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しおりを挟む『 でーきた! 』
「 完璧だねっ 」
家に帰り、彼女達が普段使う6階のリビングの一角に輝夜用のケージとトイレ場は設置された
因みに5階にはサークルとトイレ場、後は仕事する場所に各あるぐらい
全ての階にトイレ設置するぐらいには此所は広いし、輝夜を一人にさせたくない彼女なりの気遣いだと思う
『 しょーた、手伝ってくれてありがとうな? 』
「 いいよ、手伝うって言ったし 」
拾った後の里親探しも手伝うと言った
けれど、里親探しが無くなったのならそれ後の事も出来る限りする、何となくそう思うだけ
俺がしたいからするわけで、礼を言われる必要はないと首を振った
『 輝夜が大きくなったら一緒に散歩とか行きたいな。あ!首輪飼ってたんだー、輝夜ー!! 』
「 悪くないね、その時は付き合うよ 」
彼女が誘うなら行くことはするだろ、俺に懐つくかは置いといて、成長を見られるのは少しだけ嬉しい
輝夜は家に帰ってから彼女が預けていた仕事場から受け取りに行き、今は俺達が作業していた付近に置いた箱の中
人の声がするだけで鳴かない辺り、元飼い犬の子供なのだと彼女は言っていた
やっぱり産まれたのはいいものの、飼えなくて捨てたのだろ
綺麗な色だけ残したブリーダーか一般かは知らないけど、たまにいるとは耳にする
『 輝夜御待たせ、首輪はこれだ。じゃじゃーん 』
膝の上に乗せてビニール袋を探るなり、首輪を持ち開けては同じく名前と彼女の父親の電話番号を掘ったプレートのついた星の飾りをつけ、首に巻く
猫用だから仔犬でも大丈夫な位だね
『 似合う!あ、今気づいたけど....輝夜の胸元星柄っぽい? 』
身体を持ち上げて見上げた先に有るのは、星のマークがついた白い毛の部分
彼女にはモサッとそこだけ色の変わった部分がそう見えるのだろ、親馬鹿とはこの事かと思う
『 しょーたも見て、どう? 』
「 ....そうだね 」
此方へと向けてきた輝夜を受け取り膝の上に乗せてから、仰向けにし腹を見ればこの角度では只の白い毛に見える
けれど、持ち上げて仔犬が顔を上とかに向ければ確かに見えなくもない
「 ......見える? 」
『 見える!星柄なんて、流石輝夜だな 』
うん、やっぱり親馬鹿だろうね、と思って仔犬を抱き変えてはその仔犬特有の毛を堪能するようフカフカと触れる
クゥー....
「 えっ、俺が嫌なの?そう暴れなくても 」
『 しょーた嫌われた? 』
「 そりゃ、君がずっと抱っこしてたら懐つくだろうね....ほら 」
俺が撫でていれば嫌そうに逃げようとして、諦めて彼女の膝の上に乗せれば匂いに気付いたのか静かになる
『 ほう、犬は一度の恩を忘れないというがそうか.... 』
「 仔犬だからどうだろうね、まぁ....有り得るかもしれないね 」
何度も思う、彼女がこの小さな仔犬が懸命に出した声を聞き取らなければこの子は今、此処には居なかっただろ
そして満潮になり、箱の底は濡れ仔犬の体温すら奪っていったその身体を
必死に暖めたからこの子は今、此処にいる
彼女に恩があっても可笑しくはないと、思いながら眺めていた
『 輝夜、しょーたにもありがとうだぜ?私を暖めてくれたのはしょーただから輝夜もぽかぽかだったんだよ 』
「 !!っ....それはもう、忘れて.... 」
仔犬の鼻先を俺の鼻先へと当てて、にこやかに笑った彼女に俺はあの時の事を思い出して、遅れた用に顔が熱くなるのを感じる
『 なー、輝夜 』
「( 今の方が、体温高い自信がある )」
咄嗟の判断って凄いと思う、今のこの状態であの場面だとするならきっと恥ずかしくて出来なかっただろ
それだけ俺も、彼女の身体を暖めようと必死だったのだと思う
「( 君といると....俺の心臓は苦しくなる )」
「 ほう、しょーたくん。少し話を聞かせてもらおうか??ん? 」
「( ....他の原因もあるけども )」
背後に立つ威圧に振り返るのすら恐ろしくなった
彼女は気にもせず輝夜と遊んでるが、俺は下手な冷や汗と鼓動が速まる事にやっぱり家に帰っとけば良かったと思った
「 色々、向こうで話そうか? 」
「 は、はい.... 」
オリビアお父さん、マジで怖い....
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