、本当の....隠してる俺を知ったら怖がるだろうか
無知のまま俺の前で笑って近付いて来る間は、その無知にすがり付いて居よう
『 ふふっ、しょーたがずっと家にいたら毎日美味いもの食えるんじゃないか?それもいいなっ 』
「 俺は家政婦じゃないからね?たまになら作るよ....バイトさせてくれてるから 」
『 そうか?次は、魚料理とかがいいな 』
「 ん、考えとく 」
他の女子やクラスメートとは違った
その態度に俺は救われてるね....
頬に溜め込んでハムスターみたいに食べる様子に癒されるように、何気無く笑いながら二人っきりの晩御飯を終えた
『 帰るのか、居ろよ.... 』
「 帰るよ。兄貴の晩御飯も作らなきゃいけないし、明日は朝から別のバイト入れてるから 」
『 そうか、なら仕方ないな。またな.... 』
「 うん、またね 」
夏休みは小遣い稼ぎと、敦士への負担も減る時期だから頑張る必要有るんだよね
というか....勉強っていつ教えればいいんだろ?
「( 結構、撮影時間も短いしそれが終わった後....夕方迄とかに出来るかな? )」
勉強をどこから教えようか、そんな事を考えながら歩いて家へと帰った
「 しょーた、何か楽しいことでもあった? 」
「 その逆なんだけど、そう見える? 」
「 見える見える、とても嬉しそう 」
敦士には悪いが、炒飯を作って置いとけば彼は帰ってから其を温めて食べていた
皿の片付けをしていた俺に、問い掛けてきた彼の言葉に何気無く傾げれば彼は笑った
「 しょーたの顔がニコニコしてるから。分かりやすいよ 」
「 顔....? 」
「 そう、最近前よりつり目じゃないし楽しそうで俺も嬉しいよ 」
顔、顔か?と頬に触れ濡れた手で触ったことで滴の付いた頬を手首で拭いてから
手をエプロンで拭き、外しては風呂場へと向かう
「 あ、そうだ 」
「 ん?なぁに? 」
「 前に聞いたブラックローズの社長所の娘さん。俺のクラスの転校生だった....また伸びたら切って欲しいって、いってたから。伝えた 」
「 えっ、ちょっ!?クラスメートってマジで!!?しょーた!! 」
聞きたいことが山ほど有りそうだったから、さっさと風呂場へと向かった
背後から俺の名前を告げる敦士に、ふっと笑ってから脱衣場へと行く
「 ......そう言えば、傷、染みるよな.... 」
張ってある湯に入り、手の平が僅かに痛む傷口に彼女は尚更痛むんじゃ無いかと思えば溜め息は漏れる
その場のノリで脚を引っ張ったけど、今思えば馬鹿なことをしたなって....
「 傷痕が残ったらどうしよう....いい薬....渡そうかな.... 」
“ 傷物にしたのは誰だ? “
彼女の父親が言ってた言葉に、本当....その通りだと思って申し訳無くなる
綺麗な肌なのだから、残って欲しくないな
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