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~ クオレ 視点 ~


望んで手に入れたはずなのに、なんだか何かがしっくり来ない

求めてくれるのも嬉しいのに、それに答えるのも楽しいのに
胸はモヤモヤとして気持ちが悪い

「 クオレ……行かないでくれ……ここにいてくれ…… 」

離れようとすれば手を伸ばして必死に止めようとする
死なせないよう果物を取りに行くだけで、
生気の無い瞳は俺だけを求める

それがなんだか…嫌になった

「 ……そうだね…オニーサン。もう……帰っていいよ 」

「 っ……!待ってくれ…クオレ、嫌だ……クオレ!! 」

卵は2つ手に入った、後は順番に生まれるのを待つだけでいい
手を伸ばした彼の喉へと片手を当て、ベッドに押し付けると共に魔法陣を発動させ、人間界へと返した

最後まで俺の名を呼ぶオニーサンに、少しだけ胸は痛くなる

「 ははっ、気持ち悪いなぁ……。オニーサンらしく無くなって……壊れちゃった 」

俺の好きなオニーサンは、もっと芯が強くて魂が輝いて見えたのに
今は黒く染まっていた、いや…俺が染めただけなのにな

「 御主人様……如何したんですか? 」

「 シュヴァルツ……。人の姿になって、股を開け 」

「 はい、喜んで…… 」

下半身の馬の部分を消し、人の脚を得た彼は肌でベッドに仰向けになり倒れた
少しだけ頭痛を感じる頭を誤魔化すように、引き締まった筋肉に触れ、顔を近付ける

「 シュヴァルツ……。俺は……君に触れることが出来ない…… 」
 
口付けをしようとすれば身体は硬直し、動く事が出来なくなった 
呟いた言葉に、彼は両手を頬へと当て額を合わせた

「 御無理をならさず…。御主人様は…あのニンゲンに惚れたのですね…… 」

「 俺が……? 」

「 えぇ、本当は抱く以外の事をしたかったのでしょう?前に連れて来たニンゲンのように、様々なことを…… 」    

「 あ…… 」

魔界に連れて来た理由は…只、抱きたいだけじゃなかった
城を案内したり、果実を取りに行ったり、魔界を見て回って遊びたかった

「 っ……シュヴァルツ、俺は……やり方を間違えたんだね…… 」
 
「 少し子を急かした結果ですね。でも、大丈夫ですよ……あのニンゲンも元の生活に戻れば落ち着くはずです。その後、ちゃんとお話しましょう…… 」  

「 っ……あぁ…… 」  

「 ミイラ取りがミイラになりましたね 」

「 そうだね…… 」

シュヴァルツの言葉に気持ちが落ち着き、礼を言うように額へと口付けを落とし 
その首へと顔を埋め、背を抱きしめベッドへと見を沈める

「 シュヴァルツ……一緒に寝よう 」

「 えぇ、自分も……そっちの方が嬉しいです……クオレ…… 」

魔界で、魔力を持たない魔物は下級と言われ虐めに合う 

気高いケンタウロス族だとしても、それは一部に限られているだけ

まだ生まれて100年程度になったばかりの俺は、他の魔物から虐められてる小さな馬を見かけた

「 止めろよ、一匹に寄って集って情けないな 」

「 んだと!? 」

「 止めろよ、コイツ……サタンの息子だ 」 

「 なっ、っ…… 」

サタンの息子だからと、他の魔物達は頭を下げて膝を付いた
それなのにケンタウロス族の幼い馬は、ゆっくりと立ち上がり俺を見下げた

「 でけぇ…… 」

「 あのね、助けてくれて…ありがとう…… 」

大人のケンタウロス族を見てなかっただけかも知れないが、単純に俺を見下げる度胸のある馬を気に入った

淫魔として抱く相手にはもってこいで、
忠実な下僕が出来たことは単純に嬉しかった

俺には都合がいいやつ、只それだけなのに…嫌な顔を一つせず、シュヴァルツは側にいて
気紛れに魔力を与える事で″ 上級魔物 ″として位を上げた

今では、その辺の悪魔より強いぐらいな

兄達より側にいた、そんなコイツはいつも羊の姿で眠る俺を抱いて、頭を撫でて傍で横になっていた
凭れて眠ったり、交尾の練習をしたり、魔界の勉強したり、色々やってきた

だからこそ…俺自身より、俺をよく理解してるのだろうね 

処女しか好かないとされる、美しいユニコーンは
魔界に迷い入ったことで、悪魔に心と身を染められ漆黒の馬へと堕落した

けれど彼は、気にもせず俺の頭をそっと撫でるんだ

「 シュヴァルツ……チンコを押し当てんの止めて…… 」

「 すみません、すみません……。御主人様が余りにも可愛くて、つい…… 」

「 抱きたいなら…抱いていいよ。今…攻める気力ないし 」
 
羽を消して、仰向けになれば俺より大人びた容姿のシュヴァルツは目を見開き、一人で百面相をする

「 いえ、御主人様はあのニンゲンが好きで…で、でも…宜しいのでしたら交尾した…あ、あっ、でも…私は、下僕ですし…… 」

「 しないなら…寝るよ? 」

「 します!します!!抱かせてください!! 」

流石、馬というか淫魔に育てられただけある
ちょっと主人が甘えると興奮するあたり、流石だよ

今は、余り気力が無いし…たまには抱かれる側の気持ちも思い出しても良いかなと思い
シュヴァルツに任せる事にした
 
「 はぁ。っ…… 」

交尾の仕方なんて、シヴァでも、リオンが教えてくれた訳でもない
受けたり、攻めたりを繰り返すシュヴァルツが誰よりも、俺の身体の使い方を教えてくれた

悪魔より、早く成長するケンタウロス族にとって俺は可愛い子供みたいな存在だろう

触れる手も心地良く、行為が好きだからする、なんて突っ込むだけの兄貴達とは違う
優しさがシュヴァルツにはある

だから俺も、愛撫は長いし突っ込むときに位置を考えるんだ

「 キツイ…ですか……? 」

「 そりゃ、ケンタウロス族は……デカイからね……はっ…… 」

「 そうですよね……んっ、…… 」

「 はっ…… 」

長く愛撫し、痛みが少ないまま馬並みのそれを挿入され奥へと満たされたまま動く事なく、彼は頬に触れ唇を重ねる
 
自分からは出来なかったが、されるには問題なかった

軽く髪を撫でて、うなじへと手を当てれば彼はゆっくりと腰を揺らし中を擦り上げる

「 はぁ、いいっ……凄く……気持いいよ…ン、っ、…… 」

「 本当……抱くのも、抱かれるのもお好きですよね…… 」

「 淫魔…だから…。いいよ、突いて…… 」

「 ふっ、動きますね…… 」

「 はぁ、はっ…… 」

擦られて腹の中が熱くなって、飲むより簡単に精子を貰える受けもいい
けれど、自分が動いて腰を揺らすほうが好きなのは確か

触れる手の心地良さに、目を閉じ
シュヴァルツが揺らす感覚を受け入れ、精子を内部は啜り飲んでいた

「 っ……主人…そんな、吸われたら……。精子…無くなっちゃいます…ぁ、くっ…… 」

「 本能だから仕方無い……ほら、淫魔は…性機能がないから精子を貰うしかないから……頂戴…もっと、入れていいよ 」

使い尽くしたから、疲れたんだって言う事は分かったから
馬のように量の多いシュヴァルツから根こそぎ貰ってもいいよね

「 ぁ、もう、そんなっ……出ませんっ……!ひっ、ぁあっ! 」

「 突っ込んでる側なのに喘ぐってかわいい……本当、お前は可愛いいな…… 」

「 ぁあっ、御主人…さまぁ、あっ! 」

奪った精子を胎内に溜めて、また子供を孕ませる為に魔力で自分のものに変えなきゃな

淫魔に性機能が無い分、他のオスを経由してメスとなる母体に孕ませる必要がある

オニーサンごめんね、ちょっと精子を蓄えてから会いに行くよ

「 ふぁっ、兄貴達からも貰うかな…… 」

「 うぅ……もう、でません…… 」

欠伸を漏らし、倒れて腰を震わせてる馬をよそに、俺はちょっとだけ元気になったから兄貴達に絡む事にした

「 おい、逃げろ!!あの馬鹿が、受けになる気だ!! 」

「 人間界で淫夢すりゃいいのに……!!俺は逃げる!! 」

「 僕もゴメンだよ!! 」

「 ねぇ…なんで、俺が受けに回るとそんな一目散に逃げるの?攻めてくれなきゃ…精子貰えないじゃん 」

「「( 容赦無く根こそぎ奪うからだろうが!! )」」

兄貴達は全力で逃げた為に、俺は笑いながら追い掛けて身ぐるみを剥いでいた

「 シヴァ~!!帰ってきたならヤろうよ。契約だろう?? 」

「 いやぁぁぁあ!!!それなら、せめて、突っ込む側になってくれ!! 」

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