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「 そう言えば、敦士は遅かったんだっけ.... 」

暗い家に帰って、明かりをつけカレンダーを見ては思い出す
こんな日は、晩御飯は適当なんだよね

一人分だけ作るのは面倒だし、モデルさんやら個人的に呼ばれて出張のように切りに行く敦士が帰って来て、作って置くのを食べることはない
移動中に適当に食べてるからこそ、俺もまた適当だ

「 ....はぁー疲れた 」

自分の部屋に入り、部活もそんなしてないのに
色々と疲れきってベットに倒れて溜め息を吐く 
仰向けになったままネクタイを緩めて、カッターシャツのボタンを外し暑苦しい格好から解放されれば、急に眠気は襲ってくる

そのまま、いつの間にか眠っていた

夢の中で彼女が、ゼブラ柄来たんだよー!なんて言う謎のポーズをしてた夢なんて見たから、起きた時の目覚めは悪かった

「 はっ!!今何時.... 」

ガハッと起き上がって、部屋にある時計を見れば6時半に針が来ていて一瞬固まった

夜の6時半?いや、帰ってきたのは....

「 朝じゃん!! 」

「 しょーた!朝御飯だよーって.... 」

ガチャッとノックも無しに入ってきた、敦士
俺を見るなり硬直した視線は股間へと向けられ、すぐに逸らされた

「 しょーたは現役の高校生だもんね....遅刻しない程度に降りておいでよ 」

「 は?っ~~~!!!! 」

自分の下半身へと見れば、驚いた
パタンと閉まった敦士に言い訳をしたかったが、そんな言葉なんて無意味なぐらい

俺の息子は元気に主張していた

「 あのパンツ好きめ!!! 」

流石にクソ野郎とは言えなかった、うん....こんなことになる俺の方がクソ野郎だからね

もう、必死になって息子に触れることなく落ち着かせてから風呂に入った

朝風呂をしっかりして、パンツは何気無く選んだいつもの黒のボクサー

もう選ぶ余裕がないぐらい、朝から精神的に疲れた....

敦士は先に出たらしく、俺は作られていたと言うか置かれた程度のパンを食ってから学校へと向かった

「 今日の鬼嶽、いつもより機嫌悪くね? 」 

「 超怖いんだけど.... 」

不機嫌と言うか寝不足なだけ
寝てたけど、何となくまだ疲れが残ってる

目が座ったようになるのはいつもの事だが、今日は尚更、顔色も悪ければそう言われても仕方ない

「 はぁー....珈琲飲も 」

まだ朝のホームルームには時間があると、
立ち上がってから自動販売機のある休憩室へと行くことにした

珈琲、いやカフェオレにしようかと紙パックの売ってる前へと来れば数字の書かれたボタンを選ぶ

「 はぁ....だるっ.... 」

『 あっ! 』

「 は?ぐっ!!! 」

ボタンを押そうとすれば背後から聞こえてきた声と共に、腰辺りに当たる衝撃でガンッとボタン全体を押してしまった

動き始める機会が取ったのは、俺が飲まないオレンジジュース100%
こんな酸っぱいの飲めるわけ無いだろ!

『 LINE見てないだろ!? 』

「 あ....おい、オレンジジュースになったじゃん 」

『 それよりLINEを見ろ 』

「 オレンジジュース飲むよね?これ上げる」

『 は!? 』

飲まないし、オレンジジュース上げるから黙って欲しいと手元に渡してから新しいのを買うために、財布を開き金をいれ今度はカフェオレを買った

オレンジジュース見たせいで甘い方を飲みたくなったじゃん....

「 朝から煩いよ 」

『 ......おはよう 』

「( あれ?案外素直.... )」

小声になった様子にきょとんとすれば、俺はカフェオレに備え付けのストローを差し、飲みながら目線を落とした

彼女もまたオレンジジュースを一口飲み、顔を上げた

『 LINE、見て! 』

「 あーはいはい、見たらいいでしょ 」

なんだっけ?LINE交換してたけどスタンプでも来た?なんて少し離れた場所に移動し、壁に凭れてスマホを出せば目の前に立ってはじっと見つめる彼女の視線に堪えきれずスマホを見た

「 そう言えば君の.... 」

チュッとストローを刷って送信された来ていた、写真を見てしまった

「 ブッ!!! 」

俺のカフェオレじゃなくて!!
なんちゅう写真送って....

『 っ!! 』

「 ....!!?ごめん!!!マジでごめん!!! 」

目の前には、俺が吹き出したカフェオレを浴びた彼女がいた

流石に本気で謝った
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