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撮影が始まれば、下着姿を撮られることに慣れて無いために緊急で硬くなる

その時にカメラマンから指示がされ、
落ち着いてとか、身体の力を抜いてとか言われるが良く分からない

「 しょーたくん、もう少し腰を捻って直立してみて 」

『 あ~いいなぁ、やっぱりパンツ似合うなぁ 』

「( いやいやいや!!待て待て、なんで御前も俺の股間に一眼レフを向けたんだ!? 」

スマホのカメラなら分かる、いや分からないが、それでも男の股間にカメラを向けるのは可笑しいだろ

いいなぁ、とか言いながら言われると恥ずかしくて死にたくなる

褒められるの嬉しいけど、なんだろ....
本当に男として見てないと思うと胸の辺りが痛くなる

「( こんなのでバイト続くのかも微妙だよ )」

3時間、休憩なしでパンツを3回程履き替えたところ今日のバイトは終わった

色々考えてたが、彼女が写真撮るのに飽きてからは案外気になることもなかった
彼女に見られてないだけで緊張感が解れるとは....

「 夕御飯らしいが、君は何を食べようとしてるの? 」

『 ん?カップ焼きそば? 』

「 ....えっ?皆と食べないの? 」

輝夜かぐやに晩御飯を与えてから、彼女が一旦6階のリビングに行った為に
俺も着いていけば、其処には段ボール箱を探る姿があった

カップ焼きそば、確か他のモデルさんは近くの弁当屋さんが作った弁当らしいけど
彼女は無いのだろうかと疑問になる

『 弁当はモデルさん達だけだし、お父さんが晩御飯食べない様子の時は適当さ 』

「 ....いつも? 」

『 うーん、良くかな?こっちに来る前からずっとだ 』

彼女の父親は、確か撮影をある程度見てからポスターやら下着のパッケージにするやつを選ぶとかで、忙しそうにしていた
だから晩御飯は遅くなるだろうとは思ってたけど....頻繁にカップ麺ばかりなんて身体に悪い
 
と言うか、俺が何となく気に入らない

「 ....キッチン借りてもいい? 」

『 ん?いいけど? 』

「 じゃ、少し待って。晩御飯作るから 」

『 マジ?あ、でも、冷蔵庫の中身....あんまないよ? 』 

一瞬嬉しそうにする様子の後に、カップ焼きそばから手を離して
冷蔵庫の中身を確認する為にキッチンへといき
埋め込み式の冷蔵庫を開けばそこは確かに殆ど空だった
あるのは飲み物と父親が飲みそうな酒だけ

「 こんな立派なキッチンと冷蔵庫あるのに、余り使ってないとわかるよ.... 」

『 お父さんが手のあいたときに作ってくる位だからな.... 』

「 それに賞味期限切れてるのもあるし....2年前の七味.... 」

『 ははっ、お父さんが日本に来るときに使ってた家だから仕方ない 』

日本に来る時に、寝泊まりする必要があるために仕事場とついでに造った家だという
確かに、そう考えれば客室の多さに比べて生活面が余り感じられない

彼女が住み初めてから少しずつ増えてるような気もするけど、それでも冷蔵庫の中身は独り暮らしの男性を思わせるほど何もないし、賞味期限だって危うい

作るときだけ買ってくるって感じか....

「 分かった、冷蔵庫整理してから買い物に行ってくるよ 」 

『 あ、行く!お菓子買いたいし 』

「 それが主でしょ、分かったよ 」

軽く笑う彼女に、先に御風呂を済ませるよう伝えて
彼女が風呂に入ってる間、冷蔵庫の中身を全て取り出し、中を拭いたり洗ったりと綺麗にして

賞味期限が切れた物は全て捨てた
きっと、置いてあるのは必要であり、たまに使うのだと思って其をメモに書き
晩御飯の材料も書いていく

『 上がった.... 』

「 髪も乾かしたみたいだし、行こうか 」

『 おう、お父さんからカードも借りてきたし行けるよ 』

「 それは助かる 」

俺のお小遣いだけでは足り無さそうだったから嬉しいと、軽く笑ったからパーカーに半ズボンを着た彼女と歩いて買い物へと出掛けた

輝夜には悪いが、お留守番してもらってね
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