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別ルート

二十話 魔界のプレゼントブーム

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アランとの行為を終え、寝室に戻る帰り道 
萎れた花を渡していた使用人から出来た栞を受け取った
綺麗に花弁を開いて、人間界でも売れそうなほど良い出来映えの栞は僅に花の匂いすら香る

外に出ることの無い俺にとって、草花の匂いは新鮮味がある

礼を伝えてからポケットに入れ、歩いていれば廊下から外へと見下げれば、大きくなったルビーの姿と剣を持ってるブラオンが居た

『( すっかりお兄ちゃん気取りだな )」

戦い方を教えてるブラオンの笑い声と、羽を広げれば二mは軽く越えるルビーを見れば笑みは溢れる

まだ魔物の言葉を話せないが、それでも脚の爪の使い方を学んだり
剣を避けては、襲う練習を見ていれば気配無くとも何となく察した俺は、横を向けば歩いて来るネイビーの姿を見る

『 あ…… 』

二番にする、そう言った日から会話なんてしてなかった
何処か避けられてる、と言うか完全に避けられてる為にどうやって話そうかと考えていれば彼はこっちに来る事なく立ち止まった

『( 立ち止まった? )』

そう、ピタリと脚を止めれば
手に持っていたらしい紙袋をガサガサと探ってはなにやら取り出し勢いよく投げてきた

『 投げっ、ぐはっ!! 』

豆腐の角で頭をぶつけて死ね!!じゃないが、黒いぬいぐるみが時速百二十㌔の野球のボールみたいに、勢いよく向かってくれば避ける前に顔面へと強打した

『 っ!! 』

女王蜂相手に容赦ない!!と後ろへと倒れた俺は、鼻血を出し、頭の上にヒヨコが回っては意識を取り戻し視線を足元へと向ける

けれど、そこにはもうネイビーの姿は無かった

『 なんだよ……投げるだけ投げて放置……てか、なに……? 』

新手の虐めか?と思いながら、文句をぶつぶつ呟き落ちているぬいぐるみを掴む

『 ……ねこ? 』

真っ黒なぬいぐるみは、目の色は紺色をしてる黒猫であり、首には首輪のようなリボンが付いていた
只のリボンか?と思って見ても、文字が書かれてるようでリボンを外し見る

『 何々……“ 町で買ってきた、やる “……直接言えや!! 』

なんで態々、ぬいぐるみにリボン着けてまで手紙みたいにしてるんだ!
口で言って渡せば良いものの、不器用すぎるだろ!
意味わからんと、リボンを結び直し、既に止まった鼻血を手首で拭いては部屋に戻る

『 黒猫のぬいぐるみ……可愛いけど……可愛い…… 』

こんなもの!なんて思えないほどふてぶてしい顔が可愛いと思う
ネイビーのセンスはいつも黒色だが、彼奴らしいと思っては寝室に戻り、タンスの上にある、ルビーの殻の横へと置いた

『 うん、悪くないな。ルビーと、ネイビーのプレゼント。そして、栞! 』

ポケットから烏から貰った栞を持ち、これはベッド横にあるサイドテーブルの上に置く
本はたまに読むために栞は単純に嬉しくて、満足だ

『 んー……少し休もう…… 』

交尾をした後に疲れるのは本能で、それに逆らっても仕方無くクッションに顔を埋め眠りにつく
起きたらそれなりに時間が経過してると事を願って…

アランは受精したらしく、次の日に本人から直接腹下がポカポカしてあったかいなんて言われたら、誉めるしか無かった、其よりも俺が栞やらぬいぐるみを受け取ってから、皆の態度が可笑しい……

「 ルイ様!地魚(ジギョ)が釣れました。どうぞ、お食べください 」

『 生かよ 』

「 ルイ様!絵を描いてみました、どうでしょう? 」

『 ピカソか 』

「 ルイ様!新しいマフラーを編みましたお使いください 」

『 夏だけどな 』


プレゼントと言うか、贈り物なのかは分からないが
色々と持ってくる魔物達にツッコミを入れては、受け取ってばかりじゃあれだから、烏の様に三枚では無いにしろ、一枚ずつ羽根を渡していく
それを喜ぶ彼等を見てると、痛む羽などどうでもよくなる

『 いてて……羽は回復に時間かかるな…… 』

まるで鶴の恩返しのように、自分の羽根で織物をするレベルに抜いていた羽はバラバラに隙間が出来て、触れば血さえ滲む
そんなのは誰にも見せれなくて、広げる事なく羽を閉じたままにしている

『 ……俺の羽根で喜んでもらえるなら嬉しいけど…枚数は決まってるし…… 』

一日に多くは渡せない、けれどプレゼントを持ってくる魔物は毎回違うからこそ、羽根は無くなっていく

影になっている螺旋階段に腰を下ろし、痛む羽根を撫でては苦笑いを浮かべる

『 まぁ、いいか……明日になれば治るし、ちょっと抜くのが痛いだけ…… 』

簡単に抜けるピンセットでも欲しくなるぐらい、ぶちっと抜いては渡すために、血は滲むもの
流石に、そろそろ誰かしらにバレるだろうと思っていれば滅多に会わない方がやって来た

「 ルイ、君は何をしてるんだい? 」

『 うげ……サタン…… 』

突然と現れるから心臓に悪い
目の前に立つサタンを見上げれば、彼が何処と無く不機嫌な様子に目線は泳ぐ

『 なにって……贈り物貰ってるだけ 』

「 それだけなら良い。だが、羽根を与えるのは良くないよ 」

『 なんでだよ 』

やっぱり全ての会話が聞こえてるってことは、知ってても可笑しくないか……
ちょっとだけ自分のやってる事に、否定され怒られた感覚にむすっとふてくする

「 魔王の羽には魔力がある。渡すと言うことは、御前の魔力を削って与えてるようなもの。下級の魔物に身を削るならば、雄に与えろ 」

『 ……貰ってばかりじゃ気に入らないんだよ 』

「 女王蜂は貰うだけで構わない 」

与える必要はない、と同じ事を二度言われ
釘を刺されたような言い方に腹が立つ

貰うだけでいい、そんなの気に入らない
元日本人の精神かも知れないが、貰ったから気持ちだけでも送り返したい
それに、二つ目を贈ってくる奴はいないのだから良いじゃないか

『 ……嬉しくない 』

「 君は女王蜂なんだ、偉い態度して良いんだよ 」

『 ……俺はそんな、偉い人じゃない 』

威張るなんて仕方無く
只でさえ、何でもやってくれる事に罪悪感すらあって、やっと最近は風呂と食事だけに止めて
手伝いを減して貰ったのに、偉いからとそんな態度はしたくなくて、座っていた身体を起こし歩き出す

『 パパは玉座にすわっ……て……っ…… 』

「 ルイ! 」

サタンなら玉座に座ってろ、そう言おうとしたのにぐらついた身体と揺らぐ思考は徐々に暗くなるのが分かる

『 っ…… 』

「 魔力を消費しすぎたんだよ。少し休みなさい 」

サタンの声と共に、その腕の中で意識を失った
回復に専念することで奪われた魔力は、自分が思ってる以上に多かったらしい

それは、羽が飛ぶのに必要なこの身体には重要部分だったと言うこと

傷の痛みも含まれ、発熱した俺は此処に来て初めて体調を崩した

『 っ……はぁ、いっ…… 』

「 ルイ、落ち着け。大丈夫だ 」

身体が熱く、特に背中が燃えるように熱くなり、汗をかき意識が朦朧とするまま、悶える俺に髪から頬に触れる手は冷たく優しいものがある

枕に香る匂いはサタンの物だと分かるが、今はそんな余裕がなく、苛立ちさえ感じる

『 熱い、あつっ…… 』

掛けられた布団を蹴り、身体から外せば違和感ある仰向きのまま身を捻る
垂れる汗が身体にくっつき、服さえ脱ぎたくて爪を立て布を引き裂いていく

「 ルイ、熱いだろうが風邪を引くから着てるんだ…… 」

『 あつい、から……やだ…… 』

「 ……仕方無い、不可抗力だ。後で、怒るなよ 」

布を外し、上半身裸になった俺にサタンは溜め息を吐き、片手で頬に触れればそのまま顔を寄せた

考える余裕すら無い中で、熱くなった唇へと触れた感触は柔らかく冷たいもので
うっすらと目を開ければ、彼の長い睫毛は閉じていて怒る余裕もなく口付けを受けていた
熱い熱が取られるような感覚と共に、注がれる魔力に食欲は掻き立ち、彼の吐息が僅に聞こえるも首へと腕を回し深く口付けを返す

「 はぁ……魔力、美味しいでしょ……?もっと、欲しい……? 」

『 ん……欲しい、ちょうだい…… 』

「 良いよ。“好きなだけ食べな“……ルイ 」

深く口付ければ、サタンが自らの歯で唇を切り血を滲ませれば、甘い蜜を舐めるように血を舌先で触れ飲み込み、軽く吸い付く
咥内に広がる血の味と、含まれる魔力を求めるように手を動かせば、彼の身体はゆっくりと被さり
顔を離せば、俺の口元へと首元を晒すように寄せる

『 ん……はっ……ン 』  

「 いい子…… 」

肉を喰らうように首筋へと噛み付き、容赦なく犬歯を突き立てて肉を抉れば、彼は頭に手を置き優しく撫でていく
垂れる血も、抉れた部分から舌を当て啜れば、美味に理性は消え去り、本能のままに貪り喰っていく

「 はぁ、っ…… 」

時より痛みで歪む顔を誤魔化すように、張り付けた笑みを浮かべ、額に汗を垂らした彼をベッドへと押し倒しては好きな場所を探り、腹へと片手を当て、爪を立てれば手首を掴まれる

「 まずは、四体から…肉団子を作る……基本だよ、ルイ…… 」 

『 ……なら、腕…… 』

「 そう……いい、くっ、っ!! 」

掴まれた手首を持ち、肩へと片手を当ててば力強くでもぎ取り、腹下に座ったまま腕を食い歯で噛み砕き飲み込んでいく

彼の肉は、今まで食べた肉の中で一番美味いと思う

『 ……パパ、すごく、うずくんだ…… 』

「 ぁ、あぁ、いいよ……孕ませながら、喰いな……。若き、可愛い…女王蜂…… 」

腹が満たされていけば、欲が疼くように
相手が誰と言う意識は無いまま、乱暴に行為へと入る

片腕を失った雄へと、早々に陰茎を突き立て押し込めば彼は息を吐き繁殖に適す身体へと変わる努力をしていく
そんな様子すらどうでもよく、腰を揺らしては咬んだり舐めては繰り返し、血だらけになるまま本能のまま、孕ませていく

「( これは……パパからの贈り物だよ……っ…… )」
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