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しおりを挟む「 流石に、似合わない.... 」
家に帰り、風呂上がりに買って来たパンツを履いて洗面器にある鏡の前で立ってみたものの似合わないと思う
「 なんでこんな黄色を買ったんだろ.... 」
俺が金髪だから、黄色いパンツ履いてるなんて知られたら笑い者になるだろ
いや、明日は生憎体育はない
部活だって着替えるときに気を付ければ何の問題もない
「 ふはっ、しょーた、何そのパンツ 」
「 !?げっ、敦士帰って来てたの!? 」
急に吹き出す声に、鏡から背後を見れば其処には兄である敦士の姿があった
俺とは違いミルクティー色に髪を染めてる、今時系の社会人
サラリーマンでは無く、美容師をしてる為に髪色も髪型もよくその時期の流行りで変わる
だから俺も、敦士の遊びごとのようによく髪色を変えられたり切られたりする
俺が嫌々カラーを変えてるなんて、恐らく学校の奴は知らない
「 今日は早いってカレンダーに書いたけど?其にしても流行りのキャラクターパンツ....しょーたは興味ないと思ってたのになぁ 」
「 これ、流行ってんの? 」
キャラクターパンツ、確かコラボと言ってたっけ?
流行りとは知らないと傾げれば敦士は笑って俺の横に来ては、袖を捲り上げ手や顔を洗っていく
「 ブラックローズっていう高級下着メーカーがネズミーとコラボで作ったから、普通の下着とは質が違うし高いんだよ。プレゼント用とか.... 」
「 ブラックローズ....あれ、どっかで聞いた気が.... 」
「 男なら知らないかぁ、それにしょーたはその辺のメーカーしか興味ないし 」
「 ん? 」
下着メーカーとか正直興味ない
デパートとかに売ってるのを買ってるだけで、分かるわけない
だがそのメーカーの名前は何処かで聞いた気がすると考えていれば、ふっと昼間の事を思い出す
「 女性用の高級下着メーカーだよ。ブラックローズ....なんかデザインを手掛ける社長が自分の娘の為に作ってるらしく、触り心地も柄も可愛いんだって 」
女性の間では質がいいと有名だよ?なんて言われるが女性用の下着メーカーなんて知るわけない
「 社長が娘の為にな....じゃ、なんでコラボしたの?男用に.... 」
「 聞いた話だと娘の為、なんて....その社長と知り合いだから最近本人から直接聞いたんだけどね 」
「 へぇ....えっ、知り合いなの!!?社長と!? 」
「 俺は人気の美容師だよ?御得意様だし 」
切るんだよー、なんてにこやかに告げる敦士に俺は口が塞がらなかった
「 社長だけじゃない、有名人も個人で来るし....あ、そうそう最近その社長の娘さんが日本に戻ったらしく、切りに来てねー長い髪をばっさり切ったから印象的だったな...取っておきたかった 」
兄貴は髪フェチだ、特に長くて綺麗な髪は保存したくなると言う程だ
下手したら俺が知らないだけで保存してるんじゃないかな
まぁ、フェチなんて人其々だからなにも思わないけど....
「 その社長、日本人なの? 」
「 いや?外国の方だけど日本に本社を移動したらしくこっちで暮らし始めたらしい。今度、もう少し聞いてみるよ。娘さん可愛かったしあの子と話したいし....人見知り激しいらしいから社長にベッタリでねぇ、可愛かったなぁ 」
ブラックローズ、確か彼女の使ってる下着もそうだった
なら今、女子に間で流行ってるメーカーだからこそ着てたのだろ
自分の着てるメーカーの下着がコラボした、男性用のをプレゼントしたくなるのも分からなくもないかも知れない
「 そう....社長の娘に手を出さないようにね。晩御飯作るから待ってて 」
「 ははっ、流石にそんな事したら俺の首が飛ぶよ。あっ、しょーたが仲良くなればいいじゃん、年齢近そうだし玉の輿になれるよ? 」
「 興味ない。玉の輿なんて親の金でしょ。俺は普通の仕事して自分で家庭を支えるよ....相手がいれば 」
玉の輿とかそういうのを望んではいなかった
平凡に暮らせたら其でいい
特に親に頼るより俺は、養われるより養いたい
「 本当....真面目なんだから 」
俺は真面目になりたいわけじゃない
だけど、まともな仕事につくなら真面目に生活して勉強するために今の高校を選んだんだ
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